アーティストの坂本美雨がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「坂本美雨のディア・フレンズ」(毎週月曜~木曜11:00~11:30)。
今回の放送ゲストは、俳優の渡辺謙さん️。渡辺さんが出演する現在大ヒット公開中の映画「国宝」の撮影裏話などについて語っていただきました。
渡辺謙さん
現在大ヒット公開中の映画「国宝」は、李相日(リ・サンイル)監督が映画「悪人」「怒り」に続いて吉田修一さんの小説を映画化。歌舞伎の女形の世界を描いた本作。任侠の家に生まれながらも歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げた主人公の激動の人生を描いた人間ドラマです。
本作は吉田さん自身が3年間、歌舞伎の黒衣をまとって楽屋に入った経験をもとに書き上げた渾身の作品です。
主人公・立花喜久雄を演じたのが吉沢亮さん。喜久雄のライバルとなる歌舞伎名門の御曹司・大垣俊介を演じるのは横浜流星さん。そして、2人の指導にあたる歌舞伎名門の当主・花井半二郎を渡辺謙さんが演じています。
坂本:花井半二郎役を演じられていかがでしたか?
渡辺:僕は歌舞伎の“大立者”(おおだてもの/芝居の世界で、一座のなかで最も実力のある中心的な立場)というか、スター俳優という役だったので、「どこから手をつけていいのかわからない」みたいな(笑)。ただ、歌舞伎を描いてはいるけど、「実の息子を継がせるのか、それとも才能を取るのか」っていう人間ドラマでもあるので、その辺にも注力はしました。
坂本:歌舞伎のお稽古も、ずいぶん前からされていたと思います。
渡辺:そうですね。僕の演目は2つだけだったので、4ヶ月ぐらい前から稽古をしました。いちばん大きな「連獅子」(※豪快な毛振りが印象的な歌舞伎舞踊)のときは、(横浜)流星ではなく子役の子とのシーンだったのですが、その子と2人で稽古をしていました。
坂本:歌舞伎にあまり明るくない私でも、「あの頭を回すやつだ!」っていうのは知っていました(笑)。
渡辺:大概の人が、ちょっとは目にしたことがあるような演目ですよね。
坂本:(衣装が)本当に重いんですよね?
渡辺:ポスター撮影で1回着せていただいたことはあったんですけど、稽古はずっと浴衣でやっているわけですよ。本番の衣装は当日しか着けられなかったので、「えっ!? まだ着るの?」「まだこの上に着るの?」と。それでもう終わりかなと思ったら「まだ着るの!?」みたいな(笑)。1枚1枚がまた重いんですよ。(ガチガチに着込むので)ガンダムのようでした(笑)。
坂本:それをまとって、あんな俊敏な動きを……。
渡辺:でも「面白いな」と思ったのは、振りをどんどん体に入れるじゃないですか。だけど、それだけの大きな衣装やあの毛をつけると、ちょっと動いただけでも、逆にものすごく届くんです。白塗りの熊取りも、顔をしかめて(表情を)作らなくても、その顔だけで何かを表現できる。だから歌舞伎の深さというか、「演熟していくということは、引き算していくことなんだな」ということが、すごく分かりましたね。
坂本:花井半二郎の役どころというのも、温かみや懐の深さ上品さというのがありつつも、人として見てみると、けっこうめちゃくちゃなことを言うじゃないですか。何というか、人を振り回してしまう才能のある人の人生というか……。
渡辺:たとえば音楽とか絵とか、何でもそうなんですけど、そういうものに対して本当にほかを全部かなぐり捨てても自分の人生を集約してしまうような、そういうタイプの人間だと思うんですよね。
坂本:芸のため、その美しさのために、誰かを傷つけてしまうのはもう仕方ないことだと……。
渡辺:「仕方ない」とも思ってないと思うんですよね。その辺はすごくストイックというか。
坂本:謙さんのなかにも、そんな部分はあるんでしょうか?
渡辺:あるかもしれませんね。やっぱり何かが控えていると、それのためだけに生きているみたいなところがあるので。特に舞台なんかの場合は、もう「ほかのことは一切ごめんなさい!」という感じではありますね。
坂本美雨、渡辺謙さん
来週のゲストは7月7日(月)三浦大知さん、8日(火)mekakusheさん、9日(水)大貫妙子さん、10日(木)高島礼子さんです。
<番組概要>
番組名:坂本美雨のディア・フレンズ
放送日時:毎週月曜~木曜11;00~11:30
パーソナリティ:坂本美雨
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/dear/
番組公式X:@dearfriends80