放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」(毎週日曜15:00~15:50)。1月21日(日)の放送は、東京大学・大気海洋研究所の教授で、12月に派遣される第66次南極地域観測隊の隊長をつとめる原田尚美(はらだ・なおみ)さんをゲストに迎えて、お届けしました。
(左から)小山薫堂、原田尚美さん、宇賀なつみ
◆初の女性隊長が驚いた、南極での“音”のない生活
第66次にして南極地域観測隊で初の女性隊長である原田さん。南極を訪れたことは今までに2回あり、小山から「南極って音がないと聞いたことがあるんですが……」との質問に「そうなんです、私も一番驚いたのは音がないことでした」とうなずきます。
さらには、「自然の景色もとっても素晴らしいんですけど、無音というのにすごく感動した覚えがあります。人工音とか森に入ると虫の声とか鳥の声とか川のせせらぎとか、何かしら音ってありますよね? でも南極の場合、風が吹けばもちろん風の音はするんですけれども、風が吹いていないと何の音もしないんです」と現地の様子を伝えます。
原田さんによると、南極観測隊は夏隊と越冬隊の2つのパーティーに分かれており、在籍しているのは越冬隊が約30人、夏隊が約70人のおよそ100人規模で「夏隊の場合は、11月の末から3月の末まで昭和基地に滞在をする、あるいは途中の海洋観測などをしながら研究をするというパーティーなんですけど、越冬隊はさらに4月以降も昭和基地に滞在をして、一冬を過ごしながら観測をするというパーティーになります」と解説します。
原田さんが初めて南極を訪れたのは大学院生時代で、このときも「音のなさが印象的でした」と回顧。南極の寒さについては「南極の昭和基地がある周辺は、大体、北海道の札幌の冬くらいの寒さなんです。プラスマイナス0度とか、場合によってはプラスになる日もあります」と原田さん。これに宇賀は「もっとマイナス20度、30度みたいな世界かと思いました!」と驚きの声を上げます。
南極観測隊が現地でどのように過ごしているのかというと、「基地ではかなり快適な住環境が用意されています。越冬隊は大体4畳から4畳半くらいの個室の部屋で、床暖房ですし、お風呂も24時間循環風呂があります。入る時間は決まっていますが、お風呂もあって、トイレもウォシュレットというふうに、非常に快適な環境で、観測研究をおこなっています」と原田さん。
基地ではテレビは観られないものの、ネットワークは通じており「家族とチャットをしたり、インターネットで情報を調べたりとかはできます」と話します。
ときにはWeb会議をすることもあるそうで、小山が「今度、南極からZoomで(「SUNDAY’S POST」に)出演していただけませんか?」とオファーすると、「可能ですね」と笑顔をのぞかせる一幕も。
ちなみに、隊員には休みもあって、日曜日の過ごし方について言及。「皆さん、趣味に時間を費やしたり、クラブ活動もやったりしています。例えば、楽器の得意な方はギターや三味線をやっていたり、トレーニングが好きな人たちは筋トレのクラブ活動があったり、いろいろです」と知られざる一面を明かします。
「滞在中に一番幸せだと思う瞬間はどういうときですか?」と小山からの質問に、原田さんは「みんなそれぞれのミッションを持って現場に送り出しますけど、彼らが無事に帰ってきたときですね。毎日のことですけど、『あぁ、よかった』って。ヘリコプターで輸送をしながら、大陸とか沿岸に観測に送り出すんですね。1週間や10日間滞在をして戻ってくるんですけど、何があるかわからないので。彼らが無事に帰ってきたのを見届けるというか、会うと『あぁ、よかった』ってすごく思いますね」としみじみと語っていました。
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1月21日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2024年1月29日(月) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY’S POST
放送日時:毎週日曜 15:00~15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ