手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。7月8日(土)の放送では「令和2年7月豪雨」から学ぶべき「5つの教訓」について取り上げました。
※写真はイメージです
先日、九州では記録的な大雨となり、熊本県では線状降水帯が発生し、益城町を流れる3つの川が氾濫して多くの住宅が浸水被害に見舞われました。奇しくも7月4日(火)は熊本県で起きた「令和2年7月豪雨」から3年となります。
“7月豪雨=熊本豪雨”とも言われますが、「令和2年7月豪雨」では、熊本県南部を中心に線状降水帯が発生し、予想をはるかに上回る大雨となりました。そして、これによって球磨川(くまがわ)が氾濫し、人吉(ひとよし)市や球磨村の中心部が浸水するなどで1万2,000人以上が被災、67人が亡くなりました。
そこで今回は「7月豪雨から学ぶ5つの教訓」を紹介します。
◆教訓①「線状降水帯の危険性」
線状降水帯が発生すると、甚大な被害が起こることが分かった7月豪雨。この災害の後、気象庁は予測技術を向上させ、線状降水帯の発生予測や発生情報の発表を始めました。発生予測が出された場合、私たちは“災害が起こるかもしれない”との心構えを持ちながら避難の準備をおこない、発生情報が出た場合は命を守るために速やかな行動が大切です。
◆教訓②「梅雨の予測の難しさ」
線状降水帯が発生する前日に予測されていた雨の量は球磨地方で200ミリでしたが、実際は各地で400ミリ以上の雨が降りました。これは、平年の1ヵ月で降る量の雨が1日で降ったことになります。
予測技術は年々高まっていますが、それでも梅雨の大雨は予測が難しく、予想外の大雨になることがあるため、“梅雨の時期は予想よりもひどい雨になるかもしれない”ということを頭に入れておきましょう。
◆教訓③「内水氾濫(ないすいはんらん)」
内水氾濫とは、大雨が降ると排水が追いつかず、市街地に水が溢れる現象のことです。7月豪雨でも、街を流れる水路や小さな支流から水が溢れて内水氾濫が発生し、避難が難しくなって逃げ遅れた方もいました。そこで、事前に身近にある水路や小さな川のリスクを意識して、避難の計画を立てておきましょう。
◆教訓④「氾濫流(はんらんりゅう)」
球磨川の氾濫では、秒速3メートル以上、水深は6.2メートルに達する“氾濫流”が発生し、水の力で住宅を押し流すほどでした。そして、斜面の急な山間部の川では、氾濫流による住宅の倒壊や流出の恐れがあります。
こうしたリスクのある場所は「家屋倒壊等氾濫想定区域」に指定されており、ハザードマップで確認することができます。また、氾濫流の発生する場所では、家屋の2階以上に逃げる垂直避難だと命の危険があるため、早い段階で安全な場所に避難することが必要です。
◆教訓⑤「過去の経験よりハザードマップを確認」
何度も水害に見舞われてきた人吉市では、過去の水害の経験から“この高さまでは水はこないだろう”と判断した結果、逃げ遅れた方がいました。また浸水エリアは、最新のハザードマップで想定されている浸水エリアとほぼ一致していました。過去の経験を過信しすぎないで、ハザードマップを確認しておくことが重要です。
また、避難所においても、水害のときに安全な場所なのかを把握しておくことが大切です。避難所に設定されている建物でも浸水リスクがあるところもあるので、事前に水害が発生したときの安全な避難先と避難ルートを確認しておきましょう。
今や、次の災害がいつ起きてもおかしくありません。別の地域に住まわれている方も“遠い地域で起きた水害”とは思わずに、自分事として捉えることが大切です。7月豪雨の教訓を活かし、もしものときの備えにつなげましょう。
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聴取期限 2023年7月16日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:防災FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋
番組Webサイト:
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