笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。12月30日(土)の放送は、IoTNEWS代表の小泉耕ニ(こいずみ・こうじ)さんをゲストに迎え、お届けしました。
(左から)小泉耕ニさん、笹川友里
小泉さんは、1973年生まれ、京都府出身。大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア)、キャップジェミニ・アーンスト&ヤング、テックファーム株式会社を経て、2005年より現職に就いています。
◆2023年のデジタルシーンを席捲した「生成AI」
2023年のIT、デジタルシーンを振り返るなかで、「何と言っても(生成)AIでしょうね」と小泉さん。その象徴とも言うべき、OpenAI社が2022年11月にリリースした「ChatGPT」を引き合いに、「そこから丸1年かけて、生成AIの市場が約7兆円になったらしく、Web3(ブロックチェーン技術によって構築される次世代の分散型インターネットの総称)というキーワードが吹き飛んでしまったぐらいの勢いでした」と回顧。
そして、今年11月に新たにリリースされた新機能「GPTs」についても言及し、「これは、ChatGPTに自分たちの持っているデータを食わせることによって、自分たちのデータを使った回答をしてくれるんです。“学習する素材”と捉えていただくといい」と説明。
例えば、小泉さんがDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する講演をしていた場合、「その講演の資料があったとすると、それをChatGPTがまず読み込みます。私が『DXの面白い事例を教えてください』と言うと、今まではインターネットから(回答を)探してくるわけですけど、(GPTsだと)私の資料から回答を引き出してくる形になります」と解説します。
その機能面の違いに、「特に企業の方々にとってみれば、自分たちの事業や業務に関するデータで語ってくれないと。一般論を言われてもしょうがないですよね。かといって、AIにすごくお金をかけて学習させるのは現実的ではないですが、GPTsだと、簡単にAIに情報を食わせることができる。つまり、学習させることができるところが非常に大きなポイント」と言います。
また、生成AIが生まれたことにより、法整備に関する議論も起こっているなど、「どこまでが良くて、どこからがダメなのかという線引きは非常に難しい。しかも、科学の発展とともに、トレードオフ(二律背反の状態)になるところもあるので、何でも『ダメ』と言ってしまうと何も進まないところもある。すべてにおいて許可が必要となると何もできなくなるところもあるので、この辺が難しい」と課題点を挙げます。
◆イーロン・マスク氏やMicrosoftもAI領域に追随
続けて、イーロン・マスク氏が設立したAI企業「xAI(エックスエーアイ)」が、11月5日(日)に発表した対話型AI「Grok(グロック)」についても言及。
大きな特徴として、小泉さんは「X(旧:Twitter)のデータを学習するんです。これにより、例えば、災害が起きたときなど、Xではどんどん情報が入っていきますが、災害が起きた最新の情報のなかから『こういう情報を教えてほしい』というときに(情報を精査して)対話的に教えてくれる。それは、GoogleやOpenAIが作るものよりも、圧倒的にリアルタイム性が高いということになる」と解説。
そして「“Xが社会的なインフラになっている”という側面を見たときに、彼らのAIが何をすべきかは、わりと明白ではないでしょうか。そこに関して、なかなか他社では超えられないアドバンテージがあるとも思います」と見解を示します。
すると、笹川が「2024年はさらにAIが進化していくんでしょうか?」と質問。これに小泉さんは「もちろんそうですね。今後はどんどん一般化してくる」と即答します。
その例として、Microsoftがオフィスアプリケーションに追加した「Microsoft 365 Copilot」を挙げ、「これは、例えば、Microsoft PowerPointで資料をつくるときに『こんな資料をこんなデータで作ってください』ってお願いしたら、(AIが)作ってくれる」と機能の一面を説明。
これは既に実装されているものの、「まだ初期の段階のAIは、やはりデータであったり、作りだされたものに対する正確さなど、きっと問題はいろいろとあると思うんですけど、使われていくなかでどんどん(学習して)良くなっていくのではないか」と推測します。
改めて笹川が、「これまで使っていた馴染みのあるツールに、AIが当たり前のようにこれから入ってくることで、飛躍的に機能が上がってもっと便利になるということが、街中で起こり始めそうですね」と感想を語ると、小泉さんはうなずきつつも「未来というか、数年後の子どもたちは(AIに頼って)あまり自分で手を動かすことをしないかもしれないですよね」と案じていました。
次回2024年1月6日(土)の放送も、引き続き小泉耕ニさんをゲストに迎えてお届けします。2024年に注目しているデジタルシーンについてなど、貴重な話が聴けるかも!?
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12月30日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2024年1月7日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里