TOKYO FMで月曜から木曜の深夜1時に放送の“ラジオの中のBAR”「TOKYO SPEAKEASY」。3月7日(火)放送のお客様は、俳優の高橋健介さんと歌舞伎役者の尾上右近さん。お2人の役者としての思いを語り合いました。
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(左から)高橋健介さん、尾上右近さん
◆「30歳」という節目に対して思うこと
右近:今、何歳ですか?
高橋:28歳です。けんけんさん(尾上右近さんのニックネーム)の1個下ですね。
右近:2つ下かな、僕は31歳になりますから。
高橋:30歳を超えたんですか? 29歳くらいかと思っていました。30歳を超えると、やっぱり違うんですか?
右近:逆に聞きたいんだけど、20代終わりを(もうすぐで)迎えるじゃない。どういう気持ちなんですか?
高橋:結婚をして、家庭を持っていると思っていました。って思うと、僕はいま実家住まいで1人暮らしもしていないので……。
右近:え! 俺、1人暮らしのイメージだった。
高橋:だから、けっこう予想外です。年齢だけ重ねて、感覚的には大学生のときと気持ちがあんまり変わっていないですね。
右近:30っていう数字に対する思いは、どんな感じなの?
高橋:僕が小さいときに見ていたり感じていた、いわゆる「大人」っていう人たちは、たいして大人じゃなかったんだなって。同級生で教員とかいっぱいいるんですけど、俺らみたいなやつが教員をしているじゃないですか。ってことは、自分らが生徒だったときに「こういう先生だったんだな」って当たり前のことに気づくという。
右近:こっちは「先生」という別の生き物だと思っていたよね。
高橋:みんな普通の人だったんだっていう印象がありますね。
右近:僕は30っていう数字にビビリまくっていて、それこそ自分のなかでの30のイメージってあるじゃない? それと自分の現実と照らし合わせてみると、なにもしていない、なにもできていないみたいな感じだったんですよ。
高橋:30になったら「これをやる!」みたいなことは、1個ぐらいはなかったんですか。
右近:特にはなかったけど、歌舞伎をやっているので、歌舞伎で主役をやるっていうのはイメージをしていましたね。自主公演じゃなくて、1カ月にもわたる興業の公演で主演をやるっていうのがやはり目標だったね。
それは本当にギリギリ間に合ったかなって感じだったけど、30歳になった途端にやっぱり責任感が出てくるよね。
◆高橋、この瞬間があるから役者をやっている
右近:(歌舞伎は)みんなが1つの役に憧れている伝統が、型になったり、何十年も同じ役をいろんな人がやってきたことで、「憧れの結晶」みたいなところがあるからさ。恐らく、「それだけ憧れているんだったら、もう全部わかってるでしょ」っていうことなんだよね。
高橋:そこに、ある意味異端児として、けんけんさんは攻めたりはしないんですか? 伝統で「上手見て、下手見て」ってあるけど、「俺がこの役だったら下手からいっちゃうね」みたいな。
右近:役を教わった先輩への敬意っていうものがもちろんあるから、先輩が「ここは自由演技で、お前がどんなふうに動いてもいいし、これをやるのは自由でいいよ」って言ってもらえるパートがあったら(攻めるかも)ね。でも、そこだけ自分の考えを落とし込んでも、トータルで見たら先輩に教えてもらったニュアンスと型と、キャラクターの取捨選択でハマるかどうか。
そこだけ許されたからって、そこだけ落とし込んでみてもバランスが悪くなっちゃったりすることもあるじゃない? 難しいよね。だけど歌舞伎はやっぱり好きだからね。どうですか、俳優業は何が一番好きなの?
高橋:舞台とか映像っていうよりも、僕が何かをすることで「明日から1週間頑張れます」とか「学校に行けるようになりました」って言ってもらえるのが一番嬉しいんですよね。その瞬間があるから、僕はこの仕事をやっているみたいな部分がありますね。
<番組概要>
番組名:TOKYO SPEAKEASY
放送日時:毎週月-木曜25:00~26:00
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/speakeasy/