動画クリエイター/音楽評論家「みの」がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「みのらじ〜MUSICA LAB〜」(毎週土曜5:00〜5:55)。本記事では、番組のプロデュースで開催された、ドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ:Let It Be』の先行上映会の模様をレポートします。
(左から)藤本国彦さん、オカモトショウさん、パーソナリティのみの
◆『ザ・ビートルズ:Let It Be』とは
『ザ・ビートルズ:Let It Be』は、1969年の「ゲット・バック・セッション」と、彼らの最後のライブ・パフォーマンス「ルーフトップ・コンサート」、そして、アルバム『Let It Be』制作の模様を記録したドキュメンタリー映画です。1970年の公開当時、世界中の音楽ファンから大きな反響を呼びました。
その名作が、映画「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで知られ『ザ・ビートルズ:Get Back』も手がけたピーター・ジャクソンの指揮により、現代の高度なデジタル技術を施して修復され、5月8日(水)よりディズニープラス スターで独占配信されました。配信に先立ち、5月7日(火)に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで先行上映会が開催。TOKYO FMのリスナーを中心に、多くのビートルズファンが集結しました。
イベントでは、来場者全員にオリジナルステッカーが配られたほか、番組パーソナリティのみの、ロックバンド「OKAMOTO’S(オカモトズ)」のオカモトショウさん、ビートルズ評論家の藤本国彦さんによる、映画の魅力や制作背景を語るスペシャルトークが催されました。一体、どんな話が飛び交ったのでしょうか。
スペシャルトークの進行役をつとめるパーソナリティのみの
◆『ザ・ビートルズ:Let It Be』を見て、“今”感じること
みのは冒頭、ゲスト2人に『ザ・ビートルズ:Let It Be』の感想を尋ねます。まずオカモトさんが、自身の音楽活動を通じて感じるメンバー間のある種の“もどかしさ”に触れ、「メンバー同士が、もっと和気あいあいと過ごしたいのに、それが難しいという感じが伝わってきて……そういった点も含めて面白かったですね」とコメントします。
次にみのが、特に印象に残ったシーンとして、ジョン・レノンの『Across The Universe』を演奏する部分を挙げ、「彼の“神通力”が垣間見える瞬間です」と絶賛。一方で、ジョンがライブ中、歌詞を間違えるシーンもあるといい、それに対しては藤本さんが「そこもまたジョンらしくて良いですよね」と評します。
続いて藤本さんは、ビートルズの演奏中の“躍動感”が印象的だったと述べ、「この映画では、『Let It Be』を含むさまざまな曲の演奏シーンが含まれています。特にデビュー前から慣れ親しんでいた曲を演奏している彼らの生き生きとした表情が印象的でした」と振り返ります。
さらに、オカモトさんは映画のクライマックスであるルーフトップ・コンサートに触れ、「映画の大半はリハーサルや曲作りのシーンで占められていますが、ルーフトップ・コンサートになると、彼らのテンションが明らかに上がっているのが分かります」と指摘。映画ならではのメンバーの表情の変化やシーンごとの雰囲気の違いに注目してほしい、と見どころを語ります。
ゲストのオカモトショウさん
◆『ザ・ビートルズ:Get Back』との比較について
話は転じ、もう1つのドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ:Get Back』(※同じくディズニープラスで配信中)との比較について話題が移ります。
『ザ・ビートルズ:Get Back』は全3部構成で約8時間にもおよび、『ザ・ビートルズ:Let It Be』(1時間 21分)と比べて長編の作品。藤本さんがこの2作品の違いについて解説します。
『ザ・ビートルズ:Get Back』も1969年のゲット・バック・セッションからルーフトップ・コンサートまでの一部始終を収録しています。「ただし、『ザ・ビートルズ:Get Back』がよりメンバー間の会話も含め丁寧に映し出している一方、『ザ・ビートルズ:Let It Be』はコンパクトにまとめられています」と藤本さん。
とはいえ、『ザ・ビートルズ:Get Back』には収録されていない、「Let It Be」の作曲・レコーディングの様子など、見どころはたくさん。
さらに、『ザ・ビートルズ:Let It Be』でも、メンバー間の4人の距離感が充分伝わってくる、と藤本さん。晩年のメンバー間の軋轢に端を発するスタジオ内での言い合いのシーンや、一方で和気あいあいとしたピアノ連弾の様子など、リアルな人間模様が描かれています。「特に、後半に出てくるポールとジョンの会話の場面は印象的で、『ザ・ビートルズ:Let It Be』の魅力の一つでしょう」と藤本さん。
ゲストの藤本国彦さん
◆『ザ・ビートルズ:Let It Be』はまさに“リマスター版”
最後に、画質についても言及。『ザ・ビートルズ:Let It Be』は、1970年公開のものからデジタル処理が施されており、非常に鮮明なものとなっています。
みのは視聴した感想として、「美しい一方で、温かみのある質感の映像だった」と評価。この点に対し、藤本さんがこう推測します。
「『ザ・ビートルズ:Get Back』では映像・音響両面で非常に高精細に仕上がっていますが、『ザ・ビートルズ:Let It Be』ではただ高精細にするだけではなく、当時の“質感”などもあえて残されています。その背景として、おそらく、元々この映像を撮影したマイケル・リンゼイ=ホッグ監督が『昔の質感を残してほしい』と希望したのではないでしょうか」。
こうした点から、「『ザ・ビートルズ:Get Back』が“リミックス版”だとすると、『ザ・ビートルズ:Let It Be』は“リマスター版”といえるでしょう」との見解で、推測も交えた3人ならではのビートルズトークが盛り上がりを見せ、トークイベントは幕を下ろした。
先行上映会に集まったビートルズファンの皆さん
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◆ファン必見の作品が、5月8日(水)よりディズニープラスで独占配信
『ザ・ビートルズ:Let It Be』について改めてご紹介します。
ディズニープラスで配信される『ザ・ビートルズ:Let It Be』は、1969年1月におこなわれた「ゲット・バック・セッション」と、彼らの最後のライブ・パフォーマンスとなった「ルーフトップ・コンサート」の模様を記録したドキュメンタリー映画。今作は50年以上の時を経てフィルムから映像・音響の修復を経て甦り、独占配信中です。
2021年、巨匠ピーター・ジャクソンがメガホンを取り、エミー賞を複数受賞したドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ:Get Back』で描かれなかった映像が含まれているほか、名曲「Let It Be」の作曲とレコーディングをおこなう様子などが映し出されるファン必見の作品です。
『ザ・ビートルズ:Let It Be』は、ディズニープラス「スター」で5月8日(水)から独占配信中です。ぜひご覧ください。
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© 2024 Apple Corps Ltd. All Rights Reserved.
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▶▶映画『ザ・ビートルズ:Let It Be』ディズニープラス「スター」公式サイト
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<番組情報>
番組名:みのらじ〜MUSICA LAB〜
配信日時:毎週土曜5:00〜5:55放送
パーソナリティ:みの