手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMの番組「防災FRONT LINE」。今回の放送では、京都大学 防災研究所の西村卓也(にしむら・たくや)准教授に、先月発生した「石川県珠洲市(すずし)の地震」についてお伺いしました。
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6月19日(日)に、石川県珠洲市で震度6弱を観測する地震が起きました。その後、6月20日(月)にも震度5強を観測するなど地震活動が活発な状態が続いています。
この地震について西村准教授は、「能登半島周辺では、2020年12月から小さい地震が活発に起こっていまして、1年半ぐらい地震活動が多い状態が続いていました。こういう地震活動を“群発地震”と呼んでいます。特に一番大きい地震があって余震が続くというよりは、同じような規模の地震が何回も活動を繰り返しながら、活発になったり少し穏やかになったりしながら長く続くのが特徴です」と説明します。
珠洲市がある能登地方では、2020年12月から震度1以上の地震が160回以上発生しており、国土地理院によると、珠洲市の地表面は2020年12月以降およそ4センチ隆起していて、地震活動の活発化と地殻変動はほぼ同じ時期に起きていると分析されています。
そこには「“流体”が関係している」と西村准教授は言います。
「流体が溜まっていることで地面を押し広げて、今回のような隆起や群発地震を生じさせているのではないかと考えられています。流体というのは、例えば、ガスや水、またマグマも流体と言うんですけど、能登半島には火山がないので、恐らくマグマではないと思われます。地下の深いところに水があるということは、火山帯以外のところでもいろいろな場所にあると考えられていて、今回の能登の場合も、水が深いところから上昇してきたことが地震にも関連していると考えられている」と解説。
太平洋プレートが沈みこむ際に引き込まれた海水の一部が、温度や圧力の影響で上昇して地下に溜まったことで地面が隆起したと見られており、その後、まわりの岩盤に力を与えたことが群発地震の原因となっている可能性があると言います。
また、現在も地殻変動がゆるやかに続いていることから、地下でこの水が移動しているとも考えられています。今後、数ヵ月から半年間は地震活動に注意が必要です。
さて、関東に住んでいるあなたは“石川県能登半島で起きたこと”だと思っていませんか? 最後に「このような流体が溜まる地域は限定されているのか?」「関東でも起こる可能性があるのか?」を西村准教授に伺いました。
「日本列島は、地下から水が上がりやすいところに位置していますので、能登半島が非常に特別な場所というわけではなく、日本列島のほかの場所でも可能性としては水が上がってくることはあり得ると思います。関東地方は、どちらかというと比較的(水が)上昇しにくいところじゃないかなと思うんですけど、北関東の山側や伊豆に近いほうでは水が上がりやすい地域もあるのではないかと思います」
関東にも流体が溜まっていくことによる地震が起こりやすい地域がある、ということを覚えておきましょう。
<番組概要>
番組名:防災FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/bousai/