モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。4月18日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「なりすまし投資詐欺広告被害 事業者の責任」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
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◆著名人を語って“ウソの投資話”を持ちかける「なりすまし投資詐欺」
“著名人を語る人物”のSNSを経由し、“ウソの投資話”を持ちかけられた高齢者が、1億円以上をだまし取られる被害が相次いで発覚しています。
警視庁によると「SNS型のなりすまし投資詐欺広告」の被害相談は、去年を大幅に上回るペースで寄せられており、注意を呼びかけています。
ユージ:今回の件は、ZOZO創業者で実業家の前澤友作さんが4月10日(水)に自民党本部を訪れて、FacebookやInstagramを運営するMeta(メタ)社を提訴する考えを明らかにしたことで話題になりました。この「なりすまし投資詐欺広告」とは、どんなものですか?
塚越:詐欺広告は、そのほとんどが著名人を装って「儲かる話を無料で教える」といった内容の広告を掲載し、そこからLINEのグループに誘導します。そこでやり取りをしているうちに、投資名目でお金をだまし取られてしまうというものです。
そうした広告の大半はFacebookとInstagramに掲載されていて、この2つのSNSは両方とも「メタ社」が運営しています。最近は生成AIを利用することにより、画像や文章の生成が簡単になっているので、著名人を装ったなりすましの詐欺広告が非常に増えています。
この詐欺広告に名前や写真を使われているのは、メタ社を提訴するとした前澤さんをはじめとして、ホリエモンこと堀江貴文さん、経済アナリストの森永卓郎さん、ひろゆきこと西村博之さんなど多数います。
警察庁の集計によると、これらの去年の「SNS型投資詐欺」の認知件数は2,271件で、被害総額はおよそ278億円。1億円以上を騙し取られる方も被害を訴えています。
◆詐欺広告はFacebookやInstagramにも
ユージ:SNSを見ていると、「明らかに本人が関わっていないだろう」と思われる広告を見かける機会が増えているように感じます。
塚越:産経新聞がメタ社のFacebookとInstagramで今年配信された、「投資」という言葉を含むおよそ2万の広告を調査したところ、著名人の名前が含まれたものが半数以上を占めていました。(詐欺をおこなっている側は)恐らく、同じような文章を大量に作っているのではないかと思われます。
また、投資広告の配信元を分析すると、およそ65%に当たるアカウントには日本語が含まれていませんでした。配信元のほとんどは使い捨てアカウントとみられており、英語が大半を占めますが、他には韓国語やベトナム語、タイ語のアカウントもありました。海外からのアカウントが、AIを使って詐欺広告を作っていると思われます。
◆なぜこうした広告が野放しになっているのか?
吉田:なぜメタ社は、“なりすましと思われる広告”の排除をしないのでしょうか? そもそも、広告の審査はどうなっているのでしょうか?
塚越:そこが問題です。そもそもFacebookの広告は、2016年のアメリカ大統領選でロシアが選挙介入のために使用したことが指摘されています。こうしたこともあり、メタ社は掲載された広告を公開して透明性を確保していますが、やはり、なりすまし広告が多く見つかっています。
私も昨日確認しましたが、まだ著名人の名を語った詐欺広告がいくつかありました。EUはメタの広告に対して特に厳しい規制を課しています。
問題は、ネット経由で個人でも簡単な審査で広告を出せてしまうことにもあります。メタ社は広告宣伝のポリシーで、「許可なく著名人の画像などを使ってはならない」として、違反アカウントを削除したり、ユーザーからの通報にも対応したりしているということです。
また、広告を掲載できるアカウントの設定を厳しくしたりしていますが、効果は出ていないなと思います。メタ社は人工知能の開発を進めていますし、大規模言語モデル「Llama(ラマ)」も公開していて、技術力はあるはずなのに対策ができていない印象を受けます。
◆詐欺広告を放置する大手IT企業の責任は?
ユージ:なりすまし投資詐欺広告被害の事業者の責任について、塚越さんはどう思いますか?
塚越:大手IT企業の責任は重いと思います。特にメタ社は「対策不十分」という意味で責任が重いと思います。今回の件を受けてメタ社は声明を発表しています。プラットフォームの安全に対して、詐欺対策を含めて2016年以降で200億ドル以上のお金を投資してきたと述べていて、(自動検知などの)機械を使うだけでなく、人間による審査もおこなっていると言っています。そう言っているわりには、全然できていません。
前澤さんは、メタ社から謝罪の言葉がないことや、日本語を理解している人がいるなら(不自然な日本語を使っている)詐欺広告の判別は容易なはずであると、怒りをあらわにしています。
これは、私もそう思います。Facebookは、投稿した写真から人の顔を検出する技術が非常に優れています。著名人の顔がすぐに検出できるので、そういう写真を使った広告は簡単にブロックできるはずなのに、なぜこんなことが起こっているのだろうと思います。
例えば、100歩譲って政治的なフェイクニュースなどは文脈を読む必要がありますが、今回の件については違います。非常に問題です。日本政府は、これも含めてビッグテック(※世界規模で支配的な影響力を持つ巨大IT企業群)の規制を設ける方向に動いています。
◆詐欺の被害に遭わないためには、どうすればいい?
吉田:あらためて、なりすまし投資詐欺広告の被害に遭わないために気をつけることは何でしょうか?
塚越:まずは、そういう詐欺が流行っていることを知らない人も多いので、若者や高齢者などに、こうした詐欺があることを伝えておくことが大事です。詐欺がおこなわれる場(=詐欺師と被害者が直接やり取りするツール)は主にLINEなので、場合によっては、相手が本当に著名人かどうか、ビデオ通話をかけて試してください。
その際も、(ある人物の動画や音声などを人工知能(AI)を使って作り上げ、デジタル加工する)「ディープフェイク技術」で著名人の顔になりすましている可能性もあります。
(そのようなディープフェイク動画の見分け方のポイントの1つは)長く話をしている動画で、正面から横を向いたときに違和感があるので気づくと思います。また(投資詐欺の疑いがあるような)そうした会話をする際は、1人ではなく、何人かで話しを聞いてみるなどして、見破ってほしいと思います。みなさん注意してください。
吉田明世、塚越健司さん、ユージ
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4月18日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年4月26日(金) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世