TOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」内でお送りしている「JA共済 presents なるほど!交通安全」。10月18(金)の放送テーマは「山道・峠道の走行」について。日本自動車ジャーナリスト協会会長で日本自動車連盟交通安全委員会委員の菰田潔(こもだ・きよし)さんから、山道・峠道を走行する際の注意点を伺いました。
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紅葉のシーズンでは、車で山や高原など標高が高いところへ行く機会もあるかと思いますが、山道や峠道は一般の道路とは異なる点がいくつもあり、より注意深く運転する必要があります。
◆カーブ進入時は“遠心力”に注意
まずは、運転の基本姿勢と心構えについて。勾配や急カーブがある山道・峠道では、ハンドルに近いドライビングポジションをとることが基本姿勢となります。「(山道・峠道は)カーブがきついので遠心力が大きくなり、体が外側に持っていかれてしまいます。そのときは、ハンドルを前に押すようにして背中をシートバックに強く押しつけ、体が揺れないようにすることが大事です」と菰田さん。また、山道・峠道を運転中に同乗者が酔ってしまうケースも少なくなりません。同乗者が酔わないように丁寧に運転する心遣いも大切です。
◆急カーブが突如現れたら…?
山道はカーブが急で先の見通しがききません。その場合は“先が見えないから対向車は来ない”ではなく“見えないところから対向車が来るかもしれない”という意識を持って走行しましょう。また、急なカーブの場所では、自分がはみ出さなくても対向車がはみ出してくる可能性も念頭に置きましょう。
そして、最も注意すべきなのは“下り坂のカーブ”です。「スピードが落ち切らない状態でカーブに進入してしまうと、オーバースピードで外に膨らんでしまいます。左カーブだと反対車線に飛び出してしまいますし、右カーブだと崖から落ちてしまうケースもあります」と解説。ブレーキをかけてしっかりスピードを落とし、ブレーキを戻しながらハンドルを少しずつ切るのが大事です。上り坂の場合は、スピードが落ちないように途中で少しだけアクセルを踏みながらカーブを曲がっていくとスムーズに曲がれます。
ちなみに、ドライバーの予測が外れて急カーブが突如目の前に現れた場合、まずはハンドルをまっすぐにしたままブレーキをかけてスピードを落としましょう。ブレーキが最も有効に働くのはハンドルがまっすぐのときです。それでもスピードを落としきれない場合は“ブレーキをかけながらハンドルを切る”ということも緊急時には有効です。
◆“対向車とのすれ違い”は余裕を持って
山道・峠道には“道路の幅が狭い”といったところが多々あります。そういう場所で対向車と鉢合わせてしまうと、お互いに身動きが取れない状態に陥る可能性があります。ですので、すれ違いが難しいと感じたら、対向車が来る前に手前の広い場所で待機するようにしましょう。菰田さんは「困難な状態になってから考えるのではなく、手前で対処するのが大事だと思います」と補足します。
急な勾配とカーブにとらわれがちな山道・峠道で大きな役割を果たしてくれるのが、自分の車の存在を対向車に伝えてくれる前照灯(ヘッドライト)です。山道においては、昼間でもヘッドライト点灯で走ることが有効となります。日中の日差しが強い時間帯でも、山道では木陰の暗いところでヘッドライトの明かりが映えます。細心の注意を払ってヘッドライトを点灯し、自分の存在を主張しましょう。山道・峠道での走行術は、行楽シーズン問わず有効です。ぜひ活用して安全な走行を心がけてください。
<番組概要>
番組名:JA共済 presents なるほど!交通安全
放送日時:毎週金曜 7:20~7:27