笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。1月10日(土)の放送は、先週に引き続きウェブマガジンIoTNEWS代表の小泉耕二さんをお迎えして、2026年に予想されるデジタルとテクノロジーの進化について伺いました。
(左から)小泉耕二さん、笹川友里
小泉さんは大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)、キャップジェミニ・アーンスト&ヤング、テックファーム株式会社を経て、2005年より現職に就いています。
◆AIエージェントのさらなる進化を期待
前回の放送
では、小泉さんと2025年のデジタルシーンを振り返りましたが、今回は今年どのようなデジタルの進化を遂げていくのか、その展望を伺いました。
まず、小泉さんが注目ポイントとして挙げたのが「AIエージェント」です。今やAIは、指示を出せば調査や資料作成まで実行してくれる存在になっていますが、現状では自律的に動く段階には至っていません。しかし、2026年はこの点が大きく変わると予測。例えば、人が日常会話のように「ちょっと旅行に行きたいな」と話しかけるだけで、AIが必要な情報を聞き返し、やりとりのなかで条件を整理し、最終的には予約や価格交渉まで担ってくれるような進化を期待します。
また、一部の企業で既にAIエージェントの導入が進んでいますが、現状はまだ細かく指示を出さないと答えが返ってこないと言いつつ、「だから、何でも答えてくれるわけじゃないんですよ。そうではなくて、『何でもいいから言ってくれたら適当にやっておきます』みたいな感じになるんじゃないかというところですね」と、今後は自走力の高いAIが現れる可能性が高いと語ります。
◆AI は「Google」が一強!?
続いては、AIモデルの勢力図の話題に。2025年末には、Googleが最新モデル「Gemini 3」を発表しました。その性能について、小泉さんは「他よりも圧倒的に精度が高いと言われていて、もう完全に横綱相撲だと思います」と評価します。
その背景にあるのが、Googleの持つ圧倒的なユーザー数と実データの量です。「どれだけのユーザーがいて、どれだけ実データを持っているかがすべてを決める」という小泉さんの言葉通り、ほぼ誰もがGoogleアカウントを持つ現状では、大きなアドバンテージとなっています。
一方、ChatGPTを提供するOpenAIは、単体だとOSなどのプラットフォームを所有しておらず、そこをMicrosoftとの提携で補完してきましたが、ブラウザや日常利用という点ではGoogleに及ばないことから、小泉さんは今後Google Geminiの一強状態になる可能性が高いと見ています。
その象徴的な出来事として、Appleが、音声アシスタント「Siri」の性能向上のため、Googleと契約を結ぶことを報じたニュースを取り上げ、「これはAppleが(完全な)独自開発を一旦諦めたということですね。それくらい(Googleの)レベルが高いんですよ」と技術力の凄さに唸ります。
◆人型ロボットを導入するメリット
AIをめぐる進化は新たな段階へと入りつつあります。そのなかで、小泉さんはソフトウェアの世界だけでなく、3Dの世界で活躍が期待できる「フィジカル(物理)AI」に注目。ロボットや自動運転車のほか、製造現場、物流現場で動くさまざまなモノに、続々とAIが取り入れられる時代が来ると予想します。
さらに話題にあがったのが、テスラが開発する人型ロボット「Optimus(オプティマス)」です。イーロン・マスク氏は、2026年に約450万円で販売すると公言しています。
小泉さんによると、人型ロボットが発売された場合、最初は工場や物流センターで活用されると予測し、「人間の形をしていることのメリットって、人間の作業を丸々置き換えられる点です。これまでは、工場のなかにロボットを導入するとなると、ロボット用のスペースを用意したり、その周りに安全柵を立てたりしなければなりませんでしたが、(その準備がなくなり)人とまったく同じ状態で、人と普通に交代できることがすごいんですよね」と解説します。
さらに、通信分野では、スペースX社の衛星ブロードバンドインターネット「Starlink(スターリンク)」が存在感を強めています。衛星通信により、物理的にインターネット回線が引けない航空機内や山間部といった場所でも、高速インターネットを利用できるのが大きな魅力です。また、日本でもKDDIが「au Starlink Direct」としてサービスを開始し、対応端末であればスマートフォン単体での衛星通信も可能になりました。ただし、利用者が増えた際の安定性など、今後の検証は必要とされています。
最後に、笹川が「デジタルシーンのお話をすると、やっぱり『イーロン・マスク祭り』みたいになりますね」と笑みを浮かべながら話すと、小泉さんは「彼の凄さは、“未来の世界をイメージできている”というところだと思います。日本人も『鉄腕アトム』以降、アニメなどでさまざまな未来を描いてきて、そういう意味では日本人の未来を描く能力も高いと思うんですけど、(イーロン・マスクは)それを本当に実現しようとしている。そこは、日本人の感覚とはちょっと違うのかなと思いますね」と語りました。2026年はワクワクと現実が交差する1年になりそうです。
次回1月17日(土)の放送は、株式会社ビビッドガーデン 代表取締役社長の秋元里奈さんをゲストに迎えてお届けします。日本最大の産直通販サイト「食べチョク」の革新的な取り組みなど、貴重な話が聴けるかも!?
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/