木村文乃がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「Expedia presents Magical Scenery Tour」(毎週金曜12:00~12:30)。ワクワクするような旅の魅力をお届けするひととき。新たな発見や素敵な出会いを作ってくれる「旅」の魅力をお届けします。
6月7日(金)、14日(金)の放送では、ゲストにエッセイストの松浦弥太郎さんが登場。ここでは、17歳の頃に初めて訪れたアメリカ・サンフランシスコでのエピソードなどについて語ってくれた7日(金)の内容をテキストで紹介します。
木村文乃、松浦弥太郎さん
足を運ばないとわからない現地の音、空気、匂い。新たな文化と触れ合うことで、自分の価値観がアップデートされる感覚……旅は、今までの世界の見え方を一新してくれる最高のきっかけとなります。
そんなまだ見ぬ“魔法のような景色”を見せてくれる「旅」の魅力を木村文乃がナビゲート。新たな世界へ旅に出たくなるような時間をお届けします。
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1965年生まれ、東京都出身の松浦弥太郎さん。2006年から雑誌「暮しの手帖」(暮しの手帖社)編集長を9年間務め、Webメディア「くらしのきほん」を立ち上げます。旅にまつわるエッセイも上梓している松浦さんに、“サンフランシスコ旅”について伺いました。
木村:17歳の頃、初めて行かれた海外がアメリカのサンフランシスコだったそうですね?
松浦:雑誌を読んでいたら、サンフランシスコがすごく素敵に見えたんです。ただ、何も情報がわからないんですよ。当時はインターネットもないし、(旅行ガイドブックの)「地球の歩き方」があったかなぐらいで、とりあえず日本以外のところに行けば、自分にいいことが起きるかもと思っていました(笑)。
木村:英語への不安や、10代で今までと異なる土地に踏み入れる不安はなかったのでしょうか?
松浦:不安はありました。英語はしゃべれなかったですし。ただ、自分がこれからどうしようか考えたとき、外国に行くことで何かを変えられるのではと思ったんです。アメリカはどんな国でどんなカルチャーがあるのか、実際に行って確かめてみたい。冒険に近い感覚でした。不安もあるけれども、それよりも行ってみたい気持ちが強かったです。
木村:情報がないからこそ、行ってしまおうという気持ちになられたと。実際にサンフランシスコに訪れ、どのような感想がありましたか?
松浦:サンフランシスコに対して、太陽が輝き、かわいい女の子たちがローラースケートで走っていて、すごく自由な国というイメージを持っていました。行ってみると、雨が降っていて誰も口をきいてくれないような感じでした(笑)。
木村:思い描いていた場所ではなかった?
松浦:まったくなくて絶望しましたね。英語を話せないが一番の問題でしたが、日本ではみんな親切だから、元気がないとみんなが「大丈夫?」と言ってくれますよね。友達もいくらでもいますし。でも、初めてのサンフランシスコには誰も知り合いがいないし、一生懸命片言の英語で何か言っても伝わらない。人間不信みたいなことになり、しばらくはホテルで引きこもっていました(笑)。
木村:その状態からどうやって克服したのでしょうか?
松浦:引きこもっているときに自分の振る舞いを振り返ってみたら、挨拶をしていないなと。アメリカ人はフランクなので、目が合えばこんにちはと言いますけども、自分から挨拶をしていないと気が付いたんです。「明日は、会う人会う人の目を見て笑顔で『こんにちは』と言ってみよう」と決めました。きちんと挨拶をすれば自分は危険な人間ではないと伝えれば、みんなが受け入れてくれることに気が付いて、そこから少し変わりました。
木村:まさしく、人が自身の殻を破る瞬間ですね。
番組では他にも、松浦さんが旅をする理由や、初監督作品であるドキュメンタリー映画「場所はいつも旅先だった」などについて語る場面もありました。
<番組情報>
番組名:Expedia presents Magical Scenery Tour
放送日時:毎週金曜12:00~12:30
パーソナリティ:木村文乃