青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。10月8日(日)の放送では、厚生労働省 労働基準局 賃金課長の篠崎拓也(しのざき・たくや)さんを迎えて、「早わかり! 最低賃金」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、篠崎拓也さん、足立梨花
◆「最低賃金」10月1日から順次適用
「最低賃金」とは、使用者が労働者に支払わなければならない最低限の賃金のことで、最低賃金法により、国が賃金の最低基準を定め、使用者は、その最低基準以上の賃金を労働者に支払うことを義務付ける制度(最低賃金制度)が作られています。
この制度は、働く人の暮らしを守り、安定させることを目的に設けられており、最低基準額は、都道府県ごとに時給(1時間あたりの賃金)という形で示されています。
最低賃金制度では、「正規」「非正規」「パート」「アルバイト」といった働き方の違いや、年齢に関わらず、すべての労働者に対して賃金の最低額を保障しています。ただし、個人事業主やフリーランスといった雇用関係にない人は含まれません。
なお、最低賃金の金額は毎年度ごとに見直されており、篠崎さんは「厚生労働省の審議会で全国的な引き上げの目安が示されたあと、その目安を参考に47都道府県ごとの審議会で議論して、地域の経済や雇用の状況も考慮したうえで、都道府県ごとの額が決定されます」と説明。
ちなみに、2023年度の全国加重平均した最低賃金額は1,004円で、初めて1,000円を超えることに。2021年度までの約5年間の引き上げ額は、概ね20円台で推移していましたが、2022年度は31円と大きくアップ。そして、「今年度はさらに平均43円の引き上げとなり、昨年度を超えて過去最高の引き上げとなっています」と篠崎さん。
特に引き上げ額が高かったのは、佐賀県、島根県、山形県、鳥取県、青森県などで、「東京都などの都市部との格差が縮まってきています」と話します。そんな東京の今年度の最低賃金は1,113円。これは当時708円だった20年前の2003年度と比べると、約1.5倍の金額となっています。10月1日(日)から順次適用されています。
また、派遣労働者の場合、実際の就業場所である派遣先の地域の最低賃金額が適用されます。例えば、派遣会社が埼玉県にあっても派遣先が東京都だった場合は、埼玉の最低賃金の1,028円ではなく、東京の最低賃金である1,113円が適用されることになります。
◆あなたの“賃金”は大丈夫?
続いて、篠崎さんは「時給ではなく日給や月給で働いている方は、賃金の1時間あたりの額を算出し、最低賃金額と比較してください」と話します。計算方法は以下の通りです。
【計算方法】
・日給の場合……基本の日給÷1日の平均所定労働時間
・月給の場合……基本の月給÷1ヵ月の平均所定労働時間
なお、日給や月給で働いている場合、基本給のほかに、さまざまな手当が出ている場合があります。例えば、通勤手当、時間外の割増賃金、休日割増賃金、また結婚手当や賞与・ボーナスなどは、基本給に加えて計算しません。このように、最低賃金の確認をする際、手当の種類によって、基本給に加算して計算するかどうかが変わっていきます。
そうした場合の詳しい計算方法などを知りたい人たちに向けて、篠崎さんがオススメしたのが
「最低賃金特設サイト(必ずチェック最低賃金)」
です。「自分で計算しようとすると難しく感じるかもしれませんが、サイト内の計算ツール『比較チェック』を使って、皆さんの就労場所や月給、手当の額などを入力すれば、最低賃金額が順守されているかがチェックできますので、ぜひご活用ください」と解説。
そして、算出した時間額が地域の最低賃金よりも低かった場合、最低賃金との差額を使用者に請求できます。また、仮に最低賃金額より低い賃金額で使用者と合意していた場合でも、それは法律により無効となるので、使用者は差額を支払う義務が生じます。使用者がルールを守らなかった場合は罰則もあります。
◆使用者側を支援する「業務改善助成金」とは?
最低賃金制度は、働く人に寄り添った制度である一方で、賃金を支払う側である使用者にとってみれば大変です。大手企業などは余力があるかもしれませんが、中小企業となると対応に苦慮するケースも。
篠崎さんは「特に中小企業・小規模事業者の皆さんに対応していただくためには、稼ぐ力を高めていただくことが重要です。そのために、厚生労働省では賃金引き上げと設備投資をおこなう中小企業・小規模事業者を支援する『業務改善助成金』をご用意しています」と説明。
これは、工場や店舗、事務所など事業場のなかの一番低い賃金を一定額以上に引き上げるとともに、売り上げ増や収益改善、作業の効率化など、生産性向上に役立つ設備投資をおこなう場合、その設備投資の費用の一部を助成するものです。
篠崎さんは「10月の最低賃金の引き上げにあわせて、この制度をより積極的に活用していただけるよう、いくつかを拡充しました。例えば、助成率は従来通り最大9割なのですが、その9割支援に該当する範囲を拡大するなど、手厚い支援を受けられやすくしました。また、これまでは、賃金を引き上げる前に、これから賃上げを計画している事業者のみが申請可能でしたが、今回の拡充によって、従業員の規模が小さい場合であれば、賃金を引き上げた後でも申請することが可能になりました」と解説。
改めて「最低賃金制度は、会社員、パート、アルバイト、学生さんなど、働くすべての方と雇う方のための大事なルールです。働く方も雇う側の方も、
『最低賃金特設サイト(必ずチェック最低賃金)』
を参考に、最低賃金の確認や設備投資等への助成措置の活用の検討をしていただきたいと思います」と話していました。
今回の話を受けて、足立は
「最低賃金特設サイト(必ずチェック最低賃金)」
で、最低賃金額が順守されているかチェックできることに触れ、「ぜひ皆さん1度調べてみてほしい」と呼びかけます。
一方、青木は、使用者側を支援する業務改善助成金に着目。「賃金引き上げと設備投資をおこなう中小企業・小規模事業者を支援する制度なので、ぜひチェックをお願いします」と話していました。
(左から)青木源太、足立梨花
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10月8日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2023年10月16日(月) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花