声優界随一のサイクリスト・野島裕史がパーソナリティをつとめ、自転車をテーマにお届けするTOKYO FMのラジオ番組「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」。5月19日(日)の放送は、野島が参加した「石垣島トライアスロン2024」を振り返りました。
パーソナリティの野島裕史
◆例年以上に暑い! 超過酷な石垣島トライアスロン
野島:今回は、4月21日(日)に開催された「石垣島トライアスロン」大会の結果報告&大・大・大・大反省スペシャルです。
この「石垣島トライアスロン」大会、今年はなんといっても暑かった! 当日の石垣島の最高気温は31.2℃。体感としてはもっと暑かったようにも感じましたが、4月としては観測史上最も気温が高かった石垣島でした。もう真夏のトライアスロンの勢いで、熱中症になるんじゃないかと心配するぐらいの暑さでしたね。
そんななか、国内外から参加した1,000人余りの人が自然豊かなコースを駆け抜けたわけですが、コロナが明けて多くの方が普通に参加できるようになり、僕自身楽しかったですし、大会も本当に盛り上がりました。
この大会は“スイム・バイク・ラン”の3競技をひとりでおこなう「エイジクラス」と、僕がもともと参加していた3人1組で参加する「リレークラス」があります。そして、今年は5年ぶりに市街地を走るランのコースが復活。僕はこのコースを走るのは初めてでしたが、やはり市街地を走ると沿道からの声援をたくさん聞くことができていいですね。楽しく走ることができました。
当日は、午前8時に1.5㎞のスイムが「南ぬ浜町の人工ビーチ」からスタート。僕はグループ2で後半のスタートだったので、午前8時半あたりにスタートしました。続くバイクは市街地を抜け、島をほぼ半周する40kmのコースで、海沿いや山の中を走ったり、本当に気持ちのいいコースでした。最後のランは先ほども言いましたが、沿道から多くの市民の方が声援を送ってくださり、ホースで水をかけてくれたりして本当に助かりました。
注目の完走率は、個人(エイジクラス)が93.3%。リレーは95.5%で、ほぼ10人中9人以上がゴールしました。そして、個人男子のトップは2時間5分24秒。1.5km泳いで、40km自転車に乗り、10km走ってこのタイム、とてつもなく速いトップです。一方、女子のトップは2時間23分10秒。
さらに、何よりも驚いたのが、参加者最高齢91歳の男性が4時間26分47秒でフィニッシュしているんですね。すごい! 僕は91歳までやっていけるかな……本当に尊敬します! ぜひ100歳まで頑張っていただきたいと思います。
◆野島最大の鬼門、スイムで奮闘するも…
そんな今回の「石垣島トライアスロン」、私・野島の大会参加レポートをお話したいと思います。まずは僕が苦手なスイムから始まるわけですが、コースは広い内海、1周750mを2周します。コース上にはロープが張られ、それを目安に泳ぎます。
僕自身、プールで練習してきたとはいえ、やはり波のある海ですし、何よりも泳ぎが苦手だと足がつかないという恐怖感もあり、最初からかなり緊張してしまいました。しかも、肩の故障で1年以上泳げなかったこともあり、さらに緊張……。
特に、初めの300mぐらいは緊張で呼吸が浅くなり、息継ぎもうまくいかず、ロープに捕まったりしながら休み休み泳いでいました。普段のプールだったら300m程度はすぐに泳げるんですけどね。カヌーに乗って監視しているスタッフさんから「大丈夫ですか?」と声をかけられつつもなんとか泳いでいたのですが、実はこれも想定内。
スイムが下手というのは自分でもわかっているので、そう簡単にはいかないと思っていましたし、2年前に参加したときは長く休んでも制限時間に間に合っていたので、諸々計算した上で、1周目は制限時間ギリギリまで使って泳げばいいと思っていました。
その後もマイペースで泳ぎ続け、300mを越えたあたりで徐々に調子が良くなってきたものの、順位はほぼ最後尾。僕の後ろには1~2人しか泳いでいなかったんですけど、そこで遅れている参加者をサポートするために泳いでいた女子トライアスロン選手の庭田清美(にわた・きよみ)さんに、2年前と同じく海のなかで遭遇しました。
庭田さんはこの番組にもゲストでいらしたことがあり、出会った瞬間「あっ、野島さんじゃないですか」とめちゃめちゃ冷静に言われちゃいました(笑)。さらには、非常に残念そうな声で「泳ぎが2年前と変わっていないですよ」と。トライアスロンの最中、これはさすがに凹みましたね(笑)。
そして、2年前と同じような指導を受けながらマイペースで泳ぎ続け、1周目の後半にはだいぶスムーズに泳げるようになってきたと思います。庭田さんも「いい感じになってきた!」とおっしゃっていたのですが、2周目に入る際、1回砂浜に上がるのですが、そこで庭田さんから衝撃の一言が……「30分過ぎてしまったので、スキップしてくださいね!」と言われてしまいました。
◆ガックリ野島「何をやっているんだ、僕(泣)」
“スキップ”というのは、スイムの2周目を諦めて「次のバイクに移行してください」という意味なんです。スキップをすると参考記録になり、正式な競技記録にはなりません。正直、前回よりも速く泳げたのに「なんで!? どうして~!?」と思ったのですが、実は前回は1周35分だったにも関わらず2周目に突入しちゃっていたんですよね。
しかも、今年はスタート前から「厳密に30分過ぎたらスキップです!」と会場内でもきちんとアナウンスされていたのに、僕はすっかりそのことを忘れていました。手元のスマートウォッチを見たら、1周目のタイムが33分前で「前回より速いじゃん!」って思ったのですが、庭田さんに「30分過ぎてしまったので、スキップしてくださいね」と強めに2回も言われてしまいました。
最初は呼吸が浅くなったりして休み休み泳いでいたものの、それも想定の範囲内で、途中からはだいぶいい感じで泳げていたのに、なぜ30分を超えてしまったのか。後にわかったことなんですが、着用していたGarminのスマートウォッチは泳いだ距離とコースもGPSで記録されているんですね。それを確認してみると、なんと750m泳ぐ1周目で1.1kmも泳いでいました(笑)。
僕は泳ぎが下手で、そもそも真っ直ぐ泳げず、海は波もあるので蛇行して泳いでしまっていたようなんです。さらには折り返しのポイントを見逃して、ものすごく遠回りしていました。スイムはコース2周で1.5kmのところ、1周で1.1kmって……あと400m、1時間以内に全然泳げたじゃん、みたいな……。本当に残念。大・大・大・大反省です。何をやっているんだ、僕は(泣)。
そんなわけで、僕はすっかりやる気を失い、次のバイク40kmに進むことになりました。前回参加したときは、泳ぎきった高揚感とバイクの爽快さで歌なんか歌っちゃったり、景色の良さに俄然テンションが上がっていたんですけど、今回は後悔の念と「自分はやっぱりスイムは向いていないのかな……トライアスロンは今年で最後だな……」と、それぐらいネガティブな気持ちでバイクにまたがりました。
自転車も全然スピードを出す気になれず、「今回は石垣島サイクリングかな」なんて思いながら走っていました。僕はトライアスロンに限らず、いろいろなスポーツ大会に参加してきましたけど、スキップしたり、途中で諦めたことは一度もなかったんですよ。それだけに今回のスキップは初の出来事だったので非常に凹みました。
◆野島が改めて感じたトライアスロンの魅力
ですが、バイクで10kmぐらい走っている間にちょっと気持ちに変化が現れたんですよね。「そもそもケガに悩まされ、2年ぶりの参加にしては良かったほうなんじゃないか」「泳ぎに集中してトレーニングすれば、来年は全然いけるんじゃないか」「今年は海の練習を集中してやろう!」「むしろ他のトライアスロン大会に参加したらいいんじゃないか!」「スイムスーツが古くなってきているし、新しく買おう!」とか、驚くほど気持ちがポジティブになっていったんですよね。
この気持ちの変化が自分でも面白いくらいわかったので、自転車を漕ぎながら「やっぱり運動は気持ちをポジティブにする効果がある!」と思いましたし、大好きな自転車に乗っているので、勝手に前向きになったんじゃないかなと気付きました。
そして、その気持ちの変化とともに、ケイデンス(ペダルの回転数)も上がって、自転車のスピードも上がって、終わってみればバイクは前回よりも早いペースでフィニッシュできちゃいました。
そして、最後のラン。もうメンタルはすっかり回復してやる気満々。しかも、(この番組でトライアスロンに関する指導を受けたトライアスロンコーチの)孫崎虹奈(まごさき・にじな)さんに「前回はバイクで頑張り過ぎていた」と指摘されていたので、今回はバイクを頑張り過ぎないように8割ぐらいの力で行こうと心がけていたので、作戦通りに本当に気持ち良くランに臨むことができました。
熱中症の不安を感じるくらいの暑さではあったのですが、このときはすっかりポジティブになっていて、さらには「去年の真夏の炎天下の中『フジロック(FUJIROCK FESTIVAL)』を目指したライドよりは全然マシ、いけるいける!」なんて思いながら、給水所ではしっかり水分補給をし、冷たい水を頭からかぶり、ペースを保ちながら走りました。
前回は半分の5kmを過ぎたあたりで膝に痛みがきたんですけど、今回は全くそんなこともなく、後半に向けて速度が上がるくらい調子がよかったです。先ほども言った通り、今回はコースが変更になり、高低差もあって前回よりもキツいコースのはずだったのですが、結果的にランも前回より速く走ることができました。
とはいえ、ゴールした後の達成感は前回のほうが断然高かったですけどね。今回は達成感というよりも反省と次回へのリベンジの気持ちが強くあって……前向きといえば前向きですけどね(笑)。
ただ、今回スイムの失敗で残りの2種目を諦めていたらきっと前向きな気持ちになることはなかったと思いますし、今後この大会にはもう出ないんじゃないかというくらい凹んだままだったと思います。でも、3種目あるトライアスロンだからこその気持ちの切り替えができたんじゃないかと改めて思いました。そして、それこそがトライアスロンの魅力だということを発見できた気がします。まさに“失敗から学ぶ”ということを体感できた大会でした。ということで、次回に向けてスイムを頑張ります!
5月26日(日)の「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」は、引き続き、「石垣島トライアスロン」を振り返ります。大会会場で再会した意外な人物とは……? どうぞお楽しみに。
<番組概要>
番組名:サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国24局ネット
放送日時:TOKYO FMは毎週日曜 朝5:00~5:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトおよびアプリ「AuDee(オーディー)」でご確認ください)
パーソナリティ:野島裕史