きゃりーぱみゅぱみゅがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「CHINTAI presents きゃりーぱみゅぱみゅ Chapter #0 ~Touch Your Heart~」(毎週日曜12:30~12:55)。この番組では、きゃりーが自身の趣味や興味のあることについて語ったり、いま輝いているゲストをお迎えしたりしながら、さまざまなエピソードを1冊の本に見立て、紐解いていきます。7月2日(日)、7月9日(日)の放送では、アートディレクターで映画監督の千原徹也(ちはら・てつや)さんをゲストに迎えて、お届けしました。
(左から)千原徹也さん、きゃりーぱみゅぱみゅ
★「映画の作り方」をテーマにクロストーク
広告、ファッション、テレビドラマ、企業ブランディングなど、さまざまなフィールドで活躍している千原さん。
2人の出会いは、きゃりーが20歳のときに振袖のデザインを千原さんが手がけてくれたのがきっかけで、共通の友人を交えて食事をするうちに、「今では2人でドライブしたり、ご飯に行ったり、千原家の夕飯に参加させてもらったりするぐらい激仲良し。1年を通して(プライベートで)会っているランキングでかなり上位の人(笑)」ときゃりー。
親交はプライベートだけでなく、きゃりーのライブでのデザインや演出などに千原さんが携わることもあると言います。
そんな千原さんが初監督をつとめた映画「アイスクリームフィーバー」が、7月14日(金)に公開。本作は、芥川賞作家・川上未映子さんの短編集「愛の夢とか」(講談社文庫)に収録の「アイスクリーム熱」が原案で、主演に吉岡里帆さんを迎えたラブストーリー。
吉岡さんをはじめ、モトーラ世理奈さん、詩羽(水曜日のカンパネラ)さん、松本まりかさんといった主要キャストに加え、南琴奈さん、後藤淳平さん(ジャルジャル)、はっとりさん(マカロニえんぴつ)、MEGUMIさん、コムアイさん、片桐はいりさん、安達祐実さんなどの個性豊かな俳優陣が華を添えています。
そこで今回は、「映画の作り方」をテーマにトークを展開。アートディレクターである千原さんが、なぜ映画を手がけることになったのかを聞いてみると、「元々は、映画をやりたかった」とキッパリ。そうした思いを胸に抱きながらも、「大人になるにつれて“監督なんて仕事はできないだろう”ってだんだんと現実を知っていくなかで、映画のなかでデザインだったら関われるかもしれないと思ってデザイナーになった」と語ります。
きゃりーも映画を観るとき、ポスターのデザインが“オシャレ”“かわいい”などの印象から作品を観ることがあると言い、「(デザインをきっかけに映画の世界へという)その気持ちがすごくわかります」とうなずきます。
初めて映画監督として千原組を取り仕切った現場は、開口一番「楽しかった」と千原さん。苦労したこともあったものの、「ずっとやりたかったことだったので、そんな苦労も忘れるぐらい毎日感動していました」と振り返ります。
本作で、アイスクリーム屋のアルバイト・常田菜摘役を演じた主演の吉岡さんとは、「彼女のカレンダーを10年ぐらい作っているので、『(映画を撮ることになったので)合間にやってくれない?』って言ったら引き受けてくれた(笑)」と言い、長年仕事で関わってきたからこそのキャスティングかもしれません。
橋本佐保役を演じたモトーラさんとも「仕事で何度もご一緒しているので、そういう身近なパーソナルな部分が分かる人に、“この役をやってもらえたら面白いかな”という感じで順番に声をかけていった」と言います。
そんな本作について、千原さんは「“何となく”という言葉が当てはまるような映画。何かいいねとか、この空気感分かるよねみたいな、そういう気持ちで観てもらえるような映画になっていると思います」と手応えを語り、「ちょっとカフェに行くぐらいの感覚で観てほしい。そうしたら、自分の日常にまた取り込めるというか、“明日からちょっと頑張ってみようかな”という気持ちになれるような映画だと思います」とアピールしました。
(左から)きゃりーぱみゅぱみゅ、千原徹也さん
★Chapter#0 Library★
ゲストが背中を押された作品を紹介してもらうコーナーで、千原さんがセレクトしたのは、ウォン・カーウァイ監督による映画「恋する惑星」(1995年日本公開)。
というのも、千原さんが「アイスクリームフィーバー」を作るにあたり、お手本となったのがこの作品で「とてもオシャレな映画。内容がめちゃくちゃ面白いかと言われると実はそうでもなくて(笑)。けれども、(劇中の)音楽がかっこよくて映像がスタイリッシュで、“僕もこんな映画を撮りたいな”と思った」と言います。
千原さんいわく、「アイスクリームフィーバー」の主人公が、アイスクリーム屋のユニフォームとして着用している“黄色のポロシャツ”など、「恋する惑星」とリンクさせている部分が随所に散りばめているそう。
「『アイスクリームフィーバー』をオシャレなレストランやカフェとかで流してほしい。ウォン・カーウァイ監督の『恋する惑星』もそういう映画」と話し、仕上がりに自信をのぞかせていました。
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また、千原さんからは「きゃりーちゃんって、“つらい”とかあります?」と質問が飛ぶ場面も。これにきゃりーは「めちゃくちゃありますよ(笑)!」と即答。
つい最近だと、6月に終えたばかりのワールドツアー「KYARY PAMYU PAMYU WORLD TOUR 2023 ~POPPP~」でのプレッシャーを挙げます。というのも、自身にとって5年ぶりとなるワールドツアーとあって「5年も空いたら生活も変わるので、(海外の人たちがライブに)“来てくれるわけないじゃん!”ってずっと思っていて。ネガティブな状態だったし、チケットの売れ行きも怖くて聞けないみたいな」と当時の胸中を吐露。
すると、千原さんも「分かる! 僕も今、映画(「アイスクリームフィーバー」)の前売りのことが聞けないもん(苦笑)」と共感しきり。ちなみに、世界7都市を巡ったきゃりーのワールドツアーは、ソールドアウトする会場もあるなど大盛況だったものの、きゃりーはチケットの売れ行きを聞けないままツアー初日のアメリカ・ニューヨークでのWebster Hall公演を迎えたため、「(ライブ)当日にお客さんが入るまでガクガク震えていた(苦笑)」と打ち明けていました。
2週にわたる千原さんとのトークを振り返り、きゃりーは「千原さんの考え方というか生き方というか、すごく“なるほどな”と思うことがあるし、勉強させられることがたくさんあってうれしかったです」と話していました。
<番組概要>
番組名:CHINTAI presents きゃりーぱみゅぱみゅ Chapter #0 ~Touch Your Heart~
放送日時:毎週日曜 12:30~12:55
パーソナリティ:きゃりーぱみゅぱみゅ