青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。7月30日(日)の放送では、警察庁 長官官房 教養厚生課長の櫻井美香(さくらい・みか)さんに、「性犯罪被害者に寄り添う『#8103(ハートさん)』」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、櫻井美香さん、足立梨花
◆増加傾向にある性犯罪
2023年6月、国会において性犯罪に関する刑法の改正案が可決・成立しました。これにより、これまでの「強制性交罪」などが「不同意性交罪」に、「強制わいせつ罪」などが「不同意わいせつ罪」に変更となります。
また、被害者が“同意しない意思”を表すことが難しい場合を具体的に示すなど、処罰が適切におこなわれるよう、さまざまな改正がおこなわれました。そして、この改正刑法は7月13日(木)に施行となり、すでに運用がスタートしています。
近年“強制性交”“強制わいせつ”どちらの性犯罪も、警察が認知した件数が増加傾向にあり、被害者の約8割は20歳以下。また、男性の被害も毎年確認されています。櫻井さんは「性犯罪は被害者の尊厳を踏みにじり、身体のみならず精神にも極めて重い被害を与え、その後の生活にも甚大な影響を与えることが多い犯罪です」と訴えます。
実際にレイプ被害者の半数程度がPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状を抱えるとも言われており、日常生活に深刻な影響を及ぼします。犯罪被害者、またその家族におこなった調査によると、事件後の心境や状況について、「不安を抱えた」「落ち込んだ」「外出したくないと思った」「不眠や食欲不振により体調を崩した」「孤立感、疎外感に苛まれた」などの声があがっており、「こうした心身への影響は、突然、大きなショックを受けた後では、誰にでも起こりえることです」と櫻井さん。
さらには、心身への影響により、医療費を負担したり、より深刻な場合は、仕事を失ったり、転職を余儀なくされるなど、経済的に困窮する場合もあります。そして、捜査や裁判が精神的にも時間的にも負担になったり、周囲の人々の無責任なうわさ話やマスコミの取材でプライバシーを侵害されるなどの二次的被害を受ける可能性も。
櫻井さんは、「このような状況から、犯罪被害者は被害について誰にも話さなくなり、そのために社会が被害の深刻さに気づかず、被害者への誤解や偏見がそのまま放置される、といった悪循環に陥っている恐れもあります」と言及します。
◆性犯罪被害相談電話の全国共通番号「#8103」
こうした背景もあり、犯罪被害者と最も密接に関わり、犯罪被害者を保護する役割を担う警察では、犯罪被害者の視点に立ったさまざまな取り組みを推進しており、そのうちの1つが「#8103(ハートさん)」です。
「#8103(ハートさん)」とは、性犯罪被害相談電話全国共通番号のことで、性犯罪被害者などが相談しやすい環境を整備するため、各都道府県警察の性犯罪被害相談電話につながる全国共通番号「#8103」を導入しています。
また、性犯罪は夜間に発生することも少なくないことから、いつでも相談できるよう、すべての都道府県警察において24時間・通話料無料で対応しています。また、性犯罪に遭った被害者だけでなく、被害者の家族や友人などからの相談も受け付けており、「性別や年齢の限定もありません。匿名での相談も可能で、秘密は守られます」と話します。
なお、多くの場合、性犯罪を担当する女性職員が対応にあたりますが、土日祝日及び執務時間外は当直の職員が対応します。ただし、可能な限り、相談者の希望する性別の者が対応するように努めます。なお、2022年度の着信件数は約2万3,000件にのぼります。
◆性犯罪加害者の特性
ここで知っておきたいのは、性犯罪・性暴力の特性です。なんと、加害者の約7~8割は“顔見知り”との調査結果があります。特に子どもの場合、親、祖父母、きょうだい(兄妹・姉弟)等の親族や教師、コーチ、施設職員など、自分の生活を支えている人や友好的だと思っている人から被害を受けています。そして、被害が継続することも多く、他人にも言えない状況があります。
そんなときこそ、「ハートさん」をかけてほしいと櫻井さんは言います。「どのような場合でも、1人でつらい気持ちを抱えて耐える必要はありません。周りには話しにくいことでも“顔の見えない電話だから話せる”ということもあると思います。『ハートさん』にお電話いただければ、いつでも、被害者のみなさんの気持ちに寄り添って対応します」と力を込めます。
具体的な相談の流れは、被害者から電話をいただいた場合、まずは、被害者の意向をしっかりと伺ったうえで、事件化はもとより、医療機関での受診やカウンセリング、民間支援団体の紹介など、必要な支援につなげます。また“大ごとにしたくない”“事件化したくない”など、警察への被害の届出を迷っている段階でも相談できます。
改めて櫻井さんは、「性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる決して許されない行為です。警察としては、性別や年齢を問わず、性犯罪被害者などが悩むことなく警察に相談しやすくなるよう、引き続き、環境を整備していきます。警察はあなたの心、ハートに寄り添ってお話を伺います。1人で悩まずに、まずは相談してください」と声をかけました。
「ハートさん」の存在を初めて知ったという足立は「性別や年齢の限定もなく、匿名での相談も可能で“秘密は守られる”というところは、とても重要だなと思いました。(被害者は)言えないこと、言いづらいことを話さなければならないのでとても大変だと思います。でも、話すことによって何かしら解決策への糸口が見えると思うので、何かもやもやすることがある方は『ハートさん』に電話してみてほしい」と言及。
青木も、「被害に遭われている方は、1人でつらい気持ちを抱えて耐える必要はありません。周りには話しにくいことでも、顔の見えない電話だからこそ話せることもあると思いますから、被害の覚えがあるという方は『ハートさん』に電話をお願いします」と呼びかけていました。
(左から)青木源太、足立梨花
----------------------------------------------------
7月30日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年8月7日(月) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
----------------------------------------------------
<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花