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「農業機械」「熱中症」による事故が多発…全産業で“命を落とすリスク”が最も高い「農業」の安全対策を考える
2025-08-25 (月) 20:50
杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。
8月24日(日)の放送テーマは、「なくそう! 田んぼや畑でのヒヤリ・ハット ~農作業の安全対策~」。農林水産省 生産資材対策室の美保雄一郎(みほ・ゆういちろう)さんから、農作業中に起こりやすい事故とその対策について伺いました。
杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。
8月24日(日)の放送テーマは、「なくそう! 田んぼや畑でのヒヤリ・ハット ~農作業の安全対策~」。農林水産省 生産資材対策室の美保雄一郎(みほ・ゆういちろう)さんから、農作業中に起こりやすい事故とその対策について伺いました。

◆農業は作業中に命を落とすリスクが高い
まもなく秋の収穫シーズンが到来、各地でお米の刈り入れが本格化します。その一方で心配されるのが、頑張りすぎによる事故です。建設業や運送業、製造業など、危険を伴う産業はいくつもありますが、実は実作業中に命を落とす人の割合が最も高いのが“農業”と言われています。その割合は建設業と比べても約2.5倍にのぼり、2023年には236人もの方が農作業中の事故で亡くなっています。
美保さんによると、死亡事故の多くはトラクターやコンバインといった農業機械の取り扱い中に発生しています。次に多いのが熱中症で、発生は7月や8月に集中しますが、9月にも少なくありません。
特に注意が必要なのは、農業経験が浅い人です。分析によると、事故の過半数は雇われてからの経験期間が3年以下の人が起こしています。また、年齢別では50代以上の事故発生率が高く、定年後に農業を始める人などもリスクが大きいとされています。
しかし、ベテラン農家にも油断や慣れから事故が起きることがあります。美保さんは「経験があるからこそ慣れや油断が生まれ、それが重大な事故に直結することもあります。“農作業中の事故は誰にでも起こりうるもの”という意識を持って、日々の作業に取り組んでいただきたいと思います」と注意をうながします。
◆農業機械の安全対策は“基本の徹底”
続いて、農作業の事故を防ぐために気をつけるべきポイントを伺います。まずは、農作業中の死亡事故が最も多く発生している「農業機械の安全対策」です。
農業機械事故のうち、最も多いのは機械の転落・転倒です。田んぼや畑はアスファルトの道路と異なり、地面がデコボコしていたり、斜面になっていたりと不安定な場所が多く、農道は田畑より高い位置にあることも多いため、例えば、カーブを曲がる際にほんの少し操作を誤るだけで脱輪し、車体ごと転落してしまう危険があります。
そうなると、運転者は車体から投げ出されたり、下敷きになってしまう可能性があります。美保さんは「農業機械は大型の機械ですので、安全に扱うための研修などをしっかり受講していただくことが大切です」と声を大にします。
そして、農業機械を扱うときのポイントとして、「まずは安全装備をしっかりつけ、トラクターやコンバインに乗るときは、ヘルメットやシートベルトを装着してください。トラクターには、安全フレームといって転倒しても運転者の身を守る装備がありますので、運転するときは必ず安全フレームを立てて使用してください。また、農道やほ場(田や畑など農産物を育てる場所の総称)で転落・転倒する可能性がある危険な箇所があれば、“あらかじめ目印をつける”“草を刈って見やすくする”などの対策をしましょう。狭い道のカーブでは徐行運転も心がけてください」と解説します。
農業機械のなかでも、コンバインは“死角の多さ”が事故の要因になっています。作業者に気づかず接触してしまったり、手で脱穀部に稲を投入する際、チェーンに腕が巻き込まれる事故も発生しています。美保さんは「コンバインの場合は、先ほどの対策に加えて、一緒に作業する人との意思疎通をしっかり取ってから作業をおこなってください。また、動かす際は他の作業者の位置を確認し、声を掛け合ってください」と呼びかけます。
また、コンバインの脱穀部の点検や掃除をするときは手が巻き込まれないよう、必ずエンジンを止めておこないましょう。手で脱穀作業をするときは、機械に巻き込まれないように手袋や軍手、首に巻いたタオルなどを外し、袖口をしめて作業してください。
◆農作業中の熱中症に注意
農作業中の事故で2番目に多いのが熱中症です。その対策として「水分・塩分のこまめな補給」と「無理をしない」ことが基本です。高温下での長時間作業は避けて20分ごとに休憩を取り、涼しい日陰で体を冷やしましょう。単独作業を避けることも大事です。
近年は“プレクーリング”という方法も注目されています。美保さんは「農作業を始める直前に冷たい飲み物やタオルで体温を下げることで、作業中の体温上昇を抑える効果があります」と紹介。これは農業に限らず、屋外作業をする人にも有効な対策です。
さらに、通気性のよい帽子やネッククーラー、体温の上昇を知らせるウェアラブル端末(首や腕などに装着するデバイスの総称)などのグッズを取り入れることも効果的です。「ウェアラブル端末には人間の体温を推定し、上昇を検知したら、光や音、振動によって装着している人に熱中症リスクを教えてくれる物もあります。残暑が続くこれからの時期も気を抜かずに、こうしたアイテムを活用するのも対策の1つです」と語ります。
そして、最後に「これから収穫の時期を迎え、農家の皆さんは一段と忙しくなります。しかし、どんなに慣れた作業でも、ちょっとした油断が思わぬ事故につながることがあります。だからこそ、改めて日々の作業を見直して、安全第一で取り組んでください。また、各地域で農作業安全についての研修会が開催されていますので、このような機会も活用し、正しい安全知識を学んでいただければと思います」と話していました。
番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「農作業の安全対策」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。村上は“農作業中の熱中症対策はお済みですか?”とスケッチブックに書き、「私からも呼びかけて、皆さんに気付いてもらいたいと思いました」と言います。続けて、杉浦は“農作業 一番危険なのは慣れです”とポイントを挙げ、「こちらも、皆さんに気を付けていただきたいです」とコメントしました。

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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm
8月24日(日)の放送テーマは、「なくそう! 田んぼや畑でのヒヤリ・ハット ~農作業の安全対策~」。農林水産省 生産資材対策室の美保雄一郎(みほ・ゆういちろう)さんから、農作業中に起こりやすい事故とその対策について伺いました。

(左から)杉浦太陽、美保雄一郎さん、村上佳菜子
◆農業は作業中に命を落とすリスクが高い
まもなく秋の収穫シーズンが到来、各地でお米の刈り入れが本格化します。その一方で心配されるのが、頑張りすぎによる事故です。建設業や運送業、製造業など、危険を伴う産業はいくつもありますが、実は実作業中に命を落とす人の割合が最も高いのが“農業”と言われています。その割合は建設業と比べても約2.5倍にのぼり、2023年には236人もの方が農作業中の事故で亡くなっています。
美保さんによると、死亡事故の多くはトラクターやコンバインといった農業機械の取り扱い中に発生しています。次に多いのが熱中症で、発生は7月や8月に集中しますが、9月にも少なくありません。
特に注意が必要なのは、農業経験が浅い人です。分析によると、事故の過半数は雇われてからの経験期間が3年以下の人が起こしています。また、年齢別では50代以上の事故発生率が高く、定年後に農業を始める人などもリスクが大きいとされています。
しかし、ベテラン農家にも油断や慣れから事故が起きることがあります。美保さんは「経験があるからこそ慣れや油断が生まれ、それが重大な事故に直結することもあります。“農作業中の事故は誰にでも起こりうるもの”という意識を持って、日々の作業に取り組んでいただきたいと思います」と注意をうながします。
◆農業機械の安全対策は“基本の徹底”
続いて、農作業の事故を防ぐために気をつけるべきポイントを伺います。まずは、農作業中の死亡事故が最も多く発生している「農業機械の安全対策」です。
農業機械事故のうち、最も多いのは機械の転落・転倒です。田んぼや畑はアスファルトの道路と異なり、地面がデコボコしていたり、斜面になっていたりと不安定な場所が多く、農道は田畑より高い位置にあることも多いため、例えば、カーブを曲がる際にほんの少し操作を誤るだけで脱輪し、車体ごと転落してしまう危険があります。
そうなると、運転者は車体から投げ出されたり、下敷きになってしまう可能性があります。美保さんは「農業機械は大型の機械ですので、安全に扱うための研修などをしっかり受講していただくことが大切です」と声を大にします。
そして、農業機械を扱うときのポイントとして、「まずは安全装備をしっかりつけ、トラクターやコンバインに乗るときは、ヘルメットやシートベルトを装着してください。トラクターには、安全フレームといって転倒しても運転者の身を守る装備がありますので、運転するときは必ず安全フレームを立てて使用してください。また、農道やほ場(田や畑など農産物を育てる場所の総称)で転落・転倒する可能性がある危険な箇所があれば、“あらかじめ目印をつける”“草を刈って見やすくする”などの対策をしましょう。狭い道のカーブでは徐行運転も心がけてください」と解説します。
農業機械のなかでも、コンバインは“死角の多さ”が事故の要因になっています。作業者に気づかず接触してしまったり、手で脱穀部に稲を投入する際、チェーンに腕が巻き込まれる事故も発生しています。美保さんは「コンバインの場合は、先ほどの対策に加えて、一緒に作業する人との意思疎通をしっかり取ってから作業をおこなってください。また、動かす際は他の作業者の位置を確認し、声を掛け合ってください」と呼びかけます。
また、コンバインの脱穀部の点検や掃除をするときは手が巻き込まれないよう、必ずエンジンを止めておこないましょう。手で脱穀作業をするときは、機械に巻き込まれないように手袋や軍手、首に巻いたタオルなどを外し、袖口をしめて作業してください。
◆農作業中の熱中症に注意
農作業中の事故で2番目に多いのが熱中症です。その対策として「水分・塩分のこまめな補給」と「無理をしない」ことが基本です。高温下での長時間作業は避けて20分ごとに休憩を取り、涼しい日陰で体を冷やしましょう。単独作業を避けることも大事です。
近年は“プレクーリング”という方法も注目されています。美保さんは「農作業を始める直前に冷たい飲み物やタオルで体温を下げることで、作業中の体温上昇を抑える効果があります」と紹介。これは農業に限らず、屋外作業をする人にも有効な対策です。
さらに、通気性のよい帽子やネッククーラー、体温の上昇を知らせるウェアラブル端末(首や腕などに装着するデバイスの総称)などのグッズを取り入れることも効果的です。「ウェアラブル端末には人間の体温を推定し、上昇を検知したら、光や音、振動によって装着している人に熱中症リスクを教えてくれる物もあります。残暑が続くこれからの時期も気を抜かずに、こうしたアイテムを活用するのも対策の1つです」と語ります。
そして、最後に「これから収穫の時期を迎え、農家の皆さんは一段と忙しくなります。しかし、どんなに慣れた作業でも、ちょっとした油断が思わぬ事故につながることがあります。だからこそ、改めて日々の作業を見直して、安全第一で取り組んでください。また、各地域で農作業安全についての研修会が開催されていますので、このような機会も活用し、正しい安全知識を学んでいただければと思います」と話していました。
番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「農作業の安全対策」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。村上は“農作業中の熱中症対策はお済みですか?”とスケッチブックに書き、「私からも呼びかけて、皆さんに気付いてもらいたいと思いました」と言います。続けて、杉浦は“農作業 一番危険なのは慣れです”とポイントを挙げ、「こちらも、皆さんに気を付けていただきたいです」とコメントしました。

(左から)杉浦太陽、村上佳菜子
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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm