手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。今回の放送では、日本キッチンカー経営審議会の副理事長・佐々木剛(ささき・つよし)さんに、災害が起きたときのキッチンカーの役割について伺いました。
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キッチンカーが被災地で炊き出しをおこなっている映像を観たことはあるでしょうか? 最近、被災者の“食”を支える観点で注目されています。
全国の約700事業者が加盟する日本キッチンカー経営審議会の佐々木副理事長は、昨年に発生した能登半島地震の被災地への取り組みについて、「北海道から四国までの日本キッチンカー経営審議会に加盟しているキッチンカーが、主に石川県珠洲市と輪島市で1年にわたって炊き出しを継続しておこない、約14万食を提供しました。今後もそういった形で、被災した地域に加盟しているキッチンカーが全国各地から駆け付けることができるかなと思っております」と力を込めます。
このような活動を今後も続けていきたいということですが、ここに至るまでに大きなハードルがありました。通常、キッチンカーは自治体の保健所から「飲食店営業」の許可を得る必要がありますが、国は災害が起きたときのキッチンカーの炊き出しを「営業ではない」という方針を示していました。
しかし、そのことが自治体のなかで浸透していなかったため、東日本大震災や能登半島地震の支援でキッチンカーが駆け付けても、自治体が営業許可の手続きが必要かどうかの判断ができず、受け入れまでに時間がかかったケースが多くあったと言います。
こうしたことから、厚生労働省は災害が起きたときにキッチンカーが迅速に炊き出しをおこなえるよう「営利目的でなければ営業許可は不要」とする方針を示しました。これでスムーズに被災地で炊き出しをおこなうことができます。
最後に、佐々木副理事長に災害が起きたときのキッチンカーの役割について伺うと、「災害時に朝昼晩の3食すべてをキッチンカーがまかなうのは不可能です。とはいえ、カップラーメンや冷たいご飯などが3~4日連続で続いてしまうと、それだけですごく疲弊してしまいますので、そういった状況のなかに2~3日に1回キッチンカーが避難所に入り、目の前で温かい食事をお作りして、1食1食手渡しで皆さまにお渡しをしていく。キッチンカーが1つのコミュニケーションの場になるようにお食事を提供して、カロリーだけでなくエネルギーもお渡しする、そういった活動に力を入れています」と話していました。
日本キッチンカー経営審議会は、全国の各自治体との防災協定締結を進めています。6月に埼玉県、7月には石川県とも協定を締結する予定で、さらに自治体との取り組みを強化していきたいということです。
<番組概要>
番組名:防災 FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋