TOKYO FMの音声サービス「AuDee(オーディー)」で配信中の、放送作家兼ラジオパーソナリティの植竹公和が、彼のレーダーにかかった文化人を招いて送るスペシャルトーク番組「歌う放送作家 植竹公和のアカシック・ラジオ」。今回のお客様は、JR東海のCM「クリスマス・エクスプレス」シリーズなどで知られるCMディレクターの早川和良さん。伝説のCM制作の裏側について語ってくれました。
▶▶「植竹公和のアカシック・ラジオ」」音声版
(左から)パーソナリティの植竹公和、早川和良さん
◆牧瀬里穂の笑顔は撮り直したもの
植竹:「クリスマス・エクスプレス」シリーズの牧瀬里穂編(クリスマス・エクスプレス編)は大傑作だと思いました。「牧瀬さんがなぜこんなに必死に走っているんだろう」とは思いましたけど。
早川:ちょっと(約束の時間に)遅れちゃったという設定なんですよね。
植竹:まだ携帯がない時代でしたからですね。ロケのときに大変なことはありましたか?
早川:これは2日間撮影したんです。構内の撮影でしたし、ホームで彼が降りて来るところもありましたので時間がかかりました。あとはエキストラもたくさんいました。第1作目の登場人物は2人だけなんですが、エキストラがたくさんいると時間がかかります。
植竹:彼を見つけて安心しきった牧瀬里穂が、すごい笑顔の表情を浮かべます。あそこのシーンの撮り直しとかはあったんですか?
早川:あそこのシーンではないのですが、人混みのなかで彼を探すシーンがありまして。走って来て彼を探して、見つけたときに彼女の顔が不安そうな表情から一瞬にしてうれしそうな表情に輝いていく、ここが非常に重要なドラマのポイントです。
これは初日に撮影したのですが、あとで見直して私は納得できなかったのでプロデューサーに電話して「悪いけど、エキストラを呼んでもう1回同じセッティングをして、2日目にやるぞ」と。それで再度撮影したシーンです。
植竹:牧瀬さんは感覚的にどうでしたか?
早川:あのときは16歳かな? この前に1本なにかのCMに出ていて「この子いいな」と思っていました。走るところも若さにあふれていて、ゴムボールがポンポンと転がっていく感じのエネルギーがあって。天真爛漫な感じで、深津絵里さんとはまたちょっと違うキャラクターで「この子でいこう!」って決めていましたね。
◆CMの内容を急遽変更
植竹:なんでも牧瀬さんのCMを撮る直前に、ホームを走って女の子が彼と出会うという、クライアントからOKをもらったのと同じ設定の別のCMが流れてきたんですって?
早川:そうなんです。第2弾の企画を考えまして「じゃあこれでいこう」となったときに、似たような「新幹線を使って恋人同士が出会う」という別のCMが流れたんです。恐らく前年の「クリスマス・エクスプレス」の反響を受けて、そういうものを取り入れたんじゃないかと思いますが、こちらとしては「え? これまったく同じじゃん」と(笑)。
さあ、どうしようかということで、考えたのが「2人が出会わない」というラストです。牧瀬さんが彼を見つけるけど、出会う寸前で寸止めする。柱の陰に隠れて「このあとはみんな想像してくださいよ」というところで終わろうと。
◆「あの柱」は作ったもの
早川:(牧瀬さんが)柱に隠れますが、改札口からの延長線上に柱がなきゃ絵にならないのに、実際には柱がなかったんです。
植竹:なかったの?
早川:柱がなくて「どうしようか」と。じゃあ柱を作ればいいやと。
植竹:作ったんですか?
早川:CMに映っている柱は作った柱なんです。(本来の場所から)3メートルぐらい位置が違うんです。柱を作ってセッティングをして、そこで(牧瀬さんに)身を隠してもらいました。
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「植竹公和のアカシック・ラジオ」音声版
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<番組概要>
番組名:歌う放送作家 植竹公和のアカシック・ラジオ
AuDee、Spotifyで配信中
配信日時:隔週金曜10:00〜
パーソナリティ:植竹公和