脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。
TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
今回の配信では「ストレスの解消法」に関する質問に答えました。
パーソナリティの茂木健一郎
<リスナーからの相談>
私はストレスが溜まると辛いものが食べたくなります。汗をかくことでスッキリするのもあると思うのですが、頭がクラクラするほどの辛いものを食べると、さらにスッキリするんです。
しかし、次の日にお腹の調子が悪くなってしまうので控えたいと思うのですが、やはり食べたい欲が勝ってしまいます。辛いものを抑制するアプローチってありますか?
<茂木の回答>
茂木:人間の脳は過去の経験の成功体験から、自分の行動を作っていきます。辛いものの原因、唐辛子などに含まれるカプサイシンにはいろいろな作用があります。体温を上げたり食欲を抑制したりとか、適量を取るにはいいんですけども、過剰に摂取すると胃腸に負担がかかってよくありません。ただ、ストレスに対して効果があります。
ストレスを感じるとコルチゾールが分泌されるのですが、辛いものを食べることによって、コルチゾールの作用をある程度洗い流すことができます。辛いものを食べることによってストレスを吹き飛ばしてくれるという効果はたしかにあると思います。過去にそういう成功体験をしているので、相談者さんのなかでそういった行動パターンができていると思います。
ですが、残念ながら、その行動パターンを消すことはできません。すでに出来上がった、勝利の方程式みたいなものは必ず残ります。ではどうしたらいいかと言いますと、他のストレス解消の方法を自分でお見つけになるのがいいと思うのですね。
僕のストレス解消法、勝利の方程式は走ることです。僕は東京マラソンにも毎年出ているランナーですけども、走ると本当にストレスがなくなっていきます。これは交感神経の働きでアドレナリンが出たりして、ストレスの体内作用を洗い流してくれます。僕にとって辛いものを食べることと、走ることはほぼイコールです。
最近はサウナに入ってストレスを解消されている方もいらっしゃいますよね。あとは、辛いものではなく甘いものもいかがでしょうか。あるいはカラオケで歌う、友達と話すといった、ストレス解消するための他のルートを確立することが大切だと思います。
僕は辛いスナック菓子が好きなのですが、家にあるとつい食べてしまうので、目につくところに辛いものを置いとかないというのも大事な方法です。そのことによって、脳の欲望の回路もある程度、抑えることができます。
相談者さんのなかに、ストレスを解消する黄金の方程式があることはいいことだと思います。辛いものを食べる以外の方法を見つけていろいろ試していただくと、脳の判断とか選択の回路もよりよく働くようになります。ぜひ、ストレス解消のさまざまな方法を自分で開発していただけたらなと思います。
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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎