手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。2月17日(土)の放送では、手島アナが2月9日(金)~11日(日・祝)に石川県輪島市、珠洲市、能登町を取材した模様をお届け。今回は、能登半島・輪島の地で200年以上“木と漆”の仕事に携わってきた「輪島キリモト」7代目の桐本泰一(きりもと・たいち)さんの声を紹介しました。
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日本を代表する工芸品「漆器」。そのなかでも最高級の日用品として親しまれているのが、石川県輪島市を中心に製作されている伝統工芸漆器・輪島塗。その伝統と技法を今に伝えているのが創業200年以上の老舗・輪島キリモトです。
今回の能登半島地震で、桐本さんの工房はどのような影響があったのかを聞いてみると、「耐震がうまくいったおかげか、建物は大丈夫だったんですね。しかし、裸で保管してあった商品は、すり傷や小傷が付いてしまったりと直さなきゃいけない物が20点ほどあります。そのほかは、一つひとつチェックして出荷できる状況です」と現状を語ります。
一方で、「輪島の漆器店は老舗で歴史が長く、建物が古いお店が多いので(地震の影響で)“1階が倒壊した”とか、工房や在庫部屋がないところもありますね」とも。輪島市役所によると、輪島市には約400店の輪島塗の工房があるそうですが、現在ほとんどの工房で作業ができない状況が続いています。また、実際に輪島市内を歩いた手島アナは、歴史ある瓦屋根の家が多く立ち並ぶなか、1階部分が潰れてしまっている家屋を多く目にしたと言います。
さらに桐本さんは、「(震災を受けて)心配なのは子どもたちです。“輪島はいい所だ”と思っている子が多いと思うんですよ。だけど、輪島という街の良さを心に刻んでもらう前に震災が発生したので……それが心配です」と口にします。
そのためにも、「彼らをサポートする体制をもうちょっと整えなければならないし、それこそ、輪島塗に携わっている人間は(被災した)子どもたちに対して、“僕たちは、頑張ってこれだけ復興した”というモデルケースをつくらなきゃいけないと思います。そういう生きざまを見せないと、輪島が根底からなくなってしまう。だから今は、たとえ復興に時間がかかっても“(輪島塗を)長く続けられるように”と、僕は慎重に取り組んでいます」と語ります。
今後は、時間がかかっても職人さんや輪島の人たちと話し合って、みんなで“復興につなげるには何をすべきか”を考えて、盛り上げていきたいと話していました。
<番組概要>
番組名:防災 FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋