脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。
TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに、茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
3月15日(土)の配信では「集中力を高めるトレーニング」に関する相談に答えました。
パーソナリティの茂木健一郎
<リスナーからの質問>
茂木さんは毎日たくさんの仕事をこなしているように見えますが、集中力はどのように維持されているのでしょうか?
私はなかなか集中力が持続しません。集中力を高めるためには、どのような脳のトレーニングをすればよいでしょうか?
<茂木の回答>
集中力を鍛えるためには、まず「ノイズに強くなる」ことが大切です。例えば「居間」には家族がいたり、テレビがついていたりと、ノイズがありますよね。そうした環境で集中しようとすると、集中力の負荷トレーニングになります。人気のカフェなども、周囲に人がいてさまざまな音があるため、おすすめです。持続力をつける前に、まずは集中力の深さを身につけましょう。ウエイトトレーニングと同じで、ノイズのある環境で集中できるようになると、集中時に使う前頭葉の回路が鍛えられます。
さて、持続力についてですが、最初はある程度の強制が必要になります。ただ、終わりが見えないと嫌になってしまいますよね。そこでおすすめの方法の1つが、「ポモドーロ・テクニック」です。これは、仕事や勉強をするときにタイマーを使い、「25分間集中し、5分間休憩する」というリズムで作業を進める方法ですが、25分にこだわる必要はありません。大切なのは、とにかく時間を区切ることです。
いきなりトップスピードで集中できる人は、作業から離れたあとも素早くリラックスできます。「集中しよう!」と決めたらすぐに取りかかり、「終わり!」と決めたらすぐにダラダラできる。入るときも出るときも素早いのが、集中力の達人です。ぜひ、この集中力の“イン&アウト”を鍛えるためにも、ポモドーロ・テクニックを活用してみてください。
私自身は、日々膨大な量の仕事をこなしているため、1分単位で集中しています。「これに1分、次はこれに3分……」というように、朝から晩まで仕事をしています。ただ、このように働くためには、十分な休息が不可欠です。睡眠はもちろん、歩く時間など、ぼんやりする時間があることで、前頭葉の集中力の回路がしっかり働いてくれるのです。集中力を鍛えると同時に、ゆっくり休む時間や何もしないで、ぼーっとする時間を持ち、メリハリをつけてみてください。そのメリハリをつけるための方法の1つが、ポモドーロ・テクニックです。その他にもさまざまな方法がありますので、自分に合ったものを探してみてくださいね。
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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎