アーティストの坂本美雨がお届けするTOKYO FMのラジオ番組「坂本美雨のディアフレンズ」(毎週月曜~木曜11:00~11:30)。今回の放送は、数多くのヒット曲を手がけてきた作詞家・売野雅勇さんがゲストに登場。7月15日(土)にコンサート「売野雅勇 作詞活動40周年記念 オフィシャル・プロジェクト MIND CIRCUS SPECIAL SHOW『それでも、世界は、美しい』」を開催する売野さんが、これまでの作詞家活動にまつわるエピソードを語ってくれました。
坂本美雨、売野雅勇さん
作詞活動40周年を迎えた売野さん。コピーライター、ファッション誌の編集者を経て、1982年に中森明菜さんの楽曲「少女A」をきっかけに作詞家としての活動に専念。これまでに作詞を手がけた楽曲は約1,400曲! チェッカーズの「ジュリアに傷心(ハートブレイク)」「涙のリクエスト」、郷ひろみさんの「2億4千万の瞳」、ラッツ&スター「め組のひと」、稲垣潤一さんの「夏のクラクション」、矢沢永吉さんの「SOMEBODY'S NIGHT」、荻野目洋子さんの「六本木純情派」など多くのヒット曲を生み出しています。
7月15日(土)には、東京国際フォーラム・ホールAに売野さんゆかりのアーティストが集い、作詞活動40周年を記念したコンサート「売野雅勇 作詞活動40周年記念 オフィシャル・プロジェクト MIND CIRCUS SPECIAL SHOW『それでも、世界は、美しい』」を開催します。
◆シャネルズがきっかけで作詞の世界へ!?
坂本:売野さんは誰もが口ずさめる言葉、詞を書いてこられました。みなさんが知っている曲がたくさんあります。何曲書いてきたんでしょうか。
売野:1,400曲ぐらいだと思います。忘れている曲もあるかもしれませんが。
坂本:たとえば、チェッカーズの「ジュリアに傷心」「涙のリクエスト」、郷ひろみさんの「2億4千万の瞳」、ラッツ&スター「め組のひと」など、タイトルを聞いただけで歌詞が頭に浮かんできます。もともとはコピーライターや編集のお仕事をされていたんですよね。
売野:はい。なので作詞を始めたのが29歳で、デビューは30歳です。
坂本:何がきっかけで始めたんですか?
売野:当時、シャネルズ(後のラッツ&スター)のディレクターが僕のコピーを見て「作詞をやりませんか?」というお話をくださって、始めたのがきっかけです。だから自分が作詞家になるとは夢にも思っていなかったんです。
坂本:そこから「もっと書けそうだ」というビジョンが?
売野:そんなことはないのですが、みんなが面白がってくれるので「こんなんでいいのか?」っていう、最初はそんな感じです。ちゃんとしたストーリーが書けなくて、コピーライターっぽいというか、変わった言葉を並べるような(感じで)、他の人が書いているのとは随分違うのはわかっていたんです。
阿久悠さんのような詞は全然書けないので「書けるものしか書けないな」と。それを面白がってくださる方がいらっしゃれば、それでいいやという感じでした。
わりと気楽な感じで1、2年すごして、そのときはシャネルズ、河合夕子さん、伊藤銀次さん(などの作詞をしました)。伊藤銀次さんは長いことやっていまして、それがすごく訓練になりました。
だんだんとつかめてきたというか、それでちょうどいい時期にマネージャーから「中森明菜さんの曲を書かないか」と言われて。でも、「書けないです」とマネージャーに伝えたら「売野くん、作詞家としてやっていくんだったら、こういう歌謡曲とかをちゃんと書けないとやっていけないよ」と言われたので「じゃあ、ちょっとやってみます」と。だいたい僕は軽くて、「だったらやりますよ」という感じで書いたんですね。
坂本:その「少女A」は大ヒットとなりました。
売野:本当に意外でした。最初は歌謡曲のことをそんなに愛していなかったので、自分に対して格好つけるところがありました。自分がアイドルの人の詞を普通に書いたらちょっと許せないというか、自分のなかのもう1人の自分が「それはダメだよ、格好悪いよ」「やめたほうがいいよ」と。
それで、「少女A」というタイトルだけ思いついたんです。これをアイドルの人が歌うのはすごいことじゃないかなと考えて。だったらちょっと言い訳が立つというか、自分にも正当化できるというような感じで「これだったらやれるぞ」と。
タイトルだけ思いついて、ストーリーとかは、まるでゼロ。この縛りがよかったんです。このようにして書くと、そんなに格好悪くないものができるかなと。そこから歌謡曲一筋になりました。
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7月15日(土)に東京・東京国際フォーラム ホールAで開催される売野さんの作詞活動40周年記念コンサート「それでも、世界は、美しい」。出演者は藤井フミヤさん、中西圭三さん、荻野目洋子、杉山清貴さん、森口博子さん、横山剣さんなど。売野さんと縁のあるアーティストが多数出演します。詳細は公式Webサイトをご確認ください。
6月12日週のゲストは、12日(月)&13日(火)是枝裕和監督、14日(水)黒木瞳さん、15日(木)貫地谷しほりさんです。
<番組概要>
番組名:坂本美雨のディアフレンズ
放送エリア:TOKYO FMをはじめとするJFN全国38局ネット
放送日時:毎週月曜~木曜11:00~11:30
パーソナリティ:坂本美雨
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/dear/