チャンネル登録者数200万人を超えるカリスマボイストレーナー「しらスタ」と、シンガーソングライターのYOSUKEがお届けするTOKYO FMのラジオ番組「シアーミュージック presents しらスタのボイトレディオ」(毎週火曜21:00~21:30)。
今回の放送は、ゲストにシンガーソングライターであり、ボカロP「バルーン」としても活動する須田景凪(すだ・けいな)さんをお迎えし、須田さんが作詞・作曲した楽曲「シャルル」の魅力を徹底解剖しました。(※本記事はその後編)
(写真左から)しらスタ、須田景凪さん、YOSUKE
――前編のトークでは、しらスタと須田さんが4年ぶりとなる再会を喜ぶとともに、アジア圏をはじめとする海外でのボーカロイドカルチャーの爆発的な盛り上がりについてトークを展開。
さらに「シャルル」のソングコメンタリー前半戦として、冒頭のエフェクトボイスに隠された心理描写の仮説や、10年前の宅録時代における「1小節ごとに細かく声を使い分ける緻密な録音手法」や「低音域での発声」などについて語り合いました。
後編では、サビの歌詞表記に隠された衝撃の真実や、須田さんのビブラートの秘密に迫りました。
◆サビに隠されたボーカルの仕掛け
しらスタ:それでは、私が大好きなサビの部分に行ってみたいと思います。
――音源再生:『深い青で満たしたのなら~』
しらスタ:ストップ! ここも須田さんに秘密にされてしまいそうなポイントなのですが、問わせてください!!「愛を謳って 謳って 雲の上」というフレーズについてです。
公式の表示上の歌詞は「雲の上」となっておりますが、実際の発音を聴くと「この上〜」と歌われているように聴こえるんです。「雲(kumo)」の「M」の音を意図的に省略されているように聴こえるのですが、いかがでしょうか? 音源のボーカロイド(flower)の歌唱も、それに非常に近い発音になっていますよね。
須田:そこは僕の歌唱もflowerの歌唱も、完全に揃えて制作しています。
しらスタ:やはりそうなのですね! これはファンの間でも「本当はこう歌っているのではないか?」と長年議論されてきた部分だと思うのですが、原作者としてはいかがでしょうか?
須田:実は「雲の上」と歌っていないように聴こえますが、すごく小さな音符で「雲の」と言っています。いざ音源を書き出して自分で聴いた時に「確かにそうも聴こえるな」という状態になっていまして。
ただ、どちらで聴こえたとしても、作曲者としては非常に嬉しいです。その分、聴き手の中で解釈が広がると思っているので。そこに聴く人それぞれの意味を持ってほしいなという思いがあり、自分自身でもずっと明言するのが難しい部分でした(笑)。
しらスタ:明確に特殊な発音をされていて、コメント欄などでもずっと話題になっていましたが、これまでのインタビューなどでも一切出てきていなかった部分ですよね! この規模感の大ヒット曲で、ご本人の口から直接真相を伺えたのは本当にすごいです!!
さらに、サビで1オクターブ跳躍する「こんな風に〜」というパートですが、ボイストレーニングのレッスンで歌うとなると、非常に難易度が高い部分になります。須田さんはライブなどで、ここを時々、地声のように力強く歌われることもありますよね?
須田:あそこは地声で行っているわけではなくて、すごく「固めの裏声」で歌っています。さすがに地声だと音域的に声が出ないので(笑)。
YOSUKE:「THE FIRST TAKE」に出演された際も、すごく力強く固い裏声で歌われていましたよね?
須田:あれは固い裏声ですね。
しらスタ:あれは固い裏声だったのですね! ミックスボイスかと思って聴いていました。
須田:自分自身もそれがミックスボイスという部類に入るものなのか、いまだに分かっていない部分もあるのですが(笑)、感触としては「裏声を固くした発声」ですね。地声ではないことは確かです。
しらスタ:なるほど! ライブによっては柔らかい裏声でアプローチされる日もあると思うのですが、どのような使い分けをされているのでしょうか?
須田:その日のテンションや会場の雰囲気によりますね。はっきり発声させたい時は自然と固い裏声になりますし、逆に楽曲の持つ優しさや柔らかさを際立たせたい時は、高い音域でも固くならないよう意識して柔らかく歌うように調整しています。
しらスタ:音程や発声のバリエーションが豊富で、表現の自由度が非常に高い名曲であり、素晴らしいシンガーさんだなと改めて実感いたしました!
◆何度も録り直し!? 妥協なき音作りの裏側
しらスタ:それでは、続いてのサビのフレーズに行ってみましょう!
――音源再生:『濁りきっては見えないや~』
しらスタ:「笑い合ってさよなら〜」のフレーズにおける、この細かく揺れるビブラートこそが、非常に須田さんらしいボーカル表現ですよね!
須田:ここは10年前の記憶ですが、すごくこだわって録音していたことを覚えています。「さよなら」の「ら」の語尾だけで、めちゃくちゃ録り直しました(笑)。
しらスタ:語尾の処理としては、声をピタッと止める形や、息で綺麗に流す形、あるいはビブラートをかける形など、さまざまなパターンが考えられますよね。最終的にどのようにしてこの表現に着地されたのでしょうか?
須田:声を止めるアプローチ、息で流すアプローチ、そしてビブラートをかけるアプローチの“すべての良いとこ取り”をした表現が欲しくて。そのため、ひたすら「さよなら」の「ら」だけを何度も録音して、波形を切って並べ替えたりしながら試行錯誤していました(笑)。
YOSUKE:1フレーズの語尾だけでそこまで! 10年前から妥協のないこだわりですね。普段の楽曲制作でもテイク数はかなり重ねられるほうですか?
須田:こだわればこだわるほど良いものができるタイプなので、時間が許す限り歌いますし、音作りも追求しますね。「シャルル」に関しても、全パートでテイクが異なるのでは?というくらいこだわり抜いて作りました。
しらスタ:圧倒的なこだわりによって、この名曲が生み出されたんですね!
YOSUKE:本日、おしらさんに「シャルル」のソングコメンタリーをしていただきましたが、須田さん、改めていかがでしたでしょうか?
須田:この至近距離で自分のボーカルを細かく分析されると、少し恥ずかしいですね(笑)。変な汗が出てきました(笑)。
しらスタ:私としても「雲の上」の発音に関する真意を伺うことができて、本当に嬉しかったです!
YOSUKE:ぜひ番組をお聴きの皆様も、本日のソングコメンタリーを参考にして、カラオケで「シャルル」を歌ってみてください! 本日のゲストは須田景凪さんでした。ありがとうございました!
<番組概要>
番組名:シアーミュージック presents しらスタのボイトレディオ
パーソナリティ:しらスタ、YOSUKE
放送日時:毎週火曜 21:00~21:30
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/f/voitradio/message
番組公式X:
@voitradio_tfm