手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。今回の放送では、京都大学 防災研究所 特定准教授の峠嘉哉(とうげ・よしや)さんに、岩手県大船渡市の大規模山林火災について伺いました。
※写真はイメージです
岩手県大船渡市の大規模山林火災での焼失面積は3月21日(金)時点でおよそ2,900ヘクタール、住宅の被害は210棟にのぼっているとのことです。(※9日(日)には火の勢いが収まり、延焼の恐れはなくなったとして火災の“鎮圧”を宣言しました)
峠さんに延焼が続いた理由を伺ったところ、現段階では調査研究をしてみないと詳細は分からないとしたうえで、一般的に山林での火災が燃え広がる条件として“乾燥”と“強風”という気象条件だけでなく、次のようなこともあげられると言います。
「地形や斜面勾配が急だと、その斜面勾配を登るように延焼が進み、その場合は延焼速度が速くなると言われています。また、スギやヒノキが多いような針葉樹林は燃えやすいのが特徴で、今回、焼損したところは針葉樹が多いそうです。広葉樹も山に生えているのが見えますので、それがすべてだったとは思いませんが、針葉樹のゾーンも結構あったので、燃えやすかったのではないかということです」
このような理由をあげたうえで、今は過去にどういう事例があったかを振り返ることが非常に重要だと言います。その事例として峠さんが挙げたのが、2017年5月に岩手県釜石市尾崎半島で起きた林野火災です。このときは焼失面積が413ヘクタールで、出火当日に数100ヘクタールが燃え、非常に速いスピードで燃え広がりました。また、その後の調査で樹冠火(じゅかんか)が起こったことが分かりました。
この樹冠火について、峠さんは「木の上の葉っぱが燃え、その葉っぱのゾーンから隣の木の葉っぱに延焼するような形態です。樹冠火が起こると延焼速度が速くなるため、(焼失面積が)一気に大きくなってしまいます」と説明。
今回の山林火災で樹冠火が起こったかどうかは、これからの調査を待たないと分かりませんが、過去に起きた火災から備えについて学ぶことができます。山の近くに住む方にとって、山林火災は恐ろしい災害の1つです。一方で、山や森林が近くにない都市部などに住む方でも影響がないわけではありません。
各地で山林火災が起きると、地球温暖化や気候変動が進んでしまう可能性があります。そして、都市部など各地の気温が上昇し、真夏日や猛暑日、熱帯夜の日数が増えて熱中症の危険性も高まります。さらには、降水量の不足による水不足に陥ったり、局所的に大雨が降る豪雨と、それに伴う洪水や土砂崩れなどの二次災害が起こる可能性もあります。
この時期は乾燥した状態が続くので、改めて火の取り扱いも含めて注意しましょう。
<番組概要>
番組名:防災 FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋