アーティストの「こっちのけんと」がパーソナリティをつとめるTOKYO FM のラジオ番組「G-SHOCK presents THE MOMENT」(毎週金曜17:00~17:25)。さまざまなゲストをお迎えし、生まれてからこれまでの時間のなかで、人の心に刻まれている「人生が変わった瞬間」=“MOMENT(モーメント) ”を探ります。
5月23日(金)、30日(金)の放送ゲストは、音楽プロデューサー・GRP (ジーアールピー)さん。5月30日の放送では、ロサンゼルス移住の決め手や、楽曲「はいよろこんで」の制作で意識したポイントを語ってくれました。
GRPさん、こっちのけんと
大阪府出身のGRPさん。2010年にSpontaniaのアルバム曲『ONE』の制作に参加したことがメジャー市場で仕事を得る転機に。その後、ソナーポケットやET-KING、SEAMOの楽曲制作に携わり、プロとしての評価を高めます。2017年よりアメリカ・ロサンゼルスに拠点を移転。海外作家とのコライト(※Co-Write/複数の音楽家が共同で楽曲制作をおこなう手法のこと)も積極的におこない活動の幅を広げています。
こっちのけんととGRPさんは、TikTokでバイラルヒットした楽曲「死ぬな!」や「どんぐりGAME」「はいよろこんで」に続き、アニメ「ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-」のオープニング曲で新曲の「けっかおーらい」でもタッグを組んでいます。
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◆英語が喋れないなかロサンゼルスに移住
こっちのけんと:本日は先週の続きということで。GRPさんの3つ目のモーメントは?
GRP:「2015年に初LA、2017年にロサンゼルス移住」です!
こっちのけんと:すごい! 初LAは何歳の頃ですか?
GRP:31歳のときですね。
こっちのけんと:きっかけは何だったんですか?
GRP:僕の昔の友達がロサンゼルスとか海外によく行っていて、「遊びに来ないか」と誘ってくれたんですよ。でも、最初はアメリカに怖いイメージがあったんですよね。
こっちのけんと:僕もそうでしたよ!
GRP:「全員銃を持ってるんちゃうか」みたいなイメージだったんですけど、そんなことはないよと。で、行ったらドハマリしてしまいました。
こっちのけんと:あら! 最初は観光だけ?
GRP:そうですね。ロサンゼルスに初めて行ったら、青い空、青い海で……。
こっちのけんと:めっちゃわかる! 僕も今年の2月に初めてLA行ったんですけど、一番印象深かったのは青い空でした。あと、夕日がオレンジ色だったんですよね。
GRP:どこで写真を撮っても絵になりますよね。もちろん日本の音楽の仕事もあって、LAでも制作していたんですけど、やっぱり気分が違うんですよ。もっといい曲ができるんです。
こっちのけんと:ほう!
GRP:LAのバイブスが気持ちをかき立てるというか、日本では作れない感覚があるんです。最初は「一時的な感覚なのかな」って思ってたんですが、何回か行ってもその感覚がなくならないんです。
こっちのけんと:ずっとワクワクしたんですね。
GRP:それで、「これは住みなさいってことなのかな」と思ったんです(笑)。
こっちのけんと:ピュアだな、この人(笑)! で、2017年にロサンゼルスに移住?
GRP:移住の前にビザが必要じゃないですか。それで、音楽のビザを申請したら通って、2017年に移住できました。
こっちのけんと:そもそも、英語は話せてたんですか?
GRP:話せません! ノリです!
こっちのけんと:やっぱりこの人は変だなあ(笑)。
GRP:僕は地元のアーティストとつながりたくて、日本で音楽をやっているっていうのはあまり言わなかったんですよ。そうしたら、「音楽をやるためにアメリカに来たアジア人なんだ」みたいな感じで面白がってもらえたんです。
こっちのけんと:じゃあ、LAに移住したのは音楽的なツテがあったわけではなく?
GRP:そうですね。楽曲制作していたときの感覚が忘れられなかったからです! そうなると、どうやってアーティストと出会っていったのかなって思いますよね?
こっちのけんと:そうですね。
GRP:ストリートを歩いて、すれ違いざまに「Are you a rapper?」って聞いていました。ほんなら「イエーイ!」って言うんですよ。そうしたら友達のラッパーを紹介してくれたりと、そんな感じです。でも、僕にとってはすごく大事なことだったんですね。地元のアーティストと関わって、その土地の音楽を感じたかったんですよ。
こっちのけんと:すごすぎるなあ。
◆「はいよろこんで」が記録的大ヒット!
こっちのけんと:続いて、4つ目のモーメントは?
GRP:「こっちのけんとさんと『はいよろこんで』を制作し、ヒット曲に」!
こっちのけんと:ついにですよ!「エモい」の3文字で片付けるのもあれですけど、エモいですね! 人生が大きく変わりました。僕とGRPさんと作った曲でいうと、これが3作目でした。
GRP:そうですね。「死ぬな!」「どんぐりGAME」、そして「はいよろこんで」です。
こっちのけんと:当時、ゴリピー(GRP)さんって何を考えて作ってました? 要は、バズることを意識して制作されてましたか?
GRP:3作目じゃないですか。けんとくんの良さを理解していたところもあって、これを作るときも「けんとくんが必ずおいしくしてくれる」と信じていました。
こっちのけんと:なるほど!
GRP:信じつつ、でもちょっと意地悪に、「変なふうに作ろう」っていう意図もありました。
こっちのけんと:やっぱりそうなんだ!
GRP:最初、僕らは「めちゃくちゃバズる曲を作ろう」っていうところから始まったじゃないですか。イントロもAメロもBメロも全部サビみたいなんだけど、構成はどうなっているんだろうと思うような曲を作ろうって話をしましたよね。
こっちのけんと:そうそう!
GRP:でも、キャッチーに作りたいっていうことで、頭のなかですごく考えて作っていましたね。
こっちのけんと:先ほど、ちょっと意地悪してみようというお話がありましたけども、それが結果的にすごくいい方向に作用したんですよね。2番サビ手前、早口でバーッと「奏でろハクナマタタな音は」と言うパートは、僕のところにトラックが届いた時点で、意図的に空白がちょっと長かったんですよ(笑)。
GRP:尺も長かったですよね。
こっちのけんと:2番のBメロのトラックも動きが大きく変わっていましたよね。
GRP:全部、わざとやっています(笑)!
こっちのけんと:あの辺、当時めちゃくちゃ悩みましたね。「変えたいんだろうな」って感じながらも、ボーカルとしてのメロディは残しておきたいっていう気持ちもあって。「後一歩踏み出して」はそのままにして、そのあとのハクナマタタ辺りで1週間ぐらい時間を使いました(笑)。
GRP:僕もトラック作るうえで、トラックだけ聴いても飽きない、何度でも聴けるようなものっていうのを、今回これだと特に意識していて。1人の作業のときもずっとトラックだけを聴いて、「あ、いいな」って思ったんですよ。
◆アメリカでも制作曲が知られるようになった
こっちのけんと:楽曲がヒットしたことで何か変化はありましたか?
GRP:アメリカでこの曲を知ってる人がいました。
こっちのけんと:マジですか!?
GRP:僕の友達の息子なんですけど、黒人の子で。なぜあえて黒人と言ったかというと、アジア人なら日本の曲を知っている可能性があるじゃないですか。その子はアジア人がほぼいない学校に通っていて、そこで「はいよろこんで」がめっちゃ流行っていると教えてくれたんですよ。
こっちのけんと:学校で「はいよろこんで」が!?
GRP:人種が違う子たちがみんな踊っているらしいです。自分が作ったことを友人が息子に伝えたところ、めっちゃ興奮してたらしいです(笑)。TikTokの影響がすごかったみたいで、他にも知っている人は何人かいましたよ。
こっちのけんと:アメリカでも!
GRP:自分が作ってきた曲をアメリカの人が知ってるってことは今までなかったです。そこが変わったところですかね。
こっちのけんと:嬉しい~! 僕は「はいよろこんで」の前後で曲の作り方が変わってきている感覚があるんですね。あの曲ができたからこそ、今は違うアプローチで作れるようになったというか。
逆に、「はいよろこんで」に重ねた作り方もできるというか、1個の軸ができた感覚が僕のなかにできました。それってゴリピーさん的にはどうですか? それこそ、「けっかおーらい」を作っているとき、僕は「はいよろこんで」を意識していたところがあったんです。
GRP:僕はそれが“個性”なのかなと思うところがあります。「けっかおーらい」を作って「はいよろこんで」に似てしまったらアカンというか、そこから離れて作ろうと意識したところはありますね。そうしたら、結果的にめちゃくちゃいい曲ができました。
こっちのけんと:めっちゃ気持ちわかります。自分たちが普段着ている服が似てくるみたいな感覚で、「はいよろこんで」に寄ってきちゃうところもある。でも、そもそも2人で作った曲ですからね。
GRP:曲調として似ちゃうのは当たり前ですよね。でも、「けっかおーらい」って全然違いますよね?
こっちのけんと:そうですね! ザ・アニソンって感じがします。
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<番組概要>
番組名:G-SHOCK presents THE MOMENT
放送日時:毎週金曜 17:00~17:25
パーソナリティ:こっちのけんと
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/moment/
番組公式X:@TFM_THEMOMEN