玉井夕海がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「サステナ*デイズ」。“子どものあした 大人のきょう”をテーマに、子どもたちが安心して暮らせる未来のために、「SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)」の考えを軸にした“新しい毎日”を提案します。12月7日(木)のテーマは「“冒険”の中に探すSDGs」。ゲストに冒険家の舟津圭三(ふなつ・けいぞう)さんをお迎えして、南極大陸横断のエピソードや、現在おこなっている活動についてお話を伺いました。
舟津圭三さん
◆南極の精神が全世界に広がってほしい
1989年、日本を代表する冒険家・舟津圭三さんをはじめとするアメリカ、フランス、ソ連(ロシア)、イギリス、中国の6ヵ国6名の冒険家や科学者が、環境と平和の重要性を訴えることを目的に、世界で初めて南極大陸犬ぞり横断に挑戦。
メンバー最年少で当時33歳の舟津さんは、犬ぞりの犬を訓練する役割を担い、約7ヵ月をかけて全員が6,040キロを踏破。そして、舟津さんたちが南極点に到達した12月11日は、南極大陸横断国際隊が“南極点から環境と平和を訴えた日”にちなんで「THINK SOUTHの日」として記念日登録されています。
南極横断に挑戦した1989年は東西冷戦の緊張緩和が続いていた時期で、「そういうときに東西及び人類が1つになって“平和な大陸である南極を国際協調で乗り切ろう”という趣旨のもと、我らの隊が横断できました」と舟津さん。ちなみに、ベルリンの壁崩壊(1989年11月9日)の情報は、南極大陸横断中に知ったそうです。
なお、当時のメンバーとは現在も交流があり、来年2024年は南極横断から35周年という節目ということもあって、「フランスのパリ、ボルドーに集まって同窓会をしようという話で盛り上がっています」とうれしそうに語ります。
そこで、玉井が現在の世界情勢を案じ「皆さんが集まると、世界がバラバラになりつつある現状についても話をされたりしますか?」と伺うと、舟津さんは「ロシア、中国のメンバーもいますので、そういう話題にもなったりします。南極は“国境のない大陸”で、平和の(象徴の)1つでもあると思いますので、そういうところから“南極の精神が全世界に広がってほしい”という願いは常に持っています」と力を込めます。
◆過酷な環境で“命の大切さ”を実感
舟津さんは第二の人生として“ワイナリー事業”に参画。2015年に北海道仁木町で「NIKI Hills Winery(ニキ・ヒルズ・ワイナリー)」の総支配人に就任します。「ワイナリーを始めたことも1つのアドベンチャーでした。“新しいものに取り組んでいく”という冒険家のスピリット、アドベンチャーの精神が、すごく活きていると思っています」と語ります。
また、こちらではネイチャーガイドもおこなっており、「(「ニキ・ヒルズ・ワイナリー」は)自然が豊富な場所なので、来られた方々には、自然と対話をしながら、いのちの大切さ、森の尊さ、ワインができる素晴らしさなどを感じてもらい、一緒に楽しんでいます」と言います。
さらに今年、一般社団法人日本ソムリエ協会呼称資格認定試験に合格し、ソムリエの資格を取得! ワインの知識が増えたことで、さらにワインへの熱量が高まっているそうで、「ワインの楽しみ方の1つとして食事とのペアリングがあります。ワインと食材がマリアージュすることで、素晴らしい味や香りになったりするわけです。そういうことへの関心も高まりましたし、これまで命がけの冒険家活動をおこなってきましたけれども、今は奥深いワインの世界に魅せられている状況ですね」と話します。
最後に、舟津さんは、「南極には生命が一切存在しない場所があって、そこは非常に美しくて素晴らしいところなんですけど、その一方で“命のない寂しさ”が常につきまとうんですね。ここ(仁木町)に来て、いろいろな命に囲まれていると“人間はいろんな命に囲まれてこそ生きていける”と実感します。ワイン作りに対しても、すべての命が連携、共存しあって(良いワインが作られる)。そういうことを感じられるというのは、南極横断が自分の心のなかで大きな役割を果たしていると思います」と感じ入っていました。
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12月7日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年12月15日(金) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:サステナ*デイズ
放送日時:毎週木曜 11:30~13:00
パーソナリティ:玉井夕海