放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」(毎週日曜15:00~15:50)。3月9日(日)の放送は、番組企画「音の風景印」の石川県輪島市編をお届けしました。
(左から)パーソナリティの小山薫堂、宇賀なつみ
◆「音の風景印」が伝える被災地“石川県輪島市”のいま
“音”で楽しむ番組企画として、2023年にスタートした「音の風景印」。今回、当番組のマイクが訪れたのは、昨年に地震と豪雨で甚大な被害を受けた能登半島です。復興に励む石川県輪島市の方々の声を紹介しました。
今回、輪島市を案内してくれたのは、能登生まれ・能登育ち、日本郵便北陸支社の鷹合範絵(たかごう・のりえ)さんです。
輪島市といえば、伝統工芸のまちとして知られ、日本三大朝市のひとつでもある「輪島朝市」がとても有名です。震災前は、朝市通りに160店舗以上のお店が軒を連ねていましたが、現在は商業施設「ワイプラザ輪島店」の館内で営業を再開しています。
輪島朝市の組合長・冨水長毅(とみず・ながたけ)さんいわく、その歴史は1,000年以上を誇り、「元々は神社とかお寺の境内などで、山の幸・海の幸の物々交換をしていたのが起源ということです」と説明。営業を再開した現在、ワイプラザ輪島店の館内には40店舗以上が出店。「かつてあった全長360mの朝市通りには最大で約160店舗がひしめいていたという歴史もあります。昨年の3月23日に、同じ港町である金沢の金石地区で出張サービスを開催させていただきました。おかげさまで、それ以降、全国からオファーをいただき、昨年は石川県内外の約90ヵ所で出張朝市として出店させていただきました」と震災後の実績について語ってくれました。
続いては、ワイプラザ輪島店から徒歩で約20分のところにある、重蔵(じゅうぞう)神社へ。21代目神主の能門亜由子(のと・あゆこ)さんによると、ここの創建は1,300年以上前。朝市発祥の地としても知られ、「1,000年以上、この重蔵神社の表参道で開催されております」と能門さん。
昨年の震災によって神社はほぼ全壊してしまい、お祭りの開催も諦めかけていたものの「やっぱり震災のときなので、お祭りをして少しでも賑やかにするのはなかなか難しいんですけれども、人が集まって活気がある場所があればいいと地域の方たちからお話をいただきまして。2月に豆まき、4月に春祭りをして、(年間で)一番大きいお祭りの夏祭りを輪島と金沢で2回、昨年は開催することができました」としみじみ。
日本文化遺産に登録されている「キリコ祭り」は、夏の約3ヵ月間にわたって、七尾市、輪島市、珠洲市、志賀町、穴水町、能登町の3市3町、合計約200もの地区でおこなわれる、能登の夏祭りを代表する一大イベントとあって、「(重蔵神社の大祭は)今年も頑張って開催します」と明言していました。
重蔵神社
次に訪れたのは、輪島市にある「白藤(はくとう)酒造」です。9代目蔵元の白藤喜一(はくとう・きいち)さんいわく、1722(享保7)年に初代が廻船問屋として創業。江戸時代末期頃から酒造りを始めたという歴史のある老舗酒蔵ですが、能登半島地震の影響で「店舗は2階の部分が1階になっているような状態で、蔵はタンクが全部傾いてしまったり、コンクリートの土間とかもひび割れてしまったり、地盤沈下もあって本当に悲惨な状況でした」と振り返ります。
現在も酒造りができない状況が続いているものの、「1日も早く再開させたいということで、酒造りに関わる部分だけ昨年の9月から工事を始めており、3月中には仕込みを再開する予定です」と一歩ずつ前進している現状について言及。自社ではお酒を造ることができないため、同じ石川県内にある酒造や、長野県や福井県、奈良県といった県外の酒蔵の協力を得てお酒を造らせてもらうことになっているそうです。
最後に紹介する場所は、輪島市の中心地に位置する、能登のおいしいものが食べられる居酒屋「mebuki-芽吹-」です。シェフの池端隼也(いけはた・としや)さんによると、このお店をオープンしたのは、去年の8月8日。2014年に開業したレストランが震災によって全壊してしまいました。
レストランではなく居酒屋をオープンさせた経緯を伺うと「(全壊したのは)フランス料理ベースのレストランだったんですけど、やっぱりああいうレストランというのは、ある程度幸せの上に成り立っているというか、まち自体がちゃんと健全な状態になったうえで存在するものだと思っています。ですので、僕が自分のお店を再開するためには、まずまちがある程度戻るっていうのが条件だと思って。それで、居酒屋をやりながら、みんながまちにある程度戻ってきてくれたらっていう思いで、先に『mebuki』をオープンさせました」と思いを語ります。
お店を訪れたお客さんからは「久しぶりに楽しめました」という言葉をかけてもらったことも。この地域の人たちの憩いの場となっていることに、喜びを感じているようでした。
さらにこの日は、石川県知事のはせ浩さんからのメッセージも到着。リスナーに向けて、馳知事は「能登の皆さんもつらい思いをしましたけれども、ここから立ち上がって、復活し、“負けるもんか!”という思いを持っておられます。そういう人情の織りなす人に会いに、また風景をご覧に、“いま行ける能登”が各地にございますので、そういったところに観光に来ていただきたいと思っています」とメッセージを送りました。
今回の「音の風景印」を振り返り、宇賀は「皆さんのお話を聞いて、輪島市をはじめ、能登に行きたくなりました」と声を弾ませると、小山も「(復興支援のためにも)やっぱり行くことが大切ですね。なんとなく遠慮しがちというのもありましたけど、いま行けるところがたくさんあるということなので、そういうところにはどんどん皆さんで行って、応援すると。やっぱり観光って、外から来た人が感動したり喜んだりすることで、その地の人たちが心豊かになったり、自信を持ったりする。観光にはそういう力がありますからね」と大きくうなずいていました。
はせ浩石川県知事
“音”で楽しむ「音の風景印」石川県輪島市編の模様を、ぜひ
「radiko」
でお聴きください(※2025年3月17日(月) AM 4:59 まで聴取可能)。
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3月9日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年3月17日(月) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY’S POST
放送日時:毎週日曜 15:00~15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ