笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。2月25日(土)の放送は、ヤンセンファーマ株式会社 代表取締役社長の關口修平(せきぐち・しゅうへい)さんをゲストに迎え、お届けしました。
(左から)關口修平さん、笹川友里
關口さんは、1996年にアメリカ・ダートマス大学を卒業後、2004年にアメリカのジョンソン・エンド・ジョンソンに入社し、複数のグループ会社でマーケティングを担当。その後、オーストラリア、日本、アメリカでキャリアを重ね、2016年にヤンセンファーマ株式会社の免疫・感染症事業本部本部長に就任、2019年にヤンセン台湾マネージング・ディレクターを経て、2021年よりヤンセンファーマ株式会社の代表取締役社長として手腕を発揮しています。
◆フォーカスした疾患領域で医薬品を開発
ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門であるヤンセンファーマは“病が過去のものになる未来をつくること”を目指し、日本ではがん、免疫疾患、肺高血圧症、精神・神経疾患、感染症・ワクチンの5つの疾患領域にフォーカス。前立腺がんや血液がん、統合失調症、潰瘍性大腸炎など、幅広い疾患の治療薬を開発・製造しています。
ヤンセンファーマが複数の疾患領域にフォーカスする理由について、關口さんは、「遡ると、精神・神経疾患からスタートしたポール・ヤンセン博士のレガシー(後世に受け継ぐ遺産)があり、そこから前立腺がんや血液がん(の領域)に入り、肺高血圧症を扱っている会社を買収するなど、さまざまな領域のイノベーションにつなげています。現在は、有効な治療方法がないなどのアンメットニーズにも応えるため、社内での開発だけではなく、社外での開発も取り入れて、日本の患者さんに薬をお届けできるように頑張っています」と語ります。
◆“MR”に求められるスキルとは?
製薬会社の重要な役割の1つでもある「医師への情報提供」、いわゆるMR(Medical Representativesの略称で医薬情報担当者のこと)の仕事について、關口さんは、「日本の医師へ向けた情報提供も大事だと考えています。主には、承認後に、実際に(医療の現場で)どのように使われているのか、どのような薬の使い方が適切なのかといった情報提供をおこなっています」と説明します。
コロナ禍の影響もあって、医師への情報提供は対面の頻度が減るなかで、アプローチの仕方や企画の立て方などに変化が生じるだけでなく、新たな疾患領域に参入する可能性もあるため、「MRとして、今までとは異なる領域のものに取り組まなければならないときもあるし、そうなると新しい医師に(新たな領域の)製品の説明が必要になるなど、常に環境の変化についていくことが大事」とMRに求められるスキルについて言及します。
◆患者さんのアンメットニーズに応えるため
日本は、(世界の)医療用医薬品市場規模で3番目に大きい市場ですが、大事なのはその市場規模だけではないそうです。「日本では国民皆保険制度があることで、医薬品に対するしっかりしたアクセスがあります。ですから、世界から見ても(製薬業界の)すべての企業から見ても、日本はとても大事な市場なのです。国民皆保険は世界に誇れる制度です」と話します。
医薬品の開発について、關口さんは「最初に膨大な金額を投資する必要があります。さまざまなターゲットがあるなかで(それらを)絞って治験、承認とつなげていきます。1つの薬を開発する期間は、9~17年と言われています。そのためにも、中長期的な投資が必要です」と言います。
「実際に患者さんのアクセスがあって、そこでしっかりとした売上をあげて、それを再投資して新しい医薬品を開発し、アンメットニーズに応えていくのが製薬業界のエコシステムであり、それをしっかり回していくことが大事」と語ります。
またひと口に“創薬”と言っても、開発段階で数多くのターゲットがあるなかで「どのようにターゲットを絞っていき、どの国でどのような医療機関を通して開発を進めていくのか、というところでテクノロジーが活用されています」と關口さん。「データのソースは何億とあるので、テクノロジーの力を使うことが製薬業界のこの先の成功につながるのではないか」と話します。
最後に、アメリカでの勤務経験が長い關口さんは、「日本で多様性というと、どうしても性別の違いというところにフォーカスしてしまいがち」とした上で、「大事なのは、『考え』の多様性。多様な経験をもって、いろいろな形でその環境、仕事のなかで貢献するという仕組みづくり、環境づくりが大事なのです」と強調します。
そして、「ジェンダーの多様性も大事にしつつ、いろいろな経験や考えを持っている人が、1つのオブジェクティブ(目標・目的)、パーパス(企業としての存在意義)に向けて、前進していくことが大事だと思っています」と述べました。
次回3月4日(土)のゲストも、引き続き關口修平さんをお迎えします。製薬業界におけるDXについてや進行中のプロジェクトについてなど、貴重な話が聞けるかも!?
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聴取期限 2023年3月5日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/