モデル・タレントのユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。
10月の火曜日は、10月17日(金)~30日(木)まで開催される「JAPAN TRADITIONAL CRAFTS WEEK 2025」(以下、「ジャパン トラディショナル クラフツ ウィーク2025」)に注目。
10月28日(火)の放送でピックアップしたのは、岐阜県の伝統的工芸品「美濃和紙(みのわし)」です。
「松久永助紙店」の美濃和紙から作られた紙糸のタオルと靴下を手にするパーソナリティの吉田明世とユージ
◆1,300年以上の歴史を誇る「美濃和紙」とは?
「ジャパン トラディショナル クラフツ ウィーク」は、日本各地で作られる「伝統的工芸品」を東京都内のライフスタイルショップで紹介・販売する14日間のイベントです。創り手と売り手、そして使い手をつなぎ、工芸品の産地を応援するもので、今年は30の伝統的工芸品と、都内のライフスタイルショップ30店舗の参加が決定しています。
このコーナーでは、参加している伝統的工芸品の中から毎週1つずつピックアップして、その歴史や特徴、作り手の思いなどにフォーカスしていきます。
今回の放送で取り上げたのは、岐阜県の伝統的工芸品「美濃和紙」。
その特徴と歴史について、1876年(明治9年)創業の「松久永助紙店(まつひさえいすけかみてん)」店主・松久恭子さんにお話を伺いました。
美濃和紙は白くて美しく、柔らかくて強いのが特徴です。原料は楮(こうぞ)を使用することが多く、ユネスコ無形文化遺産に登録された本美濃紙の技法では、那須楮(なすこうぞ)という楮を使用して、水にさらして自然漂白をします。
美濃和紙の歴史は古く、奈良の正倉院に702年の最古の戸籍用紙として保存されていることから1,300年以上の歴史があると言われています。
松久さんは「織田信長も愛用し、徳川家康は関ヶ原の合戦で采配に使ったことで、江戸幕府の御用達の障子紙となりました。江戸時代では高級障子紙として評判になり、提灯や器や和傘などにも用いられて、人々の暮らしに身近な存在でした。明治から大正にかけては4,700ほどの工房がありましたが、輸入紙や機械生産の台頭で数が減り、今は20弱の工房数となっている状況です」と説明します。
現代では、“むらがなくて薄くても丈夫”という品質が評価され、文化財や美術品の修復現場ではなくてはならないものとなっており、ルーブル美術館や大英博物館など世界の美術館で使用されています。
◆「流し漉き」が生み出す、薄くても丈夫な和紙
美濃和紙は「流し漉き(ながしすき)」という方法で漉くのが特徴で、一般的な和紙の作り方である「溜め漉き(ためすき)」とは異なります。
「溜め漉き」は、紙の材料を枠で囲ったものの上にすくい上げたまま放置する方法ですが、「流し漉き」は、紙の材料を枠の上に放置せず、縦や横に動かして、手に伝わる感覚に頼り、水を捨てながら何度も繰り返し漉いてムラのない紙を作る、非常に手間暇のかかる方法です。
この技法により、表面に漉きムラがなく、また繊維がからむため、薄くても布のように丈夫で美しく出来上がり、障子紙や保存用の文書などに最適で丈夫な和紙を作り出します。
◆「和紙」が「紙糸」!? SDGsでも注目のエコ素材
今年の「ジャパン トラディショナル クラフツ ウィーク 2025」で「美濃和紙」は、「アートのある暮らし」をテーマに、国内外の美術や日本文化に関する書籍・雑誌を揃える「銀座 蔦屋書店」で展示・販売されています。ギャラリーやカフェも併設されているため、気軽に立ち寄ることができます。
注目すべきは、美濃和紙の用途が「和紙」「紙」だけではないという点。松久さんは次のように語ります。
「美濃和紙は本当に1,000年持つと言われていて、すごく丈夫なものです。和紙本来の美しさや温かみ、光拡散性があり、光を取り込んで分散してきれいな明かりにしてくれるので、そういった和紙本来の美しさに注目していただきたいです」
今回展示販売されるのは、本美濃紙を使った扇子や、松久永助紙店で企画している紙糸(※かみいと:和紙を細長く裁断し、撚(よ)りをかけて作られた糸のこと。古くからある天然繊維の一種)の靴下、タオル、さらにその素材そのもの、糸として編み物やラッピングにも使える素材も用意されています。「美濃和紙の歴史から、これからの可能性の広がりも見える展示販売になる予定です」と松久さん。
紙糸について、さらに松久さんは「もともと紙なので、吸放湿性があり、湿度調節の機能があります。吸水性が高く、一旦温かい空気を取り込むとそのまま保ってくれます。軽く、天然繊維でありながら、いろいろな機能がある特別な繊維です。もちろん土に還る素材なので、SDGsという意味でも注目されています」と説明します。
紙糸は、包装用の布や帽子、靴下などのアパレル製品に利用されており、とても軽く、蒸れにくくサラッとした肌触りで、近年環境に優しいエコ素材としても注目されています。
スタジオで実際に紙糸から作られたタオルと靴下を手にしたパーソナリティのユージは「手触りがいいですね。確かに言われてみたら和紙のような質感というか、肌触りも感じます。ぬくもりもあって」と感想を述べます。吉田も「少し固めではありますが、タオルは吸水性も良さそう! しかも丈夫なので長く使えるのがいいですね」と評価しました。
さらにユージは「和紙っぽい質感を持ちながら、引っ張ったらちゃんと伸びる感じがいいですね。プレゼントや記念品なんかにもすごくいいかも!」と、美濃和紙の新たな可能性に注目していました。
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「ジャパン トラディショナル クラフツ ウィーク2025」の詳細は、
公式サイト
でご確認ください。
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世