手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。今回の放送では、「内水氾濫」について取り上げました。
※写真はイメージです
8月10日(日)の夜遅くから熊本県の中心部で雨が急激に強まり、住宅街や繁華街などで浸水被害が相次ぎました。調査の結果、周囲よりも標高が低い場所だったうえ、記録的な大雨によって排水が追い付かず“内水氾濫”が起きたとみられることが分かりました。
内水氾濫とは、下水道の排水能力を上回る降雨があった場合や、雨水の排水能力に余裕があっても、河川の水がいっぱいになって排水できない場合に市街地内で浸水が起きることを言います。具体的には、下水道や用水路、マンホールなどから水が溢れ出す現象です。
例えば、2019年の台風19号によって起きた、武蔵小杉駅周辺の浸水被害もその1つです。増水した多摩川の水が下水道を通って逆流し、下水と一緒になって市街地に溢れ出しました。
内水氾濫が起こりやすい場所は、谷やくぼ地など周辺と比べて標高が低いところ、下水道の排水能力が低い場所、下水道や水路が大きな川に流れ込む水門などの周辺で、東京都では“内水氾濫の被害が8割”とも言われています。短時間の記録的な大雨に対しては、排水機能をいくら向上させても対応は難しいと指摘する専門家もいます。内水氾濫用のハザードマップもあるので、お住いの地域のリスクを知っておきましょう。
また、家庭内でできる対策として、シンクやふろ場の排水溝から逆流する「逆流浸水」を防ぐ“水のう(土のうの中身を土ではなく水を入れた袋)”を置くのも1つの手段です。水のうの効果としては、洪水や内水氾濫の際に家の外に設置することで、侵入してくる水の流れを止めてくれます。
作り方は簡単です。45リットルのごみ袋2枚を重ねて20リットルの水を入れ、口を縛って水のうを作ります。その後、浸水を防ぎたい場所、特にドアの周りや窓の下などに設置しましょう。そのほか、トイレやお風呂の排水部分、キッチンのシンクに使用してみてください。また、水のうは隙間ができないように配置するのが理想的です。使用方法や作り方を確認しておくと、いざというときに役に立ちます。
もし家の近所で内水氾濫が起きて浸水していたら、無理をせずに、自宅あるいは頑丈な建物の上層階へ逃げる垂直避難が基本です。ただし、垂直避難はあくまでも逃げ遅れた場合の最終手段。ですので、日頃から早め早めの避難ができるように、気象庁から出される情報などを確認し、防災への意識を一段高く持っておきましょう。
<番組概要>
番組名:防災 FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋