手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMの番組「防災FRONT LINE」。今回の放送では、山梨県富士山科学研究所・主幹研究員の吉本充宏(よしもと・みつひろ)さんに、「富士山噴火で起きる現象」についてお伺いしました。
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富士山は活火山です。富士山火山防災対策協議会によると、過去5,600年のあいだに約180回の噴火が確認されています。そのうち約96%は小規模や中規模の噴火で、溶岩流が発生した噴火は約6割、火砕流が発生したのは1割以下と言われています。
富士山の活動は気象庁が24時間監視しており、毎月1回、活動状況が報告されます。現時点では「活動に大きな変化はなく、噴火の兆候は認められません」としていますが、噴火はいつ起きるかわかりません。そして、いつか必ず起きます。つまり、噴火したときにどう対処すべきかをあらかじめ理解しておくことが大切です。そのためには“噴火した際の現象”について理解を深めることが必要です。
吉本さんにまず解説していただくのは“火砕流と噴石"について。これはどのくらいのスピードなのでしょうか?
「時速100km以上になります。火砕流や大きな噴石が発生した状態で、それが到達する範囲にいると、人間の生命にかなり大きな影響があると思われます。ですので、事前に到達する範囲から離脱しておく必要があります。火砕流については600℃以上とかなり高温でなおかつ速い。そして、大きな噴石も弾道のように非常に速い速度で飛んできます」
大きな噴石の場合、4kmぐらい先まで飛んでくるそうです。
“溶岩流”については、「急斜面の場合、時速30kmぐらいで比較的速いですが、傾斜が緩くなってくると人間が歩くスピードよりも遅いときもあります。特に傾斜がなくなってくると、1日で数100mも進まないこともけっこうあります。
ただ、富士山の溶岩流は1,200℃ぐらいあって非常に高温なので、触れると当然火事になります。ゆっくりとですが破壊力はけっこうあるので、必ず逃げなければなりません」と警鐘を鳴らします。
火山灰は屋内に退避すれば命を守れますが、30cm以上積もると木造家屋は倒壊する可能性があります。また、火山灰にガスが付着している場合があり、呼吸器に疾患がある方は注意が必要です。ガスマスクが手元にない場合は、濡れたタオルを口に当てると火山ガスから身を守ることができるそうです。
吉本さんは、噴火にはたくさんの現象があるため、理解やイメージを持ちにくい災害だと指摘します。「1回の噴火で何が起こるのか、我々もまったく予測がつきません。なので、噴火した後にどのように対処していくかが大事になるので、噴火後の現象をよく理解して行動する必要があると思います」
噴火の規模は事前に推定できません。噴火後にどんな現象が起きるのかがようやく分かります。現象によって逃げ方や避難方法が変わるので、火砕流、溶岩流、火山灰の特徴を理解しておきましょう。富士山から離れた場所に住んでいる人も他人事だと思わずに、富士山ハザードマップを一度確認してみてください。
<番組概要>
番組名:防災FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/bousai/