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「本人の意思が不明な場合、臓器提供を家族で決断するのは負担」と答えた人“8割超”…今のうちに臓器提供の意思を家族と話し合おう!
2025-10-20 (月) 20:50
杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。
10月19日(日)の放送テーマは、「知って考え話し合おう! いのちの架け橋 臓器移植」。厚生労働省 移植医療対策推進室の田中康介さんと髙木友貴さんから、日本の臓器移植の現状、意思表示の重要性について伺いました。
杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。
10月19日(日)の放送テーマは、「知って考え話し合おう! いのちの架け橋 臓器移植」。厚生労働省 移植医療対策推進室の田中康介さんと髙木友貴さんから、日本の臓器移植の現状、意思表示の重要性について伺いました。

◆「臓器を提供する側」にも「提供を受ける側」にも
臓器移植とは、病気や事故で臓器の機能が低下し、移植でしか回復が望めない人に対して他の人の臓器を移植することで命を救う医療です。内閣府の世論調査によると、臓器移植に「関心がある」と答えた人は6割以上にのぼります。さらに、「臓器を提供したい」「提供したくない」といった何らかの意思を持っている人も6割ほどいますが、実際に意思を明確に示している人は、わずか2割ほどにとどまっています。
身の回りに臓器移植に関わった人がいれば身近に感じられますが、そうでなければ実感を持ちにくいかもしれません。しかし、「いつ」「誰が」病気や事故に遭うかは誰にも分かりません。誰もが「臓器を提供する側」にも「提供を受ける側」にもなりうるのです。
◆臓器提供は本人と家族の意思を尊重
死後の臓器提供には「心停止後臓器提供」と「脳死下臓器提供」の2種類があります。この違いについて、田中さんは「心停止は、心臓から臓器や組織などに血液が送り出されなくなっている状態で、脳死は脳のすべての機能が働かなくなった状態です。また、脳死は人工呼吸器などにより心臓を動かし続けることができますが、どのような治療をおこなっても回復することはなく、多くの場合、数日で心臓も停止します」と説明します。
日本では1997年に施行された臓器移植法により、「脳死は臓器提供を前提とする場合に限り、人の死とみなす」と定められています。ちなみに、臓器移植法の施行から2024年度末までの27年間で、脳死下で臓器提供をした人は1,181名おり、2023年度には過去最多となる139名が提供をおこないました。
一方、臓器移植を望み、臓器あっせん機関に登録している人は約1万8,000人いますが、そのうち実際に移植を受けられるのは年間約1,500人にとどまっています。田中さんは「脳死ドナーから提供される臓器は心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、眼球です。特に腎臓は、移植を受けられるまでの平均待機期間が14年程度となっています」と現状を話します。また、日本では人口100万人あたりのドナー数が、欧米やアジア諸国と比べて少ないといわれています。
日本では、臓器提供に関して本人と家族の意思が尊重されます。本人が生前に運転免許証やマイナンバーカードなどに「臓器を提供する」と記している場合、家族が反対しなければ臓器提供がおこなわれます。また、本人の意思が不明な場合でも、「本人の意思を尊重する」という前提のもと、家族などの総意で臓器提供の可否が決められます。
田中さんは「『臓器を提供したい』という書面が有効となるのは15歳以上ですが、『臓器を提供しない』という意思は年齢にかかわらず、口頭でも書面でも有効です」と補足。「臓器を提供しない」という意思表示がされていれば、臓器提供がおこなわれることはありません。
◆家族と臓器提供について話し合おう
人は誰でも、亡くなったあとに「臓器を提供する」「提供しない」、「移植を受ける」「受けない」を自由に選択する権利があり、そのどれもが尊重されるべき考え方です。ただし、臓器を提供する意思がある場合、その思いが尊重されるためには、家族など身近な方に臓器提供の意思を伝えて、よく話し合っておく必要があります。生前に書面で臓器を提供する意思を示していても、最終的に臓器提供をするかどうかは、家族などの総意で決定されるものだからです。そこで、ここからは看護師として活動し、臓器を提供するドナーのご家族と向き合ってきた髙木友貴さんに話を伺います。
脳卒中や頭部外傷などで入院し、医師が最善を尽くしても回復が見込めない場合、終末期医療の選択肢の1つとして「臓器提供」の可能性が提示されます。髙木さんは、ご家族の不安や疑問に寄り添いながら、臓器提供に関する説明や意思決定のサポートをおこなってきました。「脳死状態の半数以上は、脳卒中や交通事故による外傷など、突然起こるものです。そのため、ご家族は混乱のなかで治療方針を判断しなければなりません。また、多くの方が臓器提供の意思表示をしていないため、臓器提供についても、ご家族が“本人ならどう考えたか”を推測しながら判断しなければなりません」と話します。
家族にとって、臓器提供の判断は非常に大きな負担となります。最期まで「これが本人の望んでいたことなのか」と悩み続けるケースも多いです。実際、内閣府の世論調査では「本人の意思が不明な場合、家族が臓器提供を決断することに負担を感じる」と答えた人が8割を超えています。髙木さんは「だからこそ、臓器提供に対する意思表示と、家族での話し合いがとても大切です」と力を込めます。
◆毎年10月は「臓器移植推進月間」
臓器移植をされた方は、感謝の気持ちを「サンクスレター」という形で、匿名でドナーへ送られます。臓器を提供した側と受けた側は、お互いの名前や住所を知ることはできませんが、移植を受けた方の感謝の気持ちは、日本臓器移植ネットワークを通じて届けられます。一部のサンクスレターは日本臓器移植ネットワークの公式サイト
でも紹介されており、臓器移植の現場を知るきっかけとして多くの人に読まれています。
厚生労働省では毎年10月を「臓器移植推進月間」として、全国で関連イベントを開催しています。今年は10月26日(日)に大阪府で「第26回臓器移植推進国民大会」が開かれ、オンラインでの視聴も可能です。詳細は日本臓器移植ネットワークや厚生労働省のWebサイトで確認できます。
最後に田中さんは「臓器移植に対する考えは、どのようなものであっても尊重され、守られます。大切なのは自分の意思を家族に伝えておくこと、そして、家族の意思を知っておくことです。いつ“もしもの時”が訪れるかは誰にもわかりません。突然の事態に陥った家族のお悩みやご負担を少しでも軽くするために、日頃から家族などの身近な方と臓器移植について話し合い、意思表示をしていただきたいです」と呼びかけました。
番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「臓器移植」について復習。まず、村上は「いのちのバトン 想いをつなぐ」とスケッチブックに書き、「大事なことだと思います」と話します。続けて、杉浦は「臓器提供の意思表示 家族と話し合ってみてね」とポイントを挙げ、「臓器移植について詳しく知りたい方は、日本臓器移植ネットワークのホームページをご覧ください」とコメントしました。

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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm
10月19日(日)の放送テーマは、「知って考え話し合おう! いのちの架け橋 臓器移植」。厚生労働省 移植医療対策推進室の田中康介さんと髙木友貴さんから、日本の臓器移植の現状、意思表示の重要性について伺いました。

(左から)田中康介さん、杉浦太陽、村上佳菜子、髙木友貴さん
◆「臓器を提供する側」にも「提供を受ける側」にも
臓器移植とは、病気や事故で臓器の機能が低下し、移植でしか回復が望めない人に対して他の人の臓器を移植することで命を救う医療です。内閣府の世論調査によると、臓器移植に「関心がある」と答えた人は6割以上にのぼります。さらに、「臓器を提供したい」「提供したくない」といった何らかの意思を持っている人も6割ほどいますが、実際に意思を明確に示している人は、わずか2割ほどにとどまっています。
身の回りに臓器移植に関わった人がいれば身近に感じられますが、そうでなければ実感を持ちにくいかもしれません。しかし、「いつ」「誰が」病気や事故に遭うかは誰にも分かりません。誰もが「臓器を提供する側」にも「提供を受ける側」にもなりうるのです。
◆臓器提供は本人と家族の意思を尊重
死後の臓器提供には「心停止後臓器提供」と「脳死下臓器提供」の2種類があります。この違いについて、田中さんは「心停止は、心臓から臓器や組織などに血液が送り出されなくなっている状態で、脳死は脳のすべての機能が働かなくなった状態です。また、脳死は人工呼吸器などにより心臓を動かし続けることができますが、どのような治療をおこなっても回復することはなく、多くの場合、数日で心臓も停止します」と説明します。
日本では1997年に施行された臓器移植法により、「脳死は臓器提供を前提とする場合に限り、人の死とみなす」と定められています。ちなみに、臓器移植法の施行から2024年度末までの27年間で、脳死下で臓器提供をした人は1,181名おり、2023年度には過去最多となる139名が提供をおこないました。
一方、臓器移植を望み、臓器あっせん機関に登録している人は約1万8,000人いますが、そのうち実際に移植を受けられるのは年間約1,500人にとどまっています。田中さんは「脳死ドナーから提供される臓器は心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、眼球です。特に腎臓は、移植を受けられるまでの平均待機期間が14年程度となっています」と現状を話します。また、日本では人口100万人あたりのドナー数が、欧米やアジア諸国と比べて少ないといわれています。
日本では、臓器提供に関して本人と家族の意思が尊重されます。本人が生前に運転免許証やマイナンバーカードなどに「臓器を提供する」と記している場合、家族が反対しなければ臓器提供がおこなわれます。また、本人の意思が不明な場合でも、「本人の意思を尊重する」という前提のもと、家族などの総意で臓器提供の可否が決められます。
田中さんは「『臓器を提供したい』という書面が有効となるのは15歳以上ですが、『臓器を提供しない』という意思は年齢にかかわらず、口頭でも書面でも有効です」と補足。「臓器を提供しない」という意思表示がされていれば、臓器提供がおこなわれることはありません。
◆家族と臓器提供について話し合おう
人は誰でも、亡くなったあとに「臓器を提供する」「提供しない」、「移植を受ける」「受けない」を自由に選択する権利があり、そのどれもが尊重されるべき考え方です。ただし、臓器を提供する意思がある場合、その思いが尊重されるためには、家族など身近な方に臓器提供の意思を伝えて、よく話し合っておく必要があります。生前に書面で臓器を提供する意思を示していても、最終的に臓器提供をするかどうかは、家族などの総意で決定されるものだからです。そこで、ここからは看護師として活動し、臓器を提供するドナーのご家族と向き合ってきた髙木友貴さんに話を伺います。
脳卒中や頭部外傷などで入院し、医師が最善を尽くしても回復が見込めない場合、終末期医療の選択肢の1つとして「臓器提供」の可能性が提示されます。髙木さんは、ご家族の不安や疑問に寄り添いながら、臓器提供に関する説明や意思決定のサポートをおこなってきました。「脳死状態の半数以上は、脳卒中や交通事故による外傷など、突然起こるものです。そのため、ご家族は混乱のなかで治療方針を判断しなければなりません。また、多くの方が臓器提供の意思表示をしていないため、臓器提供についても、ご家族が“本人ならどう考えたか”を推測しながら判断しなければなりません」と話します。
家族にとって、臓器提供の判断は非常に大きな負担となります。最期まで「これが本人の望んでいたことなのか」と悩み続けるケースも多いです。実際、内閣府の世論調査では「本人の意思が不明な場合、家族が臓器提供を決断することに負担を感じる」と答えた人が8割を超えています。髙木さんは「だからこそ、臓器提供に対する意思表示と、家族での話し合いがとても大切です」と力を込めます。
◆毎年10月は「臓器移植推進月間」
臓器移植をされた方は、感謝の気持ちを「サンクスレター」という形で、匿名でドナーへ送られます。臓器を提供した側と受けた側は、お互いの名前や住所を知ることはできませんが、移植を受けた方の感謝の気持ちは、日本臓器移植ネットワークを通じて届けられます。一部のサンクスレターは日本臓器移植ネットワークの公式サイト
でも紹介されており、臓器移植の現場を知るきっかけとして多くの人に読まれています。
厚生労働省では毎年10月を「臓器移植推進月間」として、全国で関連イベントを開催しています。今年は10月26日(日)に大阪府で「第26回臓器移植推進国民大会」が開かれ、オンラインでの視聴も可能です。詳細は日本臓器移植ネットワークや厚生労働省のWebサイトで確認できます。
最後に田中さんは「臓器移植に対する考えは、どのようなものであっても尊重され、守られます。大切なのは自分の意思を家族に伝えておくこと、そして、家族の意思を知っておくことです。いつ“もしもの時”が訪れるかは誰にもわかりません。突然の事態に陥った家族のお悩みやご負担を少しでも軽くするために、日頃から家族などの身近な方と臓器移植について話し合い、意思表示をしていただきたいです」と呼びかけました。
番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「臓器移植」について復習。まず、村上は「いのちのバトン 想いをつなぐ」とスケッチブックに書き、「大事なことだと思います」と話します。続けて、杉浦は「臓器提供の意思表示 家族と話し合ってみてね」とポイントを挙げ、「臓器移植について詳しく知りたい方は、日本臓器移植ネットワークのホームページをご覧ください」とコメントしました。

(左から)杉浦太陽、村上佳菜子
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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm