放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」(毎週日曜15:00~15:50)。5月28日(日)の放送は、クイズ作家の近藤仁美(こんどう・ひとみ)さんをゲストに迎えてお届けしました。
(左から)小山薫堂、近藤仁美さん、宇賀なつみ
近藤さんは、早稲田大学在学中にクイズ作家として活動を開始。「高校生クイズ(全国高等学校クイズ選手権)」(日本テレビ系)や「クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?」(日本テレビ系)などのクイズ番組や、さまざまな媒体で問題作成・監修をおこなっているほか、国際クイズ連盟日本支部長をつとめています。
そんな近藤さんにとって、クイズとの出会いは「迷子になったのがきっかけでした」と振り返ります。それは地元・三重県から大学進学のため上京したばかりだった頃のこと。
「東京が都会過ぎて、駅から大学の校舎まで行けず(迷って)うろうろしていたんですよ。そうしたら助けてくれた人がいて。『どこまで行くの?』と目的地まで連れて行ってくれた後に、『もしよかったら、今日こんなイベントがあるんだ』とビラを1枚くれたんです。そこに『クイズ研究会 新歓コンパ』と書いてあって、それがクイズとの出会いでした」と近藤さん。
そんなことがきっかけで、早稲田大学のクイズ研究会に入ってみたところ、「クイズ研究会って企業さんから『キャンペーンをやるので、クイズを作ってください』みたいな感じで、軽い案件が入ってくることがあって。そういうことに対応しているうちにお客さんが覚えてくれるようになって、『今度こんなのもあるから個人でやらない?』と声をかけてくれるようになったんです。それで作家として成り立つようになっていったという感じですね」と、クイズ作家となった経緯を語ります。
クイズ作家となってからこれまで、少なくとも10万問以上のクイズを作ってきたという近藤さんに、小山からは「そのなかで、自分がベストだと思うクイズってあるんですか? “これは会心の出来だな”みたいな」との質問が。
これに近藤さんは「“これが私のクイズだな”と思うのは、古代エジプトの文字(象形文字)、ヒエログリフを使った問題が好きです」と回答。「ヒエログリフの絵文字の勉強から始めて、実際に当時使われていた単語とか人名で文章を作ります。いくつか文章を並べて、その法則をつかめば今の日本の人でもギリギリ読み解ける内容にしていくのがポイントです。ヒエログリフって絵文字なので、問題の見た目が楽しくなりますし、古代のロマンがあって、正解した人がかっこよく見える問題なんですよ」と解説すると、宇賀は「そういうことも大事なんですね」と感心しきり。
クイズを作るうえで「基本的には、いじわるはしない」と近藤さん。「例えば、答えることができなかったとしても、何か考える経路を語れるというか、推測の過程が見えるようにすれば、正解をしなくてもかっこよく見えるじゃないですか」とこだわりについて語ってくれました。
この日は、実際に近藤さんにクイズを出題してもらうことに。
1問目を出題するにあたり、「心のハードルが低くなる問題だと、3択クイズがいいと思うんですよ。なので、3択クイズを出しますね。今日は5月28日ということで、この日にちなんだクイズを出してみます。5月28日って、実は『花火の日』なんです。旧暦の5月28日、今でいう7月9日くらいですね。江戸幕府の将軍・徳川吉宗が隅田川花火大会の前身になるイベントをおこなったから、5月28日が花火の日になりました」と説明したうえで、近藤さんが出題した問題はこちら。
◆Q:江戸幕府の将軍・徳川吉宗が花火大会を開いた理由は何でしょう?
1.遠くの土地と花火で通信をするため
2.亡くなった人の魂を鎮めるため
3.外国から来た人を歓迎するため
小山は「このときは鎖国をしているから、外国の人はいないはずなんですよね。亡くなった人だとしたら、7月9日ではなくてもっと後かな……」と推測しながら1番を選択。
宇賀も1番だと思っていたと言い、小山が同じ1番を選んだことから「変えようかな……じゃあ2番にしようかな。何回か大きな疫病が流行った時期があったり、大火があったりしたじゃないですか。そういうタイミングなのかな」と予想し、2番に変更します。
◆A:2.亡くなった人の魂を鎮めるため
見事正解した宇賀は「やったー!」と声を上げて大喜び。近藤さんは、「先ほど宇賀さんがおっしゃった通りで、この頃は全国的な飢饉が起きていたうえに、コレラの流行でたくさんの人が亡くなったところだったんです。彼らの鎮魂のために花火を上げたところ、後に庶民の娯楽として定着していった、という流れです」と解説します。
さらにこの問題について、近藤さんが「さっき答えを考えていただいているときに『この時期は鎖国をしていたら外国の人はいないんじゃないか』と、そういう推測ができるのが、答えた人のかっこよさにつながるポイントだと思います」と補足すると、宇賀は「薫堂さん、かっこよかったです(笑)」と笑顔をのぞかせます。
クイズを楽しんだ後、宇賀が「もしも“クイズを作りたい”と思ったら、どうするのがいいでしょうか?」尋ねると、「クイズを作るポイントとして一番大きなものは、『解く人のことを考えること』」と近藤さん。
それは当たり前のことのように思えて、実は意外と難しいそうで、「例えば、『世界一高い山・エベレストの高さは何メートルでしょう?』って聞かれたときに、すごく“どうでもいいな”って思いませんか? 同じことを聞くなら、『世界一高い山・エベレストの高さは、富士山の約何倍でしょう?』と聞くほうが、富士山は日本の人であれば写真や実物を見たことがありますから、想像がつきやすいですよね。相手のフィールドにできるだけ入っていくのがおすすめです」とポイントを語ると、宇賀は「なるほど! 確かに、(問題の聞き方ひとつで印象が)全然違いますね」と大きくうなずいていました。
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<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY’S POST
放送日時:毎週日曜 15:00~15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/post/