モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。10月12日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「インフルエンザ感染拡大」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
※写真はイメージです
◆インフルエンザ流行中 一方、新型コロナは?
例年、冬に流行するインフルエンザの感染が、先月から全国で急拡大しています。今月1日までの1週間では、14都県で流行が「注意報レベル」を超えました。全国で休校や学級閉鎖などが相次ぎ、今シーズンの流行は、新型コロナウイルス発生前よりも大規模になる恐れがあるといいます。
ユージ:まず、現在の「インフルエンザ」の感染状況を教えていただけますか?
塚越:厚生労働省は、全国およそ5,000の定点医療機関から患者報告を集計していますが、1週間で1機関あたりのインフルエンザ感染者の報告数が「1人」を超すと「流行り」と判断されます。
これまでインフルエンザは、冬に流行るイメージがあったと思うのですが、実は昨年末に1人を超えて流行となって以降、今年に入ってからもずっと流行っている状態です。
さらに、9月に入って感染が急拡大しています。今月1日までの1週間では、1機関当たり9.57人、前週比でおよそ35%も患者が増加しています。
9月21日にインフルエンザの流行注意報を発表した東京都では、1医療機関あたりのインフル患者は16.58人と非常に多い状況です。他方、コロナの患者数は7.08人と4週連続で減少しているということです。つまり、今はコロナよりインフルエンザの患者数が多い状況になっています。特に、お子さんがいらっしゃるところでは学級閉鎖も生じています。
◆人々の「免疫低下」が流行の原因か
ユージ:今回のインフルエンザ感染拡大の要因は、何でしょうか?
塚越:専門家によれば、「免疫の低下」が原因です。インフルエンザは例年の推定患者数が1,000〜1,500万と言われているのですが、2020年に新型コロナの感染が拡大した際、多くの人が感染対策をしたことで、インフルエンザに関しては昨年末まで流行しなかったということです。ただし、人の往来が戻りつつあった昨シーズンから患者がまた増えています。
2020年に患者が減ったのは、とても良いことなのですが、皮肉なことにインフルエンザに対する免疫が全体的に低下したので、また感染しやすくなっているとのことです。コロナの水際対策が今年の4月末で終了し、多くの人が外に出るとともに、海外からの人の往来も増えました。
インバウンドで観光客が増えると、必然的にインフルエンザも入ってきます。国内でもイベントやお祭りも再開している状況です。とりわけ9月以降の感染者急増は、学校が夏休みを終えて新学期になったことが大きいと考えられます。
◆冬に向けてさらなる感染拡大も懸念
ユージ:インフルエンザの流行、今後の見通しはどうでしょうか?
塚越:インフルエンザウイルスは湿気に弱く、夏は流行しないと言われるなかでこの感染状況です。ということは、これから来る冬の乾燥した気候と、暖房をつけて換気がしづらい環境では、ウイルスが増殖しやすい季節になります。今年は人の往来も増えているなかでの冬ということで、コロナ前の頃よりも感染が大規模になるおそれがあるということです。
さらに言えば、インフルエンザも感染者が増えるとウイルスが変異しやすく、より強力なウイルスの出現も懸念されますし、コロナウイルスについても変異株の発生で感染拡大の可能性もあります。
吉田:医療機関などへの影響はありますか?
塚越:医療機関では、発熱症状の患者にコロナとインフルエンザ両方の検査をおこなうところもあります。また、例年11月ごろから始まるインフルエンザのワクチン接種を、例年より前倒して始めるなどの対応にも追われています。
さらに、処方箋を受け付けている薬局では、長引くコロナの影響もあり咳止めなどの薬が不足しています。厚生労働省はこうした事態を受けて、9月に都道府県を通して医療機関などに対して「咳止め、“たん”を切る薬が不足しているので薬の過剰発注を控えるよう」要請しています。コロナへの対応もあるなかで、検査やワクチン接種をしなければならず、そして薬不足の状況にあるという、医療機関はなかなか厳しい状況にあるということです。
◆手洗い、うがい、人混みを避けるなどの基本的な対策を
ユージ:感染拡大するインフルエンザに対して、私たちができる対策はありますか?
塚越:基本的にはコロナと同様、手洗いなどの基本的な感染対策が有効です。実際、2020年はインフルエンザがほとんど流行しませんでした。また、涼しくなってきたので感染防止などの観点も含めて、マスクを着用するのも1つの手段かなと思います。さらには、人の多いところへの外出を控えるのも良いでしょう。特に高齢者や持病のある人は、人混みは避けること。コロナ対策も重要ですが、インフルエンザのワクチン接種も視野に入れてみてもいいかと思います。
また、今月末はハロウィンがあります。(ハロウィン期間中の東京・渋谷は、国内外から多くの人が訪れるということもあり)渋谷区長が「(ハロウィン目的で)渋谷には来ないで」と呼びかけたことが話題になりました。感染対策という意味でも、そうした人の多い場所へ出かけることは、やはりリスクはあります。
感染症対策については個人の判断が尊重されるべきですが、自分や家族の感染リスクを考えて、ご自身で選ぶことが重要だと思います。ただ、情報として今回のインフルエンザ流行は頭に入れておいていただけるといいのではないかと思います。
吉田明世、塚越健司さん、ユージ
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10月12日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年10月20日(金) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世