女優・芳村真理と孫娘でシンガーのKayaが世代を超えて語り合うFM大阪の音楽番組「セキスイハイム近畿 3世代ミュージックハイム」。著名なゲストを迎え、3世代が楽しめる音楽とトークをお届けします。4月16日(土)と23日(土)の放送では、ゲストに古舘伊知郎さんが登場しました。
(写真左から)Kaya、芳村真理、古舘伊知郎さん
古舘伊知郎さんは、元テレビ朝日アナウンサーであり、「古舘プロジェクト」を1984年に設立後、フリーアナウンサーに。フリー転身後はキャスター・司会など、マルチに活躍しています。1980年代半ばに、芳村真理と「夜のヒットスタジオ」(フジテレビ系)の司会を務めました。
◆芳村が見せた「夜のヒットスタジオ」でのプロ意識
古舘さんは、芳村との「夜のヒットスタジオ」での共演を振り返ります。
古舘:芳村真理さんって本当に器が大きい人なので、「時間の計算とか、ちゃんと曲が全部入りきるように伊知郎さんにお任せするわ」って言って、いつも手のひらの上で転がしてくれてね。
芳村:あはは(笑)。
古舘:どっしりと構えていて、本当にキャパシティの広い人だと思っていました。だけど、それだけじゃなかったっていうのが、最近になってようやくわかったんですよ。ものすごく細やかな優しさをみんなに発揮していて、それがあったから僕が自由にやらせてもらっていたってことに、遅まきながら気付いたんです。
古舘さんは、ブレイク前のブルーハーツが番組に初出演したオンエアを例に挙げました。
古舘:ブルーハーツが本格的に売れる前に番組に出てくれて、わざと“無法者”を演じるトークをやったんですよ。インタビューが噛み合わない伝説のインタビュートークですよ。そのときの動画を観返すと、めちゃくちゃ真理さんがカバーしてくれているんです。
僕自身は噛み合わないトークを楽しんでいるから、「それじゃあスタンバイしてください。『リンダ リンダ』って曲を歌ってくれるはずなんですけども。真理さん、この人たち歌に才能がなかったら“ただの街のチンピラ”ですよ」って、わざと捨て台詞を吐いたりしたんですね。
Kaya:あはは(笑)!
古舘:歌を盛り上げようとして悪態をついたんですけど、真理さんは「そんなこと言っちゃ駄目」とか言わないの。知らんぷりしてニコッと笑って、歌が始まる直前に「カッコいい!」って言ってブルーハーツをフォローするんですよ。
Kaya:へええ!
古舘:番組を観ている人に向けたフォローですよね。「古舘が悪態をつきやがった」っていう人たちに対して、ものすごくいい潤滑油になるんですよ。真理さんはね、隙間に周りをハッピーにさせる一言を言うんです。それもね、「ありがとう」じゃなくて「カッコいい」っていう、“自分の主観”を入れるんですよ。真理さんが番組を支えてくれていたんです。
芳村:そんなこと、私全然覚えてない(笑)。
古舘は、小泉今日子が出演した回でも芳村の“プロ意識”を見出したそうです。
古舘:バイクの話になったんですけど、僕はちゃんとネタが頭に入っていたんですね。真理さんはすっごく喜んでくださって、「えっ、キョンキョンがバイク!? 知らなかった。驚いた」って物凄くトークを楽しんでいるんですよ。
芳村:だって、本当に楽しかったから(笑)。
古舘:キョンキョンを送り出して、歌の間奏が入っているときは「伊知郎さん、あの話って本当?」って聞いてね。けっこう素になっているんですよ。
Kaya:あはは(笑)。
古舘:でも真理さんはプロだから、カメラが回る瞬間がわかるんですよね。「カメラが撮りにくるな」ってときは、いつのまにか表情がニコニコになってました。
Kaya:プロだなあ。
古舘:真理さんはね、そういうのが自然とできる人なんですよ。すごいのよ。
芳村:よく見てるわねえ(笑)。
◆ラップと実況の違いを解説
番組では、古舘さんのお気に入りの楽曲を紹介。AK-69(エーケーシックスティナイン)の「START IT AGAIN」をオンエアしました。
Kaya:今考えると、古舘さんの実況自体がフリースタイルラップだったんじゃないかなってすごく思うんですよね。
芳村:本当だ!
古舘:それでAK-69が好きなのかもしれないです。ただ、ラップと僕の実況の決定的な違いとしては、“歌”と“喋り”で区分けされちゃうところですね。AK-69の場合はメロディ、楽曲があるからおしゃれに聞こえてくるんですよ。
実況ではセンテンスを繋げていくことが重要視されると語る古舘は、即興でF1の実況を披露し、2人を驚かせました。
古舘:実況では、どんどん言葉を繋げていくんですよ。
芳村:すごい!
古舘:自分は実況がベースだから、憧れの気持ちを持ってラップを聴いていますね。「ラップはできないけど、自分だったらどう繋げていくかな」って考えます。
Kaya:そういう聴き方もあるんですねえ。
芳村:面白いでしょ(笑)。
Kaya:圧倒されます。
古舘:素人ですけど、僕はそんな風に聴いて楽しんでおります。
◆玉置浩二の名曲が仕事に影響を与えた
古舘さんには、「酔っ払ったときについ聴いてしまう曲」があるそうです。
古舘:いろんな曲を聴くんですけども、そのなかで筆頭に挙げられるのは、玉置浩二さんの「花束」っていう歌です。あの曲は元々、中島美嘉さんに向けて作った曲なんですけど、ご自分でもカバーしているんです。
Kaya:セルフカバーされているんですね。
古舘:玉置さんには失礼だけど、酔っ払っていると“歌詞を味わう機能”が低下しちゃっているんですね。ただただ、あの歌声に惚れて、たゆたうようにスウィングしちゃうんです。「いい曲だなあ」って没入しちゃうんですよ。
芳村:へええ!
古舘:それぐらい玉置さんの歌唱力がすごいってことですよね。
続けて古館さんは、仕事中でも無意識に「花束」という言葉が出てきたエピソードを語りました。
古舘:ちょっと前、テレビのミニコーナーで昔の懐かしい競馬場の風景が出てきて、僕が実況中継をするって場面があったんですね。昔の府中競馬場にたくさんの人々が詰めかけているんですよ。
人が密集している俯瞰の映像が出てきたとき、普通だったら「立錐(りっすい)の余地もないほど」とか「多くの人々がこれからの重賞レースを待ち受けています」って言葉を言うんですね。そのときに、「まるで花束だ! 人生、一人ひとりが一輪挿しの美しさ」みたいなことを言ったらウケました。
Kaya:すごい話ですね。
芳村:素晴らしい。カッコいい!
古舘:僕は音楽に関しては素人だけども、素晴らしい歌によって勉強させられているし、喋りにも応用が効くんだなと思いました。
芳村:今の話よかった。いいこと喋ってる!
古舘:家に帰ってカミさんに報告したら、「ちょっとうるさいんだけど。テレビ観てるから」って言われました。自慢げに言ったんで。
Kaya:(笑)。せっかくですから、これから流す「花束」をご紹介していただけますか?
古舘:「夜のヒットスタジオ」時代を思い出しまして、曲紹介をさせていただきます。かつて、玉置浩二さんが安全地帯の頃に素晴らしい歌声と、パッと伝える声がミックスされている連想から、“歌う抜き足差し足忍び足”と喋らせていただきました。そこから歳月が30有余年流れまして、こうして今曲紹介をさせていただきます。
この歌を口ずさんだ瞬間、私は旅へと誘われます。素晴らしい楽曲というのは、人を旅へと誘ってくれるんですね。それでは参りましょう。歌うGo To トラベル、玉置浩二さんの「花束」。
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次回のゲストはミッツ・マングローブさんです。どうぞお楽しみに。
<番組概要>
番組名:セキスイハイム近畿 3世代ミュージックハイム
放送日時:毎週土曜 8:00〜8:25
放送エリア:FM大阪のみ
パーソナリティ:芳村真理、Kaya
番組Webサイト:
https://musicheim.com/
※TOKYO FMは放送エリア外となります