ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。
8月21日(水)のテーマは「Z世代は企業にメッセージを出してもらいたい この夏のクールな飲み物トレンドにみる若者の価値観」。「NY Future Lab」に所属するアメリカZ世代が、アメリカの飲み物のトレンドや、飲料メーカーのマーケティングについて語りました。
※写真はイメージです
◆健康を意識した炭酸飲料が若者たちに流行
まだまだ暑い日が続く昨今。冷たい飲み物が欠かせない時期です。今回は、ニューヨークの若者たちのあいだで人気の飲み物に注目します。
アメリカの経済雑誌「Forbes」の調べによると、アメリカの26歳以下のZ世代はその上のミレニアル世代に比べ、アルコール消費が2割も減っているという数字があります。また、一世を風靡したカフェイン入りドリンクなどの勢いも一時ほどではありません。
では、今は何が飲まれているのでしょうか? ニューヨークZ世代で構成されたラボメンバーに聞いてみましょう。
ミクア:私が好きなのは「ポッピ(Poppi)」という飲み物! 腸内環境を整えるプレバイオティクス入りの、さわやかな炭酸飲料なんだよね。たくさんのフレーバーがあって、今すごく人気なんだよ。少しリンゴ酢も入っているみたい。
メアリー:数年前にもこういう話をしたことがあったよね。アルコールではなく、飲まない人のための代替品的な感じでもあるよね。
ミクア:ポッピは本当においしいよ。まったく同じタイプのプレバイオティクス入りのソーダで「オリポップ(Ollipop)」というのもあるんだけど、私はポッピのほうが好き。でも、デリなんかで買うとかなり高いんだよね。小さな缶で1本3ドルから4ドル、日本円だと約500円って驚きだよね。スーパーで買うともう少し安く手に入るけど。
シェリー:それは本当に効果があるのかな? 健康になる感じはする?
ミクア:それはよくわからないな。健康になるとは思わないけど、スプライトやコカ・コーラよりも砂糖が少ないことは確かだよね。飲み物を選ぶときに一番大事なのは砂糖の量。
ソーダやジュースには糖分がたくさん入っているから、それは避けたい。だけど、水以外のものが飲みたいときにいいかなって思うのが、ポッピみたいなソーダなんだよね。
ミクアがよく飲んでいるポッピはプレバイオティクス入りソーダで、ワイルド・ベリー、グアバ・ローズ、ラズベリー・ライチなど、新鮮な低糖フレーバーが揃っています。
プレバイオティクスは腸内環境を整える2つの要素のうちの1つで、腸内で善玉菌を活性化する食物繊維やオリゴ糖を指します。一方、プロバイオティクスは善玉菌、すなわちビフィズス菌や乳酸菌などのことです。ポッピには食物繊維のプレバイオティクスが入っています。
もともとコーラなどの炭酸飲料が好きな国民性のアメリカ。しかしながら、近年は糖分の多いソーダ類が健康によくないという意識から、若者には避けられる傾向にあります。Z世代専門家のシェリーは、「大好きなソーダが健康によくておしゃれということで、若者が飛びついたわけです」と話し、ポッピの人気について分析します。
本来、食物繊維は食物から摂取するのがベストです。しかし、アメリカ人はもともと繊維不足の人が多いため、専門家はこうしたドリンク類について「摂らないよりはずっといい」とコメントしています。
(左から)ミクア、シェリー、ヒカル、ノエ、シャンシャン、メアリー/©NY-Future-Lab
◆アメリカで大人気の「リキッド・デス」はどんな飲み物?
もう1つ、Z世代のあいだでポッピ以上にヒットしたドリンクは「リキッド・デス(Liquid Death)」という缶入り飲料です。黒を基調にしたデスメタル調のデザインは人々の目を引きますし、「死の液体」という言葉から、強いアルコール飲料やカフェインドリンクを想起させます。果たして、その中身は? ラボメンバーが説明しました。
メアリー:ただの缶入りの水なんだよね。最近はいろいろな味も出ているけれど。
ミクア:でも、なぜ缶のデザインがこんなに攻撃的なの?
メアリー:それはね、喉の渇きを止めるのと同時に「プラスチックのペットボトルの死」を意味しているんだよ。
シェリー:なるほど。プラスチックより缶のほうが環境にいいということね。だけど、店で見かけても私は買わないと思うな。なぜなら、どう考えても水には見えないから。どう見ても見た目はアルコールっぽくて、何かがすごく強そうに見える。メアリーはなぜそれを手に取ったの?
メアリー:それはマーケティングのおかげかな。みんなが飲んでいるから、という理由だよね。それに、私たちはいつもペットボトルの水のボトルを買っているから、「缶の水という選択肢もあるんだ!」と思ったわけ。彼らは本当にうまくマーケティングしたよね。
缶入り飲料のリキッド・デスの中身はただの水でした。しかし、ヒットの背景には環境に考慮した企業側の思惑があります。マイクロプラスチック問題も懸念されているペットボトルを使わず、缶で水を飲むという選択肢を提示。それが環境にもよく、「ペットボトルに死を」というマーケティングが大当たりして、若者のあいだで大ヒットしています。
最近では水だけでなく、スパークリング・ウォーターやアイスティーなども出ていますが、アルコールは一切入っていません。また、比較的お酒を飲まないZ世代にとって、一見アルコールのようなリキッド・デスは、ライブハウスやクラブのシーンにおいてぴったりの見た目です。「家で飲んでもナイトライフの気分で盛り上がれますし、そういう意味では無敵のドリンクかもしれません」とシェリーは語ります。
「ポッピ」と「リキッド・デス」が流行する大きな要因として、限られたお金のなかで少しでも健康にいいもの、環境にいいもの、気持ちが上がるものにお金を使いたい若者の価値観があります。
「そういった商品をもっと作って、工夫したパッケージやマーケティングによって広めることで、世界を少しでもよくするためのメッセージを企業から出してほしい。それも今の若者が願っていることです」とシェリーはコメントし、話題を締めくくりました。
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8月21日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年8月29日(木) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:NY Future Lab
放送日時:毎週水曜日18:40~18:55放送
出演:シェリーめぐみ
番組Webサイト: https://www.interfm.co.jp/nyfutureweb
特設サイト:https://ny-future-lab.com/