UNIVERSITY of CREATIVTIY(UoC)の近藤ヒデノリ(Hide)とAyaがお届けするinterfmの番組「UoC Mandala Radio」。クリエイターに“ワクワクする社会創造の「種」を聞く”というテーマで、毎回さまざまな領域で社会創造をおこなっているゲストを招き、未来に向けた創造やアクションについて語らいます。
5月18日(水)の放送では、シシド・カフカさんが登場。ハンドサインを知ったきっかけを振り返り、ハンドサインならではの魅力について語ってくれました。

(左から)Aya、シシド・カフカさん、Hide
シシドさんは2012年の歌手デビュー後、ドラマー、ボーカリスト、モデル、女優など多方面で活躍。2021年に開催された東京パラリンピック閉会式では、自身が主宰する音楽集団「el tempo」を率いて参加しました。「el tempo」は 6月4日(土)と5日(日)に開催される「日比谷音楽祭 2022」の4日(土)の公演に出演予定です。
◆ルーツのひとつ、ブエノスアイレスで過ごす
Aya:まずは、カフカさんのルーツについてお聞きします。海外で生活をされていた時期があるんですよね。いつぐらいですか?
シシド:生まれてから2歳までと、中学1年生と2年生の2年間です。生まれたのがメキシコで、中学生時代はアルゼンチンのブエノスアイレスで過ごしていました。
Aya:それ以外は東京で過ごされていたんでしょうか?
シシド:はい。
Hide:スペイン語も喋れるんですか?
シシド:ちょっとだけです。中学のときは自分の意思で行ったわけではなく、後ろ向きな気持ちで過ごしていたので、ほとんど言葉を習得しないまま帰りました。現地の学校には通っていたんですけどね(笑)。
最近またアルゼンチンに行く機会があり、そのために勉強をしたので、前よりも今のほうが喋れるかもしれないですね。中学のときは自分のアイデンティティについて考えさせられることもあったのですが、今ではアルゼンチンでの経験がアイデンティティの一部になっているのがちょっと面白いなと思っています。
Hide:僕もブエノスアイレスには行ったことがあるんですが、ステーキハウスがたくさんあるステーキ通りみたいな場所がありますよね?
シシド:あります、あります。お肉やお芋が大好きな国なので(笑)。
Hide:(笑)。南米のパリと言われていて、めちゃくちゃ綺麗なところですよね。
シシド:そうですね。そして、いろんな血が混ざっている国、国民なので、多様性があり、大らかで面白い国です。
◆再現性のない唯一無二の音楽を即興で生み出していく面白さ
Aya:注目を集めている「el tempo」の活動について教えていただけますか?
シシド:アルゼンチンにいるサンティアゴ・バスケスという、ドラマーでありパーカッショニストであるミュージシャンの方が「Rhythm with Signs」というものを編み出したんですね。手話のようなハンドサインを使って、その場の唯一無二の音楽をクリエイトしていく音楽形態であり、ゲームでもあり、遊びです。
2015年に「アナザースカイ」(日本テレビ系)という番組でアルゼンチンに久しぶりに帰って、自分のルーツを辿る旅をしたのですが、そのときにたまたまサンティアゴ・バスケスのライブに行ったんですよ。
Hide:テレビ番組の出演がきっかけだったのですね。
シシド:そうなんですよ。ライブがものすごく面白かったんです。「これをやってみたい!」と思い2017年に動き出して、2018年にブエノスアイレスに留学をして、向こうでハンドサインを習って帰ってきたって感じです。
Hide:パラリンピックの閉会式、すごくカッコよかったです。ところで、指揮棒とハンドサインとの違いはどういうところにあるのでしょうか?
シシド:みなさんが想像する指揮者というのは、譜面があって、それをもとに指示を出すんですけども、ハンドサインに関してはまったく譜面がないんです。たとえば、Hideさんに「今日の気分でリズムを出してください」というサインを出したら、Ayaさんには「今日のリズムに乗っていって」みたいな感じで、その場で音楽を作っていくんですね。そのなかで規則性を作ってみたり崩してみたりといったゲームです。
Hide:ちなみにハンドサインは100種類ほどあると聞いたことがあるんですけども、たとえばどういうサインがありますか?
シシド:さっきからHideさん、手が面白い動きをしていますね(笑)。おおざっぱなものから細かいものまであります。バックグラウンド、「基礎となるリズムを出してください」というサインもあったり、みんながスタッカートで合わせたり、ソロとかユニゾンを指示したりするサインもあります。
Hide:ほうほう。
シシド:限定的なものだと、指を立てて、16部音符で指示をするときがあります。そういうのが100種類ぐらいあります。
Hide:音源があるので、聴いてみましょうか。
―― 番組内でハンドサインの音源がオンエア中 ――
シシド:ステージの上はかなりの緊張感でいっぱいでして、メンバーたちがバチバチにやりあっています!
Aya:だから、音楽というよりもゲームなんですね。
シシド:そうですね。演者側は「それはやりたくない」って断ることもできます。
Hide:へええ!
シシド:今聴いているところはリズムが速くなっていますけども、これもその場でサインを出しています。私が展開をある程度考えていくこともあるんですけど、ほぼほぼ思った通りにはならないんですよ。
Aya:そうなんですか!
シシド:「こういうつもりでサインを出したのに、そういった感じか。じゃあ……」みたいな感じです(笑)。その場で音楽を作っていきますね。
Aya:面白い!
Hide:じゃあ、まったく同じ音楽を再現することはできないですよね。
シシド:できないです。最初から最後まで同じサインを出したとしても、それぞれのセッションの音はまったく違うものになりますからね。
Hide:完全に生ものなんですね。
◆言語を介さないコミュニケーションが世界で広がりをみせている
Aya:いろんな楽器、才能、バックグラウンドを持つミュージシャンを調和させる、束ねるコツというものは何でしょうか?
シシド:私が特別に何かしているかって聞かれるとわからないです。ただ、メンバーから見ると、あるときを境に私が変わったらしいです。「伝えるぞ」という気持ちが前面に出るようになったらしいです。(コツは)もしかしたら、そういう“気迫”なのかもしれないです(笑)。
Hide:言葉も含めて?
シシド:ではなくて、サインの出し方ですね。
Hide:サイン1つとっても気迫が込められていると。
シシド:そうですね。「こうだからね!」みたいな感じでサインを出します。昔に比べて圧が増したのかもしれないです(笑)。
Aya:ノンバーバル(非言語)で、音楽、サイン、目、すべてを使ったコミュニケーションですね。先ほど2018年にブエノスアイレスに留学されたと伺いましたが、期間はどれぐらいだったんですか?
シシド:2ヵ月間、みっちり先生から指導を受けました。アルゼンチンにはサインを教える学校があるんですよ。
Hide:なるほど。教える方はなんと呼ばれているんですか?
シシド:コンダクター(指揮者)ですね。ライブで使うために学校に通うミュージシャンもいれば、(一般の)学校の教師も通っていたりするんですよ。あとは病院の先生がセラピーで使うために習いにきたりします。
Hide:じゃあ、ハンドサインはかなり定着しているものなんですね。
シシド:そうです。アルゼンチンだけにとどまらず、どんどん世界中に広がっているサインですね。
Hide:UoCでは手話のゼミをやったりしているのですが、パラリンピックでハンドサインをやられていたように、社会にとって言語を超えたコミュニケーションというのはすごく必要なものなんじゃないかなと感じますね。
次回5月25日(水)は、軽井沢病院の稲葉俊郎院長がゲストに登場します。お楽しみに!
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<番組概要>
番組名:UoC Mandala Radio
放送日時:毎週水曜23:00-23:30
パーソナリティ:近藤ヒデノリ(Hide)、平井美紗(Misa)
番組Webサイト:
hhttps://www.interfm.co.jp/mandala