アイナ・ジ・エンドがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「東芝ライフスタイル アイナ・ジ・エンドの『ほな、また』」。(毎週土曜 11:30~)。日々の他愛もない話から、日常で大切にしていることなどを、リスナーからのメッセージも交えながらまったりとトークするプログラムです。時に、自身の音楽や最近の活動、アイナ・ジ・エンドが今この人と話したいと思うゲストなども招いていきます。
8月8日(土)の放送では、先週に引き続き、坂本美雨さんをゲストにお招きして、父・坂本龍一さんの影響を受けながら育んできた自身の音楽ルーツや、最新アルバムの制作秘話などについてお伺いしました。
(左から)坂本美雨さん、パーソナリティのアイナ・ジ・エンド
「音楽家になろうとは思わなかった」ステージを支える職人への憧れ
アイナ・ジ・エンド:今日は音楽をテーマに、坂本美雨さんの音楽ルーツや、今に至るまでのお話を伺っていきます。美雨さんは来年の2027年で、ミュージシャンとしてデビュー30周年! そもそも音楽の出会いは何歳頃なんですかね?
坂本美雨:音楽はもう生まれる前から。
アイナ:そうですよね(笑)
坂本:両親ともにミュージシャンなので、多分お腹の中で聴いていたんじゃないかな。でも、実際に音楽をやっている人たちを近くで見ていたからこそ、「音楽家になろう」とはあまり思えなくて。
その周りにいる、例えばエンジニアさんとか、ライブだったら舞台演出の人、照明の人、衣装の人とか、いろんな人の力でステージが作られていて。最終的に自分の親が真ん中に出て演奏して光を浴びるんだけど、その周りにいる職人たちがすごくかっこよく見えていたんです。だから、そういう職業に就きたかったんですよね。
アイナ:なるほど。でも光をしっかり浴びる人になっていたという。
坂本:ご縁があって、そうなったという感じなんですけど。16歳のときに「Sister M」っていう、何というか覆面的な歌手としてデビューしたんですけど。もともと父親の坂本龍一が作った曲があって、その曲に合う声を彼が探していたときに、スタッフの方が「美雨ちゃん、そういえば歌声が合う気がするよ」って言ってくれて。それでスタジオに呼ばれて「ふんふんふんって歌ってみて」って言われて(笑)。
歌ってみたら「あ、確かにこの曲には合うかも」という話になって「Sister M」になったんです。でも、その1曲だけのはずだったんですけど、そこから私自身が「歌うのがやっぱり好きだ」っていう気持ちに目覚めて「やりたいです」って宣言して、自分の名前でデビューすることになったんです。
アイナ:そうなんですね! 最初にスタジオに呼ばれて、歌うときって恥ずかしさとかはなかったんですか?
坂本:あった!
アイナ:あったんですか?
坂本:ありましたよ。しかも父親と……坂本龍一ってこう、別のものではないというか。もちろん尊敬もあったし、普段から遊んだりするタイプの親子でもなかったので、やっぱり緊張していて。
でも、こうやって今しているようなヘッドホンで、自分の声と父親の音楽が混ざったときに「うわ、気持ちいい!」って思ったんですよね。その気持ちよさが忘れられなくて、「私これを続けていきたいです」って言ったのを覚えています。
坂本美雨さん
坂本美雨が語る、ミュージシャン一家で育った原点
アイナ:最初にファンになったアーティストとか、ルーツミュージックとかってありますか?
坂本:そうですね。父親と母親の音楽はずっと聴いていて、自然と耳にしていたんですけど、「これが父親の音楽なんだ」と意識し始めたのは、やっぱり小学校くらいからですね。
自分で選んで聴くようになって、すごく覚えているのが『NEO GEO』というアルバムです。その中に「OKINAWA SONG -CHIN NUKU JUUSHII-」という曲があって。当時、教授(坂本龍一)が沖縄の民謡などにとても興味を持っていて、いろんなジャンルの音楽を融合させていたんですね。沖縄の方と一緒にステージに立ったりもしていて、そういう音楽の融合ももちろん初めて聴いたので、すごく衝撃的で。「ああ、気持ちいいな」と思ったのがこの曲ですね。
アイナ:へえー! 本当だ、ちょっと民謡っぽい。
坂本:本当の民謡歌手の方々で、バンドには黒人の方もいれば、グラマラスなコーラスの女性もいて。いろんな人種、いろんな音楽が教授のステージの中で混ざり合っていたんです。しかも、そのバンドメンバーたちがうちにやってきて、みんなでバーベキューをやったりとか。
アイナ:うぇー!
坂本:やっぱり父のおかげですね。
アイナ:すごいです! やっぱり、自分が大好きなパパとママが聴いている音楽って、私も好きになっていたし。私のお父さんはカメラマンで、お母さんももともとアイドル歌手なんですけど、やっぱり両親がやっていることとか、歌っているものって、今もアイデンティティになっちゃうくらい、大切な軸となっているので。
坂本:そうですよね。
アイナ:全然育った環境は本当に比べ物にならないんですけど、なんとなく想像はできるなって今思いました。
坂本:やっぱり意識しなくても親の姿は見ているし、親がどういうふうに音楽を作ったり、ものを創作しているかっていうのは、何かしら吸収していますよね。
アイナ:していると思います。それと同時にきっと、音楽に対して向き合う苦悩みたいなものも、もしかしたら自分の目で間近で見ていたのかもしれない。だからこそ、「あ、私は裏方とかのほうがいいのかな」って思っていたところもあるんですかね。
坂本:ああ、そうかもしれないな。楽譜を広げて、ちっちゃい音符をいっぱい書いていたりとかしていたもんな(笑)。
アイナ:うわあー! こんなお話を聞かせてもらってもう嬉しいです。
パーソナリティのアイナ・ジ・エンド
世界で起きる出来事と向き合いながら生まれたアルバム
アイナ:美雨さんがリリースされた最新アルバム『Something True』についてお話を伺いたいのですが、個人的には、このアルバムはシガー・ロスと少し近いところを感じるものがあります。ピアノの重厚感に対しての、何ていうんだろう、素朴な声の入り方とか。なんかずっと静寂なんだけど、ずっと美しくて、ずっと煌めき続けているというか。大好きです。
坂本:えー、嬉しい!
アイナ:「カレー屋の娘」も好きですし。曲の入るタイミングで言うと「食卓」。イントロ、やばいですね。
坂本:嬉しいです。いろんな人に協力してもらって、延期に延期を重ねてできたアルバムなんですけど(笑)作っていた期間は3年くらいなんです。途中でEPを出したりもしていたんですけど、フルアルバムはなかなか作れなくて。その間に、イスラエルとパレスチナの戦いが始まったり、ウクライナとロシアのこともそうですけど、世界情勢とか、日本で起こっていることも含めて、自分が生きている世界のことが、すごくメンタルにも影響するようになって。「音楽で一体何ができるんだろう?」「なんか作れないかも」って思う時期が長かったんですよ。
アイナ:へえー。
坂本:だけど、そういうことも含めて、音楽家の原摩利彦さん、映画『国宝』のサウンドトラックを作られた方なんですけど、その前からずっと一緒に音楽をやっていて。「何を歌ったらいいか分からない」っていう話をしたりして。
そうしたら、ちょっとずつ……戦争を自分の声で止めることはできないけど、そういう世界に生きているということを、どう音楽の中で迷いも含めて出していけるか、どう表現していけるか。そういう糸口をちょっとずつ見つけていったアルバムです。
アイナ:すごいですね。なんか、音楽っていうのは、私の中ではすごく感情の吐露ができる場所だと思っていたんですけど、美雨さんの今回の作品は、それよりもうちょっと繊細で。
本当に小さい針穴に声を通していくような緻密な作業というか。感情の吐露だけじゃなくて、その緻密さが細部に宿っているから、どの音もこぼせない、どの声色も全部聴かなきゃいけないと思わせてもらえるような。そういう生命力が、もう波打つようにずっと入ってくるので、作業しながら聴けなかったです(笑)。
坂本:本当に? 今の描写をそのままみんなに伝えたい(笑)。嬉しくて。
アイナ:これは、すごいなんかこう……。
坂本:緊張感はずっとあるアルバムですね。
アイナ:そうですよね。
坂本:だから途中で「カレー屋の娘」で「えっ?」ってなる(笑)。
アイナ:そう! だから印象的だったのかもしれないです。美雨さん、最後にこのアルバムから1曲お届けしたいんですけど。
坂本:はい。世界情勢に影響されて「何を選ぶべきか」ということをとても考えたアルバムでもあるので。今回、パレスチナのガザに住んでいた詩人のリフアト・アルアライールさんという方が、亡くなる前に残してくれた一編の詩があって、それにメロディをつけて歌った曲があります。それをぜひ聴いてください。
「私が死ななければならないのなら」という意味の『If I Must Die』です。
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最新アルバム『Something True』の発売を記念したコンサートを開催。日程は9月21日(月・祝)に東京(キリスト品川教会 グロリア・チャペル)、9月27日(日)には京都(紫明会館)にて実施予定です。詳しくは公式サイトをご確認ください。
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<番組概要>
番組名:東芝ライフスタイル アイナ・ジ・エンドの「ほな、また」
放送日時:毎週土曜11:30~11:55
パーソナリティ:アイナ・ジ・エンド
番組Webサイト: https://tfm.co.jp/honamata/
番組公式X:@honamata_tfm