笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。7月18日(土)の放送は、Umios(ウミオス)株式会社 取締役常務執行役員の小関仁孝(こせき・よしたか)さんが登場。社名変更に込められた思いや企業DXについて伺いました。
(左から)小関仁孝さん、笹川友里
小関仁孝さんは、1991年に大洋シーフーズへ入社。1996年のマルハによる吸収合併を経て、2021年にマルハニチロ事業企画部長、2023年には執行役員 事業企画部長兼中央研究所担当、2024年には執行役員 物流ユニット長を歴任しました。2025年には常務執行役員 コーポレート部門副部門長に就任し、経営企画部、事業企画部、サステナビリティ戦略部、財務部を担当。現在は取締役常務執行役員 最高財務責任者(CFO)を務めています。
◆社名変更で目指すグローバル企業への進化
1880年創業で漁業を主力としてきたマルハ株式会社と、1907年創業で漁業をはじめ水産物の販売・加工を手がけてきた株式会社ニチロ。両社は2007年に経営統合し、「マルハニチロ」として長年親しまれてきました。この水産・食品の総合企業が2026年3月に「Umios」へ社名変更し、大きな注目を集めました。
この経緯について、小関さんは、「経営陣が長い時間をかけて検討してきたことで、それなりのメッセージ性がありましたし、社員にも動揺はあったものの、受け入れてくれたのではないか」と語ります。
そんなUmiosは、現在グローバルで約1兆1,000億円の売上高を誇ります。また、約150社のグループ会社があり、そのうち半数以上を海外企業が占めています。さらに、小関さんは「魚の取り扱いは年間約170万トンに上り、これは世界最大規模です」と胸を張ります。
ちなみに、売上高の約7割を「BtoB」ビジネスが占めており、「消費者に直接届けるBtoCというよりは、事業者の方に原料のまま、あるいは、半製品的なもので“素材で売る”という形が多いです」と話します。
また、その特徴の1つである「メーカー型流通業」という独自のビジネスモデルについても紹介し、「原料の調達から始まり、お客さまのニーズを聞き取ったなかで必要な加工を施したものを流通に乗せて販売する、一気通貫のバリューチェーンを築いています。『私たちは流通に強いけれどもメーカーなんだ』というところで、ここは他と差別化していけるところです」と力を込めます。
◆AI技術で実現する品質と効率化
続いて、Umiosが進めるDXの取り組みについて伺います。同社では2022年にDX推進部を新設するまで、部署横断のプロジェクト形式でDXを進めていましたが、小関さんは「『もう一段“攻めのDX”をおこなうにはどうすればいいのか?』『そもそも“攻めのDX”って何なんだ?』といった議論がありました」と振り返ります。
そこで同社は、データドリブン経営やAI活用を通じて、業務そのものを変革する取り組みを実施しました。加えて、社長も参加するDX推進委員会を設置し、システム部門と業務部門が一体となって改革を進める体制を整えました。
続けて、小関さんはAI活用の代表例として、沖合船上で養殖魚を数える成魚AIカウンター「かうんとと」を紹介します。Umiosは、国内有数の養殖事業を展開しています。そのなかで、1つの生簀にいる魚の数を把握しておくことは、餌の量の管理だけでなく、一番良く育つ飼育密度を保つためにも大切な作業になります。
しかし、小関さんによると、この作業には長年の課題があったと言い、「海の上に船を浮かべて生簀から別の生簀に魚を移動させる際、魚をいったん水揚げして、大きさを見て選別して、それぞれの生簀に入れ直します。このときに、今までは人が手動のカウンターでひたすら数えていたそうです」と話します。その数は数千匹にも及ぶため、作業には数時間かかることもあったそうです。しかも、最近までこの方法でおこなわれていたと言います。
そこで、はじめに試みたのが画像診断による自動化でした。しかし、魚は大きさや形、色がそれぞれ異なるうえ、動きも不規則なため、うまく把握しきれず断念することに。そこで登場したのがAIでした。
小関さんは、「過去のデータをいっぱい使って、かなり時間をかけて魚の色や形の違いをすべてAIに学習させました。それによって、高速に動く魚でもしっかり数えることができるようになりました。結果として98%程度の精度で測れているので、AIを使った取り組みの1つになっています」と解説します。
ほかにも、食材の検品工程でAIが活用されています。例えば、冷凍食品のラーメンや焼きそばに使われるキャベツは、製造前に色や形を細かくチェックし、品質基準を満たさないものを取り除く必要があります。「機械化される前は、(キャベツが流れるコンベアに)人がずらっと並んで、その人たちが目で見て、品質基準に合わないものを手で取っていたんですよ。『冷凍食品に、そこまでエネルギーをかけるのか』と思われるかもしれませんが、それくらいのことをしないと、日本の消費者の方たちは認めてくれませんし、私たちも“品質第一”ということでおこなっていました」と苦労を明かします。
とはいえ、働く方たちの負荷も大きいうえに、どうしても人によって判断基準にバラつきが出てしまいます。そこで、AIに合格品の特徴を学習させることで、品質の安定化と現場の負担軽減の両立を実現しました。
このUmiosの取り組みに、笹川も「現場レベルで働き方というか、業務がかなり変わってきたということなんですね」と感心していました。
次回7月25日(土)の放送も、引き続き小関さんをゲストに迎えてお届けします。世界の水産物を取り巻く状況やデジタル人材についてなど、貴重な話が聴けるかも!?
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/