シンガーソングライターで俳優の福山雅治がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「福のラジオ」。6月10日(土)の放送では、「福のラジオ」meets日曜劇場「ラストマン-全盲の捜査官-」(TBSテレビ系)ということで、怒涛の3週連続ゲストスペシャル!
第1回目となる今回は、全話の脚本を手掛けた脚本家・黒岩勉さんが登場。福山さんが黒岩さんの脚本制作の源泉に迫ります。
(左から)福山雅治、黒岩勉さん
静岡県静岡市にお住まいの真琴さん(31歳・会社員)は、今の社会問題を鋭く切り取ったストーリーに魅了され、考えさせられながら毎週観ているのだそうです。
「主人公の皆実さんを見て私は価値観が変わりました。これまで目の不自由な方を見かけたら親切にサポートしようと思っていましたが、それは特別に意識してやることではなかったのかもしれないと思いました。普通にするべきことだったんだなと思い知らされたのです。今回の『ラストマン―全盲の捜査官―』、黒岩先生は痛快な刑事ドラマというだけではなく、どんな思いを込められているのでしょうか?」
黒岩さんは、真琴さんが感じ取ってくれたことこそが、今回の脚本、そして皆実というキャラクターを通して伝えたかったことだと言います。
「目の見えない方を主人公にするっていうのは、なかなかセンシティブなことで。じゃあ今そういう視覚障害者の方を主人公にする意味は何なんだろう? ということを真剣に考えました。有り体な言葉になっちゃいますけど、多様性とか寛容さとか、そういうものの象徴となる存在をあまり説教臭くない方向でエンターテインメントとして伝えられたらいいんじゃないかと思ったんですよ。
真琴さんのメールにもある通り、多様性とか寛容さと言っている時点でちょっと特別扱いする感じもあるじゃないですか。そうではなくて、多様性や寛容さを突き詰めて“当たり前”になるのがこのドラマの目指すところなんじゃないかと。最終回まで観た人が、皆実さんは目が見えないっていうことに何の違和感も抱かなくなるっていうことが、このドラマのゴールとして理想だなと思っています」
福山さんは、こうした深いテーマ性やメッセージの強度がドラマを幾重にも楽しんで観てもらえる重要な素地になっていると言います。
ここからは、福山さんと黒岩さんのトークでお楽しみください。
福山:地上波の連続ドラマという構造、構成をここまで巧みに脚本に落とし込むというその手腕に毎回唸らされました。
黒岩:うれしいなー。でも書いている途中に(その思いを)知りたかった(笑)。
福山:何度か先生が現場に来られたんですけど、セリフの圧倒的多さに翻弄されておりまして(笑)。直接お伝えするのが遅くなってしまいました。
黒岩:こちらこそ失礼しました(笑)。
福山:まず1話の脚本をいただいたときに驚いたんですよね。連続ドラマの第1話ってどうしてもメニュー紹介的な作りになってしまう。それぞれのキャラクター紹介やドラマ全体の雰囲気や方向性といったものを説明しないといけないので。
けれど今作は、そのメニュー紹介という構造そのものを、有機的に面白さに昇華した脚本だと。これはすごいなと思いました。現場では毎回黒岩先生の脚本が上がるのをみんな楽しみにしていたんですよ。
黒岩:本当ですか? ありがとうございます。まあ、あれですね。いかに裏切っていくかっていうことは大切にしていますね。あんまりやりすぎると(視聴者が)離れて行っちゃうので、微妙なラインで裏切っていくことを心がけないと、やっぱり飽きられるんですよね。
福山:予想は裏切るけど、期待は裏切らない、ということですね。
黒岩:さすが。うまいことをおっしゃいますね。
福山:それができるのも作品の幹となる部分の強度がないとできないですよね。
黒岩:本当にそうなんですよ。芯の太いものであれば、枝葉がどうあっても壊れないんですよ。僕はニュースを見るのが好きなんです。そこで思うことや感じることっていうのが根っこにはあるんですよね。どうしてそこまでみんなで叩く必要があるのかな? とか、普通に憤りを感じることもありますし。
例えば今作でも描きましたけど、“親ガチャ”というものをみんなはどんなふうに感じているのだろう? とか。我々が生活をしていて感じる社会的な問題に対して、モヤっとしている部分をうまくすくえたらいいなと思って書いていますね。で、今回それがうまくできたっていうのは、皆実さんという方の存在が大きかったんですよね。
もちろんお芝居のうまさもあるんですけど、目が見えない人が抱えてきたこれまでの苦労や想いを感じることができるから、彼の言うことは響くんですよ。そこに福山さんの歩んで来られた歴史とか人間の深さが合わさって、皆実っていう人の説得力が生まれているんですよね。
福山:ありがとうございます。皆実さんって、みんながつくってくれてるんですよね。護道さん(役:大泉洋さん)や佐久良さん(役:吉田羊さん)、馬目さん(役:松尾論さん)、泉くん(役:永瀬廉さん)、吾妻さん(役:今田美桜さん)。そういった人たちがいて、その人間関係の中で皆実さんという人がつくられているんだ、というのを今回はすごく感じました。
黒岩:どんどん皆実さんが自由になっていくように感じているんですよ。1話から通して。それって役としてもチームワークとしてもそうなんでしょうけど、「皆実さん、どうぞ好きにしてください」っていう感じが自然に生まれているなって思って、観ていて気持ちいいんですよね。
黒岩さんは皆実というキャラクターに対して、こんな思いも吐露してくれました。
「僕が『こうなってほしい』という方向と福山さんの演技のベクトルが同じだったんですよね」
そして福山さんも、皆実というキャラクターに特別なものを感じていると言います。
「皆実さんというキャラクターを通すと、深刻な問題も作品の中で扱えるんですよね。メッセージ的にこれは強すぎるかな? ということも皆実さんが言えば腹落ちする。だからこれは発明ですよ。皆実広見というキャラクターを生んでいただきありがとうございました」
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番組後半では、10代のリスナーで、シナリオライターを目指している方や、小説執筆にチャレンジする方への黒岩さんのまさに実践講座とでも言うべきアドバイスをお伝えいただいたりと、そう言った意味でも貴重な回となったのではないでしょうか。
日曜劇場「ラストマン―全盲の捜査官―」はいよいよクライマックスに突入していきます。お見逃しなく!
さて、次週6月17日(土)の「福のラジオ」は、怒涛の3週ゲストスペシャルの第2回をお届け。福山さん演じる皆実と最強バディを組む、護道心太朗役を演じる大泉洋さんが登場します。2人の止まらないトークをお楽しみに!
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聴取期限:2023年6月18日(日)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:福山雅治 福のラジオ
放送日時:毎週土曜14:00~14:55
パーソナリティ:福山雅治
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/fukunoradio/