テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」でレギュラーコメンテーターの玉川徹とフリーアナウンサーの原千晶がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「ラジオのタマカワ」。「テレビではまだ出せていない玉川徹の新たな一面を発信!!」をコンセプトに、ビジネス、キャリア、マネー、カルチャー、エンタメ、音楽など、さまざまなジャンルをテレビとは違った角度から玉川が深掘りします。
5月23(木)の放送では医師の小林久隆先生をゲストに招き、新たながん治療法である「光免疫療法」について解説してもらいました。
(左から)パーソナリティの原千晶、小林久隆さん、玉川徹
◆光免疫療法を広いがん治療でおこなうためには
玉川:光免疫療法は現在どこまで実現しているのでしょうか?
小林:日本では1つのがんに対して承認がおりており、保険適用で使えるようになっています。それは頭頸部がん、首から頭の部分のあいだ(脳や眼球や皮膚は入っていない)にできるがんに関しては、再発のみの対象ですが受けられるようになっています。
玉川:なぜ頭頸部がんだけかというと、(使用する)お薬が1種類だからということですよね?
小林:そうですね。薬は他にも使える可能性がたくさんあるのですが、部位ごとに承認されているんですよね。一つひとつ、場所を変えたら承認してもらわないといけないプロセスがあります。
玉川:同じようながんって体の別のところでもできているので、そこも本来は同じ治療法で治せるはずなんです。だけど、まだそういった治験が進んでいない現状があります。それからもう1つ(ポイントになるの)は、がんの“目印”です。がんを見つけるには目印(がん抗原)があるんですけど、それは抗体が見つけて(抗体が)がんの目印にくっつくんですよ。
そこで、くっつく仕組みを利用して、抗体にもう1つ薬剤をくっつけるんです。その薬剤ががんにたくさんくっつくことで、赤外線をあてると(薬剤の形が変わってがん細胞に)穴が開いて壊れるんです。ポイントになるのは、1つの目印には1つの抗体しかダメなことです。ところが、がんっていろんな目印を持っているタイプがいっぱいあるのね。今のところ、1つの目印に対する薬しかないんですよ。
小林:結局、新しい薬を作っていくことになるんですよね。技術的にはいつでもできるんです。だけど、試さなければいけないし、そこですごくお金がかかるわけですね。経済的な面で厳しいのが現状です。
玉川:お金は何に一番かかりますか?
小林:薬の認可のために臨床試験、効くかどうかのテストするんですけども、そこで何百億円もかかります。適用拡大であっても何十億円ですね。そこが一番のハードルです。
◆現在は前立腺がんの治療薬を研究中
玉川:薬剤を増やしていくのに、大きな会社とかお上に頼る以外の方法はないのかなとずっと考えています。
小林:最近、患者さんから「こういった薬を作ってほしい」といった、たくさんのご要望をいただくんですね。NPOを立ち上げて、みなさんからファンディングをいただいて、患者発の創薬みたいなものをやろうとスタートさせています。
玉川:おお!
小林:お金に関しては、大きな会社をマネージメントされている方から寄付をいただけるんですけども、何よりも賛同者の多さが私は大事だと思っているんです。みなさんが「こういう薬がほしい」と声をあげていただくと、国にとっても背中を押してくれるものになるんじゃないかなと思います。できれば賛同だけでもしていただけると嬉しいですね。
玉川:今動いているプロジェクトは何のがんに対するものですか?
小林:最初に作ろうとしているのは前立腺がんの薬です。前立腺がんは、他のがんとは違う目印が出ているんですよ。そういう(一種類のがんにしかない)目印のものってどうしても後回しになりやすいのですが、患者は多いんですよね。たくさんの患者がいて長く時間がかかる病気なので、そこから始めようと思いました。
原:リスナーさんからメッセージをいただいております。「友人が前立腺がんで入院しています。手術、放射線、抗がん剤でも抑えられないようです。光免疫療法が使えるのはいつ頃ですか?」とのことです。
小林:創薬は実際に始めていますが、保険適用に持っていくまでは長い経過がかかってしまうかもしれません。使える薬を作るのにもう1年半ぐらいのスケジュールが必要かと思います。
玉川:つまり、薬ができて治験が始まれば、治験に参加する手もあるということですね?
小林:そういうこともできると思います。
原:治験は誰でも参加できるわけではないんですよね?
小林:もちろん、参加していただける病状の方をある程度選ぶ必要があります。そのときの状況を見てアプローチしていただけたらと思います。
<番組概要>
番組名:ラジオのタマカワ
放送エリア:TOKYO FM
放送日時:毎週木曜 11:30~13:00
パーソナリティ:玉川徹、原千晶