脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。
TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに、茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
7月26日(土)の配信では「自分の思いを声に出すこと」に関する質問に答えました。
パーソナリティの茂木健一郎
<リスナーからの質問>
「有言実行」という言葉をよく耳にしますが、やはり自分の思いを声に出すことは、いいことなのでしょうか? また、声に出すことで、脳にどんな影響をもたらしているのでしょうか?
<茂木の回答>
とてもいい質問ですね! まず、目標などを声に出すと、自分の耳からインプットされるので、自己暗示効果があります。「必ずやるぞ!」など声に出すことで、自分の脳のコンディションを整えられる利点がありますし、感情を言葉にするとモヤモヤが解消され、ストレスが軽減されて集中できるようになります。こうした側面は、目標を声に出すことの“いい点”だと思います。
一方で、困ったこともあります。目標を口にするだけで満足してしまうケースもあるんです。周りにも「俺はこんな大きいことをやってやるぞ」と言いつつ、そう言っているだけで満足しちゃって、実際は何もやっていない……という人がいませんか? 目標を声に出すと、脳はそれだけである程度、報酬もらってしまうという側面もあるんです。
だから逆に、目標は誰にも言わずに、黙々と課題に取り組むというやり方もあります。「私はこれをやります」と声に出さない。つまり、脳が満足感を得ることができなくなり、本当に満足するには目標を達成するしかない……という、ある意味で隠密作戦のように目標達成を目指すという方法もあります。
脳は、いろいろと複雑なことが絡み合っているので、一概に言うのは難しいです。例えば、机の前に目標を書いた紙を貼るという行為も、自己暗示効果で「頑張ろう」という気持ちになる側面もあるものの、「目標を書き出して壁に貼った」ということだけで満足してしまう側面の、両方があります。
だから、まさにあなたがお書きになったような「有言実行」が一番いいのかもしれません。宣言して自分自身に言い聞かせて暗示をかけて、さらに実行もする。実際にそれをやってみることができたら、本当にすごいことだなと思います。
ただ、声に出すということ自体は脳に外からの刺激を与えるという意味で、いい影響をもたらすことは事実です。もしできるのであれば有言実行で、積極的に言葉を発して脳を活性化させて、しかも実際にそれをやる。これができたら、あなたは素晴らしい人になると思いますよ。
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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎