モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。10月25日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「無人の自動運転タクシー 2026年に運行開始。懸念点は?」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
吉田明世、塚越健司さん、ユージ
◆2026年に東京で無人タクシーサービス開始
ホンダは10月19日(月)、アメリカのGM(ゼネラルモーターズ)などと共同で、3年後の2026年に自動運転タクシーのサービスを始める計画を明らかにしました。運転席のない車両を使って、東京都内の一部のエリアでサービスを開始するということです。
吉田:塚越さん、こちらはどのようなサービスなのでしょうか?
塚越:まず、ホンダとGM、そしてGM子会社の自動運転開発企業「GMクルーズ」で合弁会社を来年前半に設立して、2026年にサービスを始めようというものです。自動運転には1~5までの段階があり、レベル3以上は、運転を人間ではなくシステムがおこないます。
今回採用するのはレベル4の技術で、運転手どころか、運転席もない6人乗りの自動運転車両「クルーズ・オリジン」を使う予定になっています。配車から決済まで全てスマホアプリでおこなえて、指定場所へのお迎えから目的地までの到達まで、全て自動運転でおこなわれます。
ただ、展開するエリアは限定されており、まずは東京都内の一部でのサービス開始を予定しています。最初は数十台規模でサービスを開始し、その後で500台規模の車両を導入(500台は都内の法人タクシーの1.7%)。エリアの拡大も目指すとのことですが、あくまで予定なので今後どうなるかは分かりません。
◆中国、アメリカではすでに一般客も利用
吉田:海外ではすでに無人の自動運転タクシーサービスが始まっているようですね?
塚越:自動運転タクシーに関しては、アメリカと中国が先行しています。例えば、中国のGoogleとも言われる検索サービス大手「Baidu (百度/バイドゥ)」が自動運転にも手を伸ばしており、無人の自動運転タクシーは去年8月からおこなわれていて、現在は北京市や重慶市、武漢市などの範囲で展開しているとのことです。
アメリカでも、Googleの自動運転車開発部門が分社化してできた「Waymo(ウェイモ)」という企業が2020年から、GMクルーズが2022年から自動運転タクシーの営業を始めています。
ユージ:中国とアメリカで始まっているサービスは順調なのでしょうか?
塚越:捉え方にもよりますが、さまざまなトラブルもあります。ウェイモとGMクルーズは今年8月、サンフランシスコ市内での自動運転タクシー24時間営業の許可をカリフォルニア州から得ていますが(※)、複数の自動運転車が路上で動かなくなるといったトラブルが起きて、救急車等の通行を妨げた事案も複数生じています。他にも、自動運転タクシーがバスに衝突するといった事故も起きており、まったくの無事故というわけではありません。
昼間の事故は、事故そのものだけでなく多くの通行を妨げることになります。例えば、人間も事故を起こします。そう考えれば自動運転車の事故を仕方ないとみることもできます。ただし、人が運転しないのだから大事故を引き起こしたら誰が責任を取るのかといった問題や、そもそも未熟な技術のままサービスをおこなうのはダメ、といった考え方もあります。これは国や地域でも意見は分かれますし、法律でも分かれるかなというところです。
(※)本番組放送後、カリフォルニア州の規制当局は、GM傘下のクルーズに対し、安全が確保されていないなどとして、州内での無人タクシー運行許可を停止。今月、同社の無人タクシーが、サンフランシスコ市内で他の車がはねた歩行者をひく事故を起こしており、この際の対応を問題視していた。
◆日本の「狭い道」に対応できるのか?
ユージ:無人の自動運転タクシーのサービスについて、塚越さんは、どうご覧になりましたか?
塚越:日本でも今年4月に道路交通法の改正で、レベル4の走行が解禁されています。ただし、さまざまな許可が必要です。福井県で2kmの決められた範囲で運行が許可されているのを除けば、自動運転バスなどを動かすための実証実験などがおこなわれている段階です。実際に動かすまでには、相当の走行データをコンピュータに読み込ませる必要があり、時間もお金もかかります。
日本ではタクシー運転手の人材不足もあり、自動運転が求められている点があります。ライドシェア(の解禁)も議論になっていますが、これも人材不足が大きな要因です。
さらに、自動運転タクシーは世界的にも注目され、10年以内に今の市場規模が10倍を超えるという試算もあります。成長分野の技術という意味でも、早く参入しないと、気づけば普及しているのは全て外国産のシステムと車、ということにもなりかねませんので、日本も頑張る必要があります。
とはいえ、急速に普及するとタクシー運転手の仕事を奪いかねないので、アメリカではタクシー運転手が自動運転タクシーへの抗議集会をおこなうこともあります。これはこれでバランスが難しい問題だなと思います。いろいろな観点がありますが、ユージさんはどうでしょうか?
ユージ:僕は非常に興味がある分野です。自動運転タクシーが普及すれば、体験したいと思います。反面、日本の道路事情がすごく入り組んでいて、狭くて裏道だらけなので、タクシー運転手の力量によって変わってきます。
特に、日本のタクシー運転手は裏道でスイスイ行ってくれるベテランのタクシー運転手もいますので、そういうところの対処をどうするのか気になります。一般的な大きい通りだけの自動運転ルートになるのか、渋滞が起こってしまったときや、割り込みが起こったときはどうするのかが気になります。
塚越:そうですよね。裏道は事故が起こりやすいですよね。そう考えると、アメリカと少し事情が違いますよね。そこも含めて考えないといけないですね。
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10月25日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年11月2日(木) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世