脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。
11月29日(土)、12月6日(土)の放送ゲストは、小説家であり作詞家としても幅広く活躍する児玉雨子(こだま・あめこ)さんが登場。12月6日の放送では、最新刊『目立った傷や汚れなし』(河出書房新社)を10月に刊行した児玉さんが、多岐にわたる創作活動の裏側などについて語っていただきました。
児玉雨子さん
神奈川県出身、1993年生まれの児玉さん。明治大学大学院文学研究科 修士課程を修了。
作詞家としては、アイドルグループや声優、テレビアニメの主題歌、さらにはVtuberや近田春夫さんの楽曲まで、幅広いアーティストに詞を提供しています。小説家としても高い評価を得ており、2023年刊行の『##NAME##』(河出書房新社)は第169回芥川賞の候補作に選出されました。ジャンルを越えて、言葉が持つ可能性を追求し続けるクリエイターです。
◆作詞家デビューは「新人賞への応募」がきっかけ!?
茂木: 児玉さんは、作詞家と小説家デビュー、どちらが先でしたか?
児玉: きっかけは小説ですが、デビューは作詞のほうが先です。高校生当時、文学賞の新人賞に応募して、高校生がいきなり……という感じで。高校生は純文学の賞が多いんですけどね。それで、名前も面白いし、とちょっとお声掛けいただいて、テレビ局のオープニング主題歌の作詞をしたことがきっかけでした。
茂木: その新人賞の応募がきっかけで作詞をされて、そこに才能があったんですね。
児玉: 本当にありがたいことに、運が良かったと言うか。当時は、今のアイドルブームより少し前の、2000年代のアイドルブームが過熱していたときだったので、波が来て、それでお話をいただきました。
◆「白い歯」「元気になる」はNG!? 作詞家を縛る薬機法のリアル
茂木: 作詞家として大事にしていることというか、作家性はどこら辺にあるのでしょうか?
児玉: 難しいですね。作詞家というのは、人から思われる以上に下請けなんです。例えばタイアップものだったら、スポンサーの……。
茂木: 拘束条件があるわけですよね。
児玉: はい。それがたくさんあったり。あとはCMなどでは薬機法(※医薬品、医療機器などの品質、有効性および安全性の確保などに関する法律)とかがあったり。
茂木: 「効く」のような言葉を使ってはいけない、ということですよね。例えば、「元気になる」とか。
児玉: そうです。「元気になる」は絶対に駄目です。それと、おもしろかったのがデンタルケアのWeb CMのお話で、「白くなる」「ピカピカになる」などの言葉がダメなので、結構大変でした。
茂木: 僕は昭和の人間なので、よく「白い歯っていいな」というコマーシャルを見ましたよ。
児玉: そうなんです。昔はあったんですけど、今は「白い歯」がダメなので、比喩表現として、例えば「笑う」という意味で「白い歯を見せる」という言葉を入れたら、「ちょっとここは……」と。
茂木: そのような、いろいろな制約があるなかで、クリエイティブをやっていらっしゃるということなんですね。
茂木健一郎、児玉雨子さん
次回12月13日(土)、20日(土)放送は、俳優・早乙女太一さんをゲストにお迎えしてお届けします。
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<番組概要>
番組名:Dream HEART
放送エリア:TOKYO FMをはじめとするJFN全国38局ネット
放送日時:毎週土曜22:00~22:30
パーソナリティ:茂木健一郎