シンガーソングライターで俳優の福山雅治がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「福のラジオ」。6月18日（土）の放送では、福山さんの楽曲タイトルにちなんで名付けられたコーナー「東京にもあったんだ」をスペシャルでお送りしました。東京はもちろん全国各地、世界各国で人の優しさに触れたエピソードをたくさんいただきました。その中から、行末がとっても気になる“Yくん”のお話を紹介します。

福山雅治

現在兵庫県にお住まいのたかぎさん（42歳・男性・会社員）が、山口県内の小学校に通っていた頃の話。肥満児だったたかぎさんは、体重測定の日が憂鬱で仕方ありませんでした。というのも、当時男子は全員保健室の中でパンツ１枚の姿になって、みんなの前で体重計に乗らなければならなかったからです。そこでいつもたかぎさんはクラスの男子生徒からの冷やかしを受けることになり、それは小学生のたかぎさんにとっては本当に辛い時間でした。

4年生の身体測定の日でした。いつものようにからかう声が上がる中、一人の生徒がたかぎさんをかばい、周りの男子生徒を注意してくれたのです。それがYくんでした。しかもYくんはクラスの中でも結構悪い存在として一目を置かれていた不良タイプの男の子だったのです。Yくんは冷やかす同級生を一喝します。

「やめろ！ 笑うな！ お前らたかぎの気持ちも考えろ！ たかぎだって、好きで太ってるんじゃない。たかぎの体重を見るな。全員目をつぶれ。見た奴はぶっ殺す」

「そして見張りをしながら僕に“今のうちに乗れ”と合図してくれて、僕は誰にも見られずに体重計に乗れました。そのおかげか分かりませんが、次の身体測定からは体重の目盛りが先生以外の他の人には見えないように工夫がされており、それから体重でからかわれることがなくなりました。全然親しい間じゃなかったのに守ってくれた同級生のYくんには、お礼を言うのも恥ずかしくて多分言ってなかったと思いますが、今でも感謝しています。そしてYくんは中学では不良になりましたが、不良になってからも僕のことをからかうことはありませんでした。SNSで探してみたりしていますが、まだ見つかっていません。いつか連絡が付いたら、お礼を言おうと今でも思っています」

「Yくん、カッコいいね」と共感しながらも福山さんはあることが気になって仕方がないと言います。

「どうしても嫌な予感がしているんですよ。Yくんの真っ直ぐすぎる性格は、それ故に彼の進んだ道を生きづらくさせたのではないかな？ っていうことがどうにも気にかかるんですよね。もちろん真っ直ぐな気持ちは大事だし、どこかで持っていないといけないもの。だけど、それだけだとどうしても人と衝突してしまうし、周りから煙たがられたりしてしまうものじゃないですか。不良の世界でも真っ直ぐに突っ走りすぎて――だからSNSでも見つけられないのかな……とあらぬことを考えてしまいます。いや、もちろんそんなことは杞憂で、普通に元気に過ごしている可能性の方が大きいと思いますけどね。SNSなんて一切興味ないぜっていう、真っ直ぐさをそっちのほうで発揮していてほしいと願います。今日も元気でYくんはYくんのままで生きていることでしょう。いつか会えるといいですね」

人の優しさに触れたあなたのエピソードを「東京にもあったんだ」のコーナーに送ってください。もしかしたらラジオがきっかけで親切にしてくれたあの人に会えた、ということがあるかもしれません。

それでは、次週6月25日（土）の「福のラジオ」もお楽しみに！

＜番組概要＞
番組名：福山雅治 福のラジオ
放送日時：毎週土曜14:00～14:55
パーソナリティ：福山雅治
番組Webサイト：https://www.tfm.co.jp/fukunoradio/