福砂屋創業400周年記念を記念し、伊勢丹新宿店の特別催事にて数量限定販売される特別なお菓子。左から「虎福の夢 紅(こふくのゆめ べに)」「千代香(ちよか)」
9月23日(月・振休)に放送された特別ラジオ番組「TOKYO FM・FM長崎 共同制作 福砂屋400周年記念特番 カステラのルーツを訪ねて」。南蛮貿易の時代に長崎にカステラが伝来してからの歴史を紐解きながら、あらためて知っているようで知らない福砂屋の「カステラの魅力」に迫りました。
番組パーソナリティの住吉美紀が創業400周年を迎えた長崎の老舗カステラ店「カステラ本家福砂屋」(以下、福砂屋)を訪れ、カステラのおいしさの秘密、原材料の卵に感謝する法要“卵供養”などを紹介。ゲストには“福砂屋好き”の小森隼さん(GENERATIONS from EXILE TRIBE)を迎えて、400周年を記念した「福砂屋 伊勢丹新宿店 400周年企画」商品をいただきました。
福砂屋・本店を訪れるパーソナリティの住吉美紀
◆老舗・福砂屋のカステラの歴史
1624年(寛永元年)に長崎で創業した福砂屋は、2024年に創業400周年を迎えました。番組では、なぜこれほど長く福砂屋のカステラが愛されてきたのか、その理由をルーツから探りながら「カステラの今の魅力」を紐解きました。
創業400周年を迎えた福砂屋のカステラ
福砂屋では創業以来、長崎カステラの製法を継承して現在に至っています。創業当時、大店(おおだな)と呼ばれる貿易商を営んでいた福砂屋は、米穀や中国の福建省福州の砂糖など、さまざまな品目を扱っていたとされています。
福砂屋の屋号は、福建省福州の「福」と砂糖の「砂」が由来です。鎖国時代の長崎は唯一、外国との貿易の窓口として機能した場所であり、材料が手に入りやすいことからも、カステラは長崎の名物となって広まりました。
福砂屋の本店は、もともと引地町(現在地名:長崎市桜町・興善町)にありましたが、5代当主から船大工町へ移転。唐人屋敷も近く、多くの人で賑わっていた場所で新たなスタートを切ります。
長崎県長崎市船大工町にある福砂屋本店
福砂屋の商標は、蝙蝠(コウモリ)をかたどったシンボルが特徴的です。ロゴのはじまりは明治時代。福砂屋12代当主の「カステラをもっと長崎を代表する菓子として育てたい」との願いを込めて、砂糖を始めとする物資を仲介し、絶えることのない交流があった中国で慶事・幸運の印とされ、「蝠」と「福」の字が同音で縁起が良いと言われる「蝙蝠」に商標変更をおこないました。
今回の福砂屋の400周年ロゴは、そんな蝙蝠のロゴと数字の400がシンプルに表現されたものとなっています。
400周年を記念したロゴ
◆卵は手割り、“一人一貫主義”…福砂屋こだわりのカステラ製法
番組では、住吉が福砂屋本店を訪問し、16代当主のご子息である取締役総務部長・殿村修司さんから、カステラのおいしさの秘密を伺いました。
(写真左から)福砂屋・取締役 総務部長・殿村修司さん、住吉美紀、福砂屋・総務部 総務課課長・田添龍平さん
福砂屋のカステラの製法は創業当時から変わらず、卵を手割するところから始まります。卵を白身と黄身に分け、白身を充分に泡立ててから黄身や砂糖、小麦粉の別の材料を加えることで、カステラにしっとりと、ふわっとした食感が生み出されます。
卵の手割、混合、撹拌(かくはん)、焼き上げまで、すべての作業を1人の職人が一貫しておこなう「一人一貫主義」と呼ばれる製法を採用しています。
カステラの底にあるザラメ糖は長崎カステラの特徴です。ザラメを敷いた上に生地を流し込んで焼き上げる方法もありますが、福砂屋では生地を攪拌する際にザラメ糖を生地に入れて、ザラメ糖の角をすり減らしながら丸みを帯びた状態で底に沈殿させる方法で作っています。殿村さんは「ザラメ糖の角をすり減らすことで、気持ちのいい食感となります」と解説しました。
◆1年に一度、“卵”に感謝の気持ちを捧げる行事
大航海時代に日本へともたらされたカステラを400年間作り続けてきた福砂屋では、明治以降から年に一度、カステラの材料として使われる卵に感謝し、供養する「卵供養」と呼ばれる法要を続けています。
「卵供養は福砂屋の菩提寺である正覚寺で毎年5月22日におこなっており、日々カステラを作れていることに感謝をする日です」と殿村さん。
その際にお供えする、伝統の炭窯で焼き上げられた特別なカステラがあります。炭窯での焼き上げは、現在の製法よりも時間がかかります。福砂屋の関係者たちはこの特別なカステラをいただき、カステラ製造に心血を注いできた先人たちに思いを馳せながら、思いを新たにするそうです。卵供養は長崎だけでなく、工場がある東京、福岡それぞれが卵供養の日を設けて卵に感謝します。
◆福砂屋400周年記念特別催事 9月25日(水)より伊勢丹新宿店で開催!
そんな福砂屋創業400周年を記念して、伊勢丹新宿店では9月25日(水)~10月8日(火)に特別催事「福砂屋創業400周年記念プロモーション」を開催。催事では通年商品に加えて、400周年記念グッズや地域限定カステラ販売のほか、半世紀ぶりに復活する福砂屋の「千代香」の実演販売も実施します。
(左上から時計回りに)福砂屋ビスコチョ400周年記念缶、虎福の夢 紅(こふくのゆめ べに)、福砂屋オリジナルデザイン/ShupattoコンパクトバッグM、千代香(ちよか)
番組後半では、ゲストに福砂屋のカステラ好きで知られる小森隼さん(GENERATIONS from EXILE TRIBE)を迎え、住吉とともに福砂屋400周年を記念して作られたお菓子をいただきました。
400周年記念商品を手に撮影。(左から)小森隼さん、住吉美紀
千代香は、カステラ生地に香り付けの日本酒を配合して焼き上げ、餡子(あんこ)を包んだお菓子。福砂屋では1969年まで製造販売をしていましたが、カステラづくりへ専念するため、惜しまれつつも製造販売終了したものでした。その後もレシピは大切に保管されており、今回の復活は実に55年ぶりとなります。
創業400周年を迎えるにあたり、当時の焼き手であった元職人から現代の職人へ技術を伝承。カステラ同様、職人の手技によって生み出される当時の技術を完全再現するべく、約1年の練習を積み重ねてから製造に至ったと言います。
55年ぶりに復活した「千代香」
スタジオでは、茶道を習う住吉が点てた抹茶とともに千代香を味わいました。小森さんは「福砂屋さん独特のカステラの甘味と、餡子との相性が抜群です。甘さが上品で、餡子は甘すぎず、しっとりした食感ですね」とレポート。住吉も「外のカステラの甘い風味の皮と、餡子がすごく合いますね!」と感想を述べました。千代香の販売は伊勢丹新宿店にて10月2日(水)~10月8日(火)まで各日300箱限りとなります。
続けて、2人は特別催事にて数量限定販売される限定復刻の「虎福の夢 紅」を試食。「虎福の夢 紅」は、2011年に東横のれん街60周年記念に開発された菓子で、室町時代後期に京都で創業し、5世紀にわたり和菓子屋を営む「とらや」とのコラボで生まれた商品です。福砂屋創業400周年を記念して、8年ぶりに待望の復刻を果たしました。
和菓子店「とらや」とのコラボ商品「虎福の夢 紅(こふくのゆめ べに)」が限定復刻
上段は福砂屋のカステラ、中段は紅色が美しいとらやの煉羊羹(ねりようかん)、下段はカステラの材料に、とらやのさらし餡を混ぜたオリジナルの生地。とらやの餡と福砂屋のカステラを一度に味わえる一品です。
「虎福の夢 紅」を食べた住吉は「まるで味のベストアルバムのようです。次々とおいしさが訪れる感覚です」と絶賛。小森さんも「一緒に焼き上げられていることで贅沢感がすごくありますね。おいしい!」と太鼓判を押しました。
伊勢丹新宿店にて数量限定で販売される「虎福の夢 紅」の販売期間は、9月25日(水)~10月1日(火)まで。各日300個限定販売となりなります。特別催事の詳細、販売商品については公式サイト
「福砂屋 伊勢丹新宿店 400周年企画」をご確認ください。
◆原点回帰と創意工夫でカステラを守り続ける
カステラの歴史を紐解き、400年にわたって製法を守り続けている福砂屋の味のこだわりに迫った今回の番組。住吉は取材を通じ、福砂屋のカステラを食べたときに感じるほっとした気持ちの理由を知ることができたと話します。
400年の歴史で価値観やテクノロジーは大きく変化しているなか、福砂屋がその技を絶やさずに伝えてきたことは、企業努力と誠実さの賜物です。さらに、技を守り続ける人々の技術や精神は、私たちにとっても「未来への大きな財産」につながります。住吉は「100年後の人たちも福砂屋のカステラを食べて、きっと温かい心になるのではないでしょうか」とコメントしました。
最後に、福砂屋 取締役総務部長・殿村修司さんから“福砂屋の未来”について語っていただいた言葉をご紹介します。
<殿村さんの言葉>
当社社長もよく申し上げていることですが、福砂屋は手作りの伝統を日々にたしかめ、ひたすら文化を創造してまいりました。伝統はかたくなに守るものではなく、時代認識を持ち大切に育てていくことを肝に銘じ、伝統をつないできました。
創業の心への原点回帰と創意工夫を支えとして、これからもお客様との絆を大切に、「カステラ 時をつなぐ 心をつなぐ」をキーワードとし、カステラ作りの心とものづくりの心を大切にして、時をつないでいく所存です。
400周年に携われる瞬間にいる、そこに務めているのは素敵なことだなと思っています。当社に携わる人含めてみんながいつも感じていることですし、僕自身も日々大切に思っていることですが、次の100年に向けて“変えるもの”と“変えてはいけないもの”を着実に見極め、カステラ文化の創造・普及・発展を今後も親身となっておこない、当社しかできないこと、当社だから伝えることを大切に、次の百年を目指していきたいなと思っております。
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TOKYO FMとJFNが運営する音声サービス「AuDee(オーディー)」では、特別編集版も配信中です。
また、今回の特番のフォトレポートは公式サイト
「TOKYO FM・FM長崎 共同制作 福砂屋400周年記念特番 カステラのルーツを訪ねて」にて公開中です。
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9月23日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年10月1日(火) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:TOKYO FM・FM長崎 共同制作 福砂屋400周年記念特番 カステラのルーツを訪ねて
パーソナリティ:住吉美紀