放送作家の高須光聖が、世の中をもっと面白くするためにゲストと空想し、勝手に企画を提案していくTOKYO FMの番組「空想メディア」。今回の放送では、神社ソムリエの佐々木優太さんをお迎えして、日本の神社の現状やお賽銭の仕組みなど、神社にまつわることを教えてもらいました。
左から、佐々木優太さん、高須光聖
◆お賽銭の中身はどうやって管理している?
高須:神社って潰れていったりしてないの?
佐々木:あります。ほとんどが、ものすごく早いスピードで潰れていってますね。
高須:コロナの関係で?
佐々木:その前からですね。
高須:それは、どういう理由が大きいの?
佐々木:やっぱり、経済的な理由ですね。たぶん皆さんも“最近、家の神社のご祈祷やお祓いなどを受けましたか?”と考えたときに、「受けました」という方は少ないんじゃないかと思いますね。
* * *
佐々木:“神社の賽銭箱に入っているお金は神主さんのもの”と思っている方が本当に多いんですけど、実は違うんですよね。
高須:どういう仕組みなの?
佐々木:神社は神様のものなんですね、そこを預かって、管理しているのが神主さん。じゃあ(お賽銭は)誰のものかというと、氏子のものなんですよ。
高須:へぇ!
佐々木:氏子地域というのがあって、神社の会計は、神主さんと氏子総代(氏子をまとめる役)の合議制で決めるんですよ。そして、神主さんは過半数を取れないようになっているんです。なので、氏子さんと神主さんが「今年はこれだけのお賽銭が入りました。どうしましょうか?」って採決をとらないと、次の年の給料が出せないんです。それが氏神神社と呼ばれるものです。
高須:神社って大変なんやなぁ。
◆人々が神社を訪れる目的
佐々木:崇敬神社(すうけいじんじゃ)と呼ばれる種類の神社があるんですけど、それは氏子地域を持たないんですね。つまり、ざっくり言うと、何らかのキャンペーンを打たないとやっていけないんですよ。
高須:イベントでやっていかないと、カンパが集まらへんねや。
佐々木:お城の跡とかに歴代藩主を祭った神社とかができるんですけど、そういうのは明治以降にできたものなので崇敬神社なんですね。
高須:なるほど、そういうところはどうやって食べていくの?
佐々木:そもそも“神社とは何か”というのが、鎌倉時代の御成敗式目(武家のための法令)の最初に書いてあるんですけれども、日本の神様というのは、人間が奉って盛り上げていくことで力が強くなり、その強くなった神様の力のあやかりを人間が受けるんです。それが、日本の神様と人間の関係なんです。
だから、どんどん盛り上げて大きくしていって、「うちの神社はこれぐらい大きいねんで!」って自慢するぐらいがいいんですよ。そうしたら、(神様からの)ご利益もいっぱい出てくるんですね。
だけど、ちょっと真面目な話をすると、70年前ぐらいに大戦が終わった後、神社と宗教が線引きされたんです。入ってきた西洋の思想をもって、日本の神社を見ちゃうようになったんですね。
高須:ご利益ばかりを求めるようになったってこと?
佐々木:そうです。世界の神様とか宗教は“いい・悪い”で判断して、その神様と「あなた以外は信じません」という契約を結ぶんですよ。もしその道から外れたらバチが当たる。
だけどみなさん、日本の神社で契約書を書いたことはないですよね? その理由は、日本の神社は“いい・悪い”じゃなくて“きれいかどうか”で判断するんですよ。
高須:きれいかどうか?
佐々木:“清い”か“穢れ(けがれ)”か、ということですね。ちなみに、穢れっていうのは悪いことではなくて、“普通じゃない”という意味です。だから、自分の「普通」に波長を戻していくために神社があるわけです。
高須:わかるわぁ。
佐々木:なので神社には、ご利益をもらいに行くんじゃなくて、自分が神社を盛り上げに行くんですよ。
<番組概要>
番組名:空想メディア
放送日時:毎週日曜 25:00~25:29
パーソナリティ:高須光聖
番組公式Facebook:
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