UoC UNIVERSITY of CREATIVITY 共同編集長の近藤ヒデノリ(Hide)と平井美紗(Misa)がお届けするInterFMの番組「UoC Mandala Radio」。クリエイターに“ワクワクする社会創造の「種」を聞く”というテーマで、毎回さまざまな領域で社会創造をおこなっているゲストを招き、未来に向けた創造やアクションについて語らいます。
3月23日(水)の放送では、経済産業省・環境経済室長の梶川文博(かじかわ・ふみひろ)さんがゲストに登場。経済産業省が賛同企業を募集している「GXリーグ」について解説しました。
(左から)Misa、梶川文博さん、Hide
2002年に経済産業省に入省し、中小企業金融、経済成長戦略、IT政策、経産省の組織開発を担当。現在は環境問題に関わる取り組みに尽力しています。
◆経済産業省が基本構想を発表した「GXリーグ」とは?
梶川:私は今、環境経済室長という役職なんですけども、環境と経済を両立させるのが一番の目的です。菅前総理は「2050年にカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること)を目指す」や「2030年に温室効果ガスを(2013年度比)46パーセント削減する」といったことを宣言し、国全体で気候変動の対策をおこなう動きになっています。「異常気象やいろんな障害が多くなるので気候変動の対策をして止めましょう」というのは、世界全体で共有されている概念です。
そのなかで私の仕事は「気候変動と企業の取り組み」です。どういう関係があるのかと言いますと、日本のCO2排出量はだいだい11億トンぐらいありますが、3分の1弱ぐらいが産業関連で出ているんですね。経済活動をするときに出てくるCO2というものをできる限り少なくして、環境負荷が少なくなるビジネスを目指していきます。
そのための省エネ投資をするときのご支援や、業界全体で目標を決めてみんなで動いていく取り組みをおこなっています。我々経済産業省がそういったことに対してお声掛けをし、ルールを作って進めていく。これが基本的な仕事の中身です。
Hide:主に産業サイドのルールを作って進められているんですね。そんななかで今、「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ」というものを始めて、賛同企業を募集されていますよね。まず、「GXリーグ」がどういったものか教えていただけますか?
梶川:たとえば、DX(デジタルトランスフォーメーション)は「デジタルで世の中を変えていこう」というものですよね。GXは「カーボンニュートラル(脱炭素)の世界を目指して動き、社会経済システムを変えていきましょう」というのが基本的な考え方です。
そしてGXリーグは「GXをして世界の気候変動対策を引っ張っていこう」という“企業群”を集めて、一緒になって先端的ないろんな取り組みを一緒におこなっていきたいというのが基本的な考え方ですね。現在、経産省は「GXリーグ基本構想」を打ち出していまして、基本的な考えにご賛同いただける企業に手を挙げていただいております。募集期間は3月31日(木)の夜までです。
◆日本はCO2削減に貢献できる可能性がある
Hide:ちょっと前まではDXというものがずっと叫ばれ続けていましたが、これからはGXが経営のなかの大きな軸になっていくんでしょうね。日本企業におけるGXの可能性に関しては、どのように捉えているのでしょうか?
梶川:日本企業の可能性はすごく高いと思っています。たとえば省エネですと、いろんなボイラーの効率のいい技術があります。カーボンニュートラルの世界になってくると、CO2を吸いこんでリサイクルする技術、「カーボンリサイクル」「カーボンキャプチャー」と言うのですが、こういった先端的な技術というのが日本企業はかなり力を持っています。CO2は世界全体で削減をしないと意味がないんですけども、世界に貢献できるような技術を日本は持っているので、ビジネス化できる可能性を秘めています。
Misa:おお。
梶川:一方で、日本は電力の動力源として石炭を使っている事情があります。国際的に見てみると、日本はそういった部分で批判を受けていたりします。日本全体で見てみると(GXは)すごく可能性があるんですけども、一部がネガティブに捉えられているのは実態としてあります。
◆日本ならではの強みを生かしてGXに取り組む
Misa:日本ならではの性質ってあるじゃないですか。大きな取り組みというのはどうしても海外からやって来て、海外のルールに則りながら、海外との比較で「日本って……」と言われがちですよね。
だけど、日本は物をすごく大事にしたりする文化がありますし、丁寧にいろんなものを循環させる考え方や仕組みを作れると思うんですね。GXが入ってくることで、“日本らしさ”を感じるルールが生まれてくるんじゃないかなと感じています。
梶川:我々はずっと官のほうでルールを作ってきていますけども、世界では民間企業やNGOがルールメイキングをしている国もあります。民の方と官が一緒になってルールを作りながら、日本企業にとって強みがあり、かつ世界のCO2削減に貢献できるような領域をしっかり導き出していければ“勝ち筋”は見えてくるのかなと思っております。
Hide:なるほど。
梶川:日本流で言うところの「官民連合でやっていこうじゃないか」というのが、いま思っているところではあります。
Hide:ヨーロッパ型でもなくアメリカ型でもなく、日本の技術を活かしながらどうルールを作っていくか、ということですね。「GXリーグ」ではどういった企業に来ていただきたいですか?
梶川:やりたいことがあるけど、個社単位ではできない企業が、複数の企業や我々のような官とうまく連携したいという思いを持った方々とできるといいかなと思っています。企業っていう単体だと法人ですが、企業のなかには人がいて、熱意を持って「こういう分野(GX)をやりたい」と思ってくださる方がたぶんいらっしゃると思うんですね。
そういった方々がいろんな提案ができるような形にしたいです。企業もそうですが、企業のなかでパッションを持った人たちに手を挙げていただけると、我々としてもすごくありがたいですし、一緒に何かを作れるんじゃないのかなと思いますね。
◆“義憤”と“同志”は社会創造のタネになる?
Misa:梶川さんにとって、ワクワクする社会創造のタネは何ですか?
梶川:新しいものや社会の課題があるなかで、「こういった仕掛けがあればいいよね」といったものを思いついて、そういうことを一緒にやれる仲間を集めて、それを原動力に社会を変えていくのがすごく楽しいなと思っています。
そういう意味では社会創造のタネというのは、ある意味での“社会に対する義憤”みたいなものですよね。「これはおかしいんじゃないか」「こうすればいいんじゃないか」といったものです。
Hide:義憤。なるほど。
梶川:あとは、それを一緒にやっていく同士を集めていくのがすごく大事かなと思います。
Misa:ありがとうございます!
UoCでは、3月27日(日)に「創造性特区をつくろう」プロジェクトとその関連領域(地方創生×創造性)にフォーカスした、オンラインイベントを開催します。「創造性特区DAY | 地域の創造性をブーストしよう volume01」の詳細と参加の申し込みは
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次回3月30日(水)は、UoCで開催中の第2期ゼミについてプログラムディレクターと一緒にご紹介していきます。お楽しみに!
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<番組概要>
番組名:UoC Mandala Radio
放送日時:毎週水曜23:00-23:30
パーソナリティ:近藤ヒデノリ(Hide)、平井美紗(Misa)
番組Webサイト:
https://www.interfm.co.jp/mandala