青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。10月22日(日)の放送では、国土交通省 水管理・国土保全局 防災課長の西澤賢太郎(にしざわ・けんたろう)さん、TEC-FORCEとして活動経験のある同じく防災課 災害対策室の一二三諒(ひふみ・りょう)さんを迎えて、「被災地を支える TEC-FORCE(テックフォース)」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、西澤賢太郎さん、一二三諒さん、足立梨花
◆被災地を支える“縁の下の力持ち”
TEC-FORCE(Technical Emergency Control FORCE)とは、国土交通省の組織“緊急災害対策派遣隊”の通称名で、西澤さんは「地震や台風などで被害が大規模になると、自治体だけでは対応できない場合が出てきます。このようなときに、国土交通省の職員が応援に駆けつけ、被害状況の調査、大雨で浸水したエリアの排水、通行止めになった道路の応急復旧、二次災害を防止する措置のアドバイスなどをおこなうのがTEC-FORCEです」と説明。
自衛隊や警察、消防は人命救助を最優先に活動する組織であるのに対して、TEC-FORCEは、それらの組織が活動しやすいように、土砂や浸水で通行止めになってしまった道路などを応急的に通れるようにすることもおこないます。
◆「TEC-FORCE」創設の経緯
TEC-FORCEが創設されたのは2008年4月で、創設以前も災害が発生するたびに被災地へ国土交通省の職員を派遣し、その都度、体制を整えて対応してきましたが、近年、大規模な自然災害が頻繁に起きるようになり、「その備えとして、迅速に支援できる体制を予め整えておく必要があると考え、TEC-FORCEを創設しました」と西澤さん。
TEC-FORCEの隊員は、国土交通省の地方組織である地方整備局の職員を中心に、地方運輸局、研究機関など、国土交通省のさまざまな機関の職員で構成されており、災害の規模に応じて全国から被災地へと派遣されます。
また、普段は道路や河川、砂防などのインフラ整備や維持管理を業務としており、「(TEC-FORCE隊員は)一人ひとりが日ごろから現場で知識を蓄え、技術を磨き、即座に現場で対応できる“現場力”を持っているインフラのスペシャリストです。さらに、災害の発生時にも的確に技術的な支援ができるよう、日ごろから訓練や研修を受けています」と声を大にします。
そうして培われた豊富な知見から、被災地の山や川、道路の被災状況を迅速に把握し、速やかにガレキや土砂などで塞がれた道路を切り開いたり、土砂を撤去したり、市街地に溜まった水の排水などをおこなっています。さらに、被災した自治体が管理する道路や河川堤防などの調査にも協力しています。
さらに、TEC-FORCEでは、上空から広範囲に被災状況を把握するためのヘリコプターをはじめ、ドローン、衛星通信車、照明車、排水ポンプ車、遠隔操縦できる重機など、さまざまな災害対策用の機材を保有しており、ありとあらゆる状況に対応できる体制を整えています。
今後、日本は気候変動に伴い、豪雨災害などが今以上に激しくなったり、頻発する恐れがあり、南海トラフ巨大地震や首都直下地震に見舞われる恐れも。そうなると、今後ますますTEC-FORCEの活動が重要になります。
◆TEC-FORCE 隊員のリアルな声
番組後半では、TEC-FORCEの隊員でもある一二三さんに具体的な活動について伺いました。
一二三さんが普段おこなっている業務について、「政府が主体となっておこなっている大規模な災害を想定した訓練の実施や、災害が発生した場合の情報収集をおこなっています。例えば、震度5弱以上の地震が起こった場合、30分以内に職場に出勤して、国土交通省で把握した被災情報を上官に報告したりしています」と説明。
なお、TEC-FORCEの隊員数は、自治体などからのニーズの高まりもあって、創設時の約6倍にあたる約1万6,200名ほどで構成されており、西澤さんは「これまで東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨、東日本台風など、133の災害に延べ13万6,000人を派遣してきました」と補足します。
続いて、一二三さんがTEC-FORCEの隊員に指名されたときの当時の心境を伺うと「国土交通省に入ることを決めたきっかけが“TEC-FORCE隊員になること”でもあったので、被災地で困っている方々のために少しでも役に立てたらと思いました」と振り返ります。
また、これまで活動してきたなかで印象に残っている出来事として、令和元年東日本台風(台風第19号)を挙げます。「当時は多いところで1,000mmを超えるような雨が降っていましたので、関東甲信地方、東北地方など広範囲にわたって被害が発生していました。そのなかで私は、神奈川県の山間部の土砂災害に関する調査を担当していたのですが、当初予定していたルートが土砂で塞がっていたので、途中で車を降りて数km歩きながら調査したことが印象に残っています」と回顧。ちなみに、最近では、人が近づけないような場所はドローンを活用して調査をおこなうようになってきているそうです。
そんなTEC-FORCEとして活動をおこなっていくなかで、「被災した現場を知り、被害がどのように発生したのかを見てきたことで、“再び同じような被害に遭わないためにどうしたらいいのか”と考えるきっかけになりました」と一二三さん。
さらには、「活動をしている際に、被災された地域の方々から『ありがとう』と声をかけていただいたり、調査報告書を被災自治体へお渡しする際に、役場の方々から感謝の声をいただいたときに、自分がおこなっているTEC-FORCE活動が、人の役に立てているなと実感します」と感慨深く語っていました。
最後に、西澤さんは「
TEC-FORCEのWebサイト
では、TEC-FORCEのスペシャリストたちのインタビューや災害対策用機材の紹介、災害時の活動写真、上空からのドローン映像などのコンテンツを紹介していますので、ぜひご覧になってください」とアピールしました。
今回の話に、足立は「(TEC-FORCEが)本当に縁の下の力持ちなんだなということが分かって、しかも、ありとあらゆる状況に対応できるように常に備えていることがすごいなと思いました」と感じ入ります。
一方、青木は“TEC-FORCE隊員の一人ひとりがインフラに関するスペシャリスト”であることに着目。「普段は道路や河川、砂防などのインフラ整備や維持管理を業務としていて、誰よりも精通しているからこそ、災害時に頼りになるということが分かりました」と話していました。
(左から)青木源太、足立梨花
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10月22日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2023年10月30日(月) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花