アーティストの坂本美雨がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「坂本美雨のディア・フレンズ」(毎週月曜~木曜11:00~11:30)。
今回の放送ゲストは、現在大ヒット公開中の映画「国宝」に出演する俳優の渡辺謙さん️。この記事では「悲しみからの立ち直り方」について語っていただいたパートを紹介します。
渡辺謙さん
坂本:質問ボックスの時間です。(いろいろな質問が書かれた用紙の入った)質問ボックスから1枚引いてください。
渡辺:「悲しいとき、どうやって立ち直る?」(という質問用紙を引きました)。悲しいときは、けっこう泣きますね。滂沱(ぼうだ)の涙ですね。以前、飼っていた犬の体が弱っちゃって、最後に1時間半ぐらい抱っこしていたんですけど、「涙ってこんなに出るのか」っていうくらいずっと泣いて……。でも、「自分のなかでうまく収まりがつくまでは、ずっと悲しんでいればいいや」って感じで、「立ち直る」っていう感覚はあまりないのかもしれない。僕らの仕事って、割とエモーショナルじゃないですか。だから、あんまりコントロールしないようにしているんですよね。
坂本:喜怒哀楽を?
渡辺:うん。もちろんやらなきゃいけないことはあるので、一応、それまでには自分のなかではちゃんとしてるつもりではあるんですけど、やっぱりけっこう引きずりますよね。
坂本:そうですね。私も昨年猫を看取って、普段は大丈夫なんですけど、「ここで」っていうタイミングで、不意に「わー!」ってなります。いまは、ワンちゃんは?
渡辺:あまりにも渇望感が満たされないので、飼っちゃいました。
坂本:お名前は?
渡辺:ダンっていいます。「弾む」と書いて「ダン」という名前を考えたんですけど、本当にそんな犬になっちゃった(笑)。走り回っています。
坂本:じゃあ、お散歩もかなり体力がいりそうですが、謙さんには大きい犬が似合いますね。今日は、「長いキャリアのなかで『辞めたいな』というときはなかったのか」というのも、お聞きしたいと思っていて……。
渡辺:チクチクして「もういい、辞めたい!」って思うときはあるんですけど、それは本当に辞めたいわけじゃなくて、「いま、現実逃避がしたい」というだけ。大きい病気を2回したんですけど、1回目はとにかく生きたい、「生きるためだけに治療をする」と思いました。そこからちょっと復帰をして、5年目にもう1回病気をしたときには、「俳優として絶対に戻らないと、俺は生きている意味がないかもしれない」って強く思ったので、本当に「辞めたい」って思ったことはないですね。
坂本:その瞬間は、本当に(「国宝」で演じた)花井半二郎ですね。「あのステージに、もう一度」という……。
渡辺:そうかもしれないですね。執念深いというか、あがいているというか、そういうところはあるかもしれないですね。でも足掻くのってすごく大事だと思うんですよ。特にこの年齢になってくると、体が40代の頃のように自由自在に動くわけではない。だから、いまのベストを尽くすためにはどうするかっていうことを、足掻き続けるしかないなって。
坂本:いっぱいオファーをいただくと思いますが、選ぶとしたら、想像がつくものよりも、全然知らないもののほうが……?
渡辺:やっぱり興味が湧きますね、ドキドキするし。「80点でいいんだよね?」っていうやつは、「ちょっと俺じゃないかな」って思うかな。
坂本:じゃあこれからも、見たことがない謙さんに出会えそうですね。
渡辺:また会えるように、あがき続けます。頑張ります。
坂本美雨、渡辺謙さん
来週のゲストは7月7日(月)三浦大知さん、8日(火)mekakusheさん、9日(水)大貫妙子さん、10日(木)高島礼子さんです。
<番組概要>
番組名:坂本美雨のディア・フレンズ
放送日時:毎週月曜~木曜11:00~11:30
パーソナリティ:坂本美雨
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/dear/
番組公式X:@dearfriends80